クローズドなつもりのオープン・ノート

~生きるヨロコビ、地味に地道に綴ってます~

レビュー

スローな報道が最高の復讐になる『スポットライト 世紀のスクープ』見てきた

2016年のアカデミー作品賞受賞作、『スポットライト 世紀のスクープ』見てきた。 (ネタバレはしてないけど内容には触れてるので、興味のある方だけどうぞ) 知る人ぞ知るだった闇。長年見過ごされてきたのは、相手が何世紀にもわたって権力を握ってきた巨大…

子役の少年が超絶カワイイ『ルーム』見てきた

閉じ込められた人<閉じ込められなかった人。 世界の中でも圧倒的少数の、特異な体験をした人に寄り添った、とても誠実な映画だった。ちっちゃくて可愛くてベリーベリーキュートで、もう少し大きくなったら生意気な口も聞くようになるからもう少しこのままで…

『バットマンVSスーパーマン ジャスティスの誕生』見てきた

バットマンVSスーパーマン。ガチで闘ったら強いのはどっち???という好奇心で見に行った。もっと闘ってばかりの映画かと予想してたので、思ってたよりシリアスな場面が多くて戸惑った。ヒーローとダークヒーロー、二人が同時に活躍するには、地球小さ過ぎ…

メリル・ストリープがダメ母を演じる『幸せをつかむ歌』見てきた

ハリウッドの優等生的イメージのあるメリル・ストリープが、いい年こいてロックシンガーを演じる『幸せをつかむ歌』見てきた。実の娘との共演ということで、あら娘さんどんな感じかしらと軽~い気持ちで見に行ったら、炸裂する“母の愛”にノックアウトされた…

原作本のプロモーションとしてはよく出来てた『マネー・ショート華麗なる大逆転』見てきた

見終ったあとのキ・モ・チ (Photo by ぱくたそ) 情報量が多いので、面白さがわかるまで時間がかかる マネーゲームをゲームメイクする側から見た映画。サブプライムショックとその後に続くリーマンショックを題材に、ゲームメイクする側もみんなバブルで浮か…

美形同士だから珠玉のメロドラマになった『キャロル』見てきた

ケイト・ブランシェットとルーニー・マーラ。美人女優ふたりによる、女性同士の恋愛を描いたこの映画、素晴らしく美しいメロドラマだった。きれいなお話なんだけど、どっちかの容姿がもひとつだったら、メロドラマとしての盛り上がりに欠けたよね、と身も蓋…

善良な人が徹底的に痛めつけられる『ドリームホーム99%を操る男たち』見てきた

シングルファーザーで気のいいガテン系のおにーさんが辛酸をなめる映画、『ドリームホーム99%を操る男たち』を見てきた。テーマはずばりサブプライムローン。マイホームから強制退去を余儀なくされた後に起こる悲劇を描いて、見応えがあった。面白い。 映画…

理想の住まいは近くて遠い。『ニューヨーク眺めのいい部屋売ります』見てきた

住まいはニューヨークのブルックリン。そう言えたらカッコいい。ニューヨークでも近年人気上昇中のブルックリンには、イケてる個人商店、美味しい食べ物屋さんやオシャレな雑貨屋さんがいっぱい。住みたい街、あるいは遊びに行きたい街として、遠く極東まで…

火星でボッチのわりにはポップなSF『オデッセイ』見てきた

孤独が友のわりには明るく脳天気。火星ひとりぼっちな宇宙飛行士を描いた『オデッセイ』を見てきた。DASH村と見るかロビンソン・クルーソーと見るか。いずれにせよ、知識と知恵とテクノロジーさえあれば、孤独とは無縁で生産活動にだっていそしめるのさ。 映…

アイスランドを舞台にした『ひつじ村の兄弟』見てきた

おじいさんと羊が出ずっぱりで主役の映画、『ひつじ村の兄弟』を見てきた。映画の舞台としては珍しい、アイスランド辺境の村で牧羊とともに生きる人たちを描いた、アイスランドとデンマークの合作映画。台詞は耳慣れないアイスランド語だった。 アイスランド…

もっすごい今さらだけど『スターウォーズ/フォースの覚醒』見た

見たのは1月、レビューを書くのは2月と出遅れまくり。見ただけですっかり満足。足りないものもなく盛りすぎもなく、そのままの君がただただ好きなスターウォーズ。 「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」予告編 それでも思わずにいられない。老けちゃったね…

風変わりな贋作師にしてアウトサイダーアーティストを描いた、『美術館を手玉にとった男』見てきた

実在するスゴ腕贋作師を主人公にしたドキュメンタリー映画、『美術館を手玉にとった男』を見てきた。古い宗教画から、印象派にディズニーのようなカートゥーン風のイラストまで。あらゆるジャンルの贋作に長け、その腕があれば素晴らしいオリジナルだって生…

フランス版リバースモーゲージを扱った『パリ3区の遺産相続人』見た

遺産相続で豪邸を相続。いいっすね。誰もが一度は憧れる、夢のシュチュエーション。もしも一文無し同然の時にそんな美味しい話が転がってきたら?棚からボタモチと思った相続物件に、訳あり老婦人が住んでいたら?という状況を映画にしたのが『パリ3区の遺産…

アーティストという人種は、やっぱり果てを可視化した姿

春節も近いせいか、外国人観光客の姿が目につく今日この頃。観光客で賑わうのは観光都市としては大変結構なことなので、カフェ難民となるくらいは甘受しますとも。 観たいような、観たくないような。尖りまくった感性を作品にぶつけたドキュメンタリー映画に…

誰にも読まれそうにないコンテンツの熱心な読者はそこに書く人

誰にも読まれてなさそうな、個人の日記を越えたレベルのサイトがネットにはたくさん転がってる。 誰が読者なのかずっと謎だったけど、一番熱心な読者はそこに書いてる人、または書かされてる人と思えば納得する。 何らかの目的をもってネットで発信する人向…

死にたくても死ねない長寿社会の一面を描いた『ハッピーエンドの選び方』見てきた

ラブコメを予想させるタイトルを思いっきり裏切った、イスラエルの老人ホームを舞台に終活を描いた映画、『ハッピーエンドの選び方』を見てきた。文字通り、ハッピーな人生の終わり方、今どきっぽく言えば終活を模索する老人たちをユーモラスに描いてた。 老…

『ネットフリックスの時代 配信とスマホがテレビを変える』を読んだ

テレビファーストからスマホファーストへ。暇な時間の潰し方が変わるなか、テレビ放送にかわる存在感を放つ、動画配信サービス。ネットフリックスにHuluにアマゾンプライムに。今までになかった選択肢が生まれると、世の中はどう変わるのか。ネットフリック…

ネットワークビジネスにハマる男性を描いた『ニューカルマ』を読んだ

フィクションの醍醐味のひとつに、“果てを可視化した姿”があると思ってる。 ありふれた独身サラリーマンが、ネットワークビジネスに絡み取られていく姿を描いた『ニューカルマ』。マルチにハマった男の成れの果てが垣間見れて、好奇心を満足させてくれる。同…

宮部みゆきの原作をリメイクした韓国映画『火車 HELPLESS』見た

近頃は時代小説作家として活躍中の宮部みゆき原作の『火車』。山本周五郎賞も受賞した初期の傑作ミステリーをリメイクした韓国映画、『火車 HELPLESS』を見た。 「火車 HELPLESS」予告編 舞台も韓国になり、ストーリーには大胆な改変が加わって、登場人物も…

『アメリカンドリーマー 理想の代償』見てきた

見終わった後のキ・モ・チ。 高潔であることを自らに課した主人公が、理想の代償に支払ったものは何だったのか。そこにフォーカスしながら『アメリカンドリーマー 理想の代償』を鑑賞した。 「正しい道を行くこと」が信条の男に迫られる苦渋の選択。成功か破…

『ロバート・アルトマン ハリウッドに最も嫌われ、そして愛された男』見てきた

アメリカの俳優から最も尊敬を集める監督の一人、ロバート・アルトマン。 彼が、監督として大成するまでの若き日の姿や失意にある時もカメラが追ったドキュメンタリー映画、『ロバート・アルトマン ハリウッドに最も嫌われ、そして愛された男』を見てきた。 …

キャンパスライフと音楽を描いた映画2つ

音楽映画を見直し中。音楽あふれるキャンパスライフを描いた映画『ドラムライン』と『ピッチ・パーフェクト』を見た。どちらの映画も大学生、それも新入生が主人公。 『ドラムライン』は、アメリカンフットボールのハーフタイムショーでみかけるマーチングバ…

荒唐無稽だから心底楽しめる『オーケストラ!』は、映画的楽しさにあふれた秀作。

傑作よりも秀作の方が、しみじみとした情感にあふれてそうで、贔屓にしたい響きに溢れてる。クラシック音楽がテーマだけど、内容はロック。ロックって反逆のことでしょ、本来は。 こちらの企画に合わせ、音楽映画を見直し中。12月まで受付中だから、まだ間に…

『ヴィヴィアン・マイヤーを探して』見てきた

『ヴィヴィアン・マイヤーを探して』映画レビュー。シアターキノにて鑑賞。膨大な量の写真を遺品として残しながら、生前は一枚の写真も公表することはなかったミステリアスな女性を描いていた。

『FOUJITA』見た

ピカソやモディリアーニにキスリング、あるいはマリー・ローランサンと同時代に活躍した画家の藤田嗣治(=レオナール・フジタ)。エコール・ド・パリの寵児にして、戦争協力画家でもあった彼を描いた映画、『FOUJITA』を見てきた。 当時芸術の最先端都市で…

『エール!』見てきた

フランス発の映画『エール!』を見てきた。耳が聴こえない家族を持つ少女が、パリの音楽学校をめざすお話。そう書くと重そうだけど、実際はコミカルで笑える、コメディ要素満載のヒューマン・ドラマ。泣けるけど、泣かそうというあざとさはないので素直に感…

『コングレス未来学会議』見た

実写パートとアニメーションパートがひとつの作品の中に同居する、一風変わった映画『コングレス未来学会議』を見てきた。『戦場でワルツを』のアリ・フォルマン監督が、SF作家スタニスワフ・レムの小説を映画化したもの。ぶっ飛んでた。 2014年、ハリウッ…

『細雪』と四姉妹考

着物の柄を見るのスキー。朝ドラ『あさが来た』の主人公姉妹、今はお嫁に行ってしまって質素な着物になったけど、幼少期のふたりはそれはもう素晴らしい着物を着てた。着物の柄を見るのスキーとしてはたいへん目の保養になった。 細雪 発売日: 2015/10/06 メ…

『ボリショイ・バビロン 華麗なるバレエの舞台裏』見た

華麗なるバレエの舞台裏と聞くと、トップバレリーナをめざすダンサーたちの、苦悩と挑戦の日々かと思ってしまう。ところがこの映画は、ロシアのボリショイ・バレエ団で2013年に実際にあったスキャンダルがテーマ。登場するのは全員舞台関係者で有名人のため…

『黒い十人の女』見た。

昭和の名女優には、若尾文子以外にもお美しい人がいっぱい。今でもエレガントな岸恵子に山本富士子、そして中村玉緒とビッグネームな女優さんが揃い踏み。浮気性のひとりの男をめぐる、10人の女たちの物語。女の黒い本音が次々と飛び出すから面白かった。 あ…