クローズドなつもりのオープン・ノート

~生きるヨロコビ、地味に地道に綴ってます~

春、花が咲く

あらやだ今日平日だった?と思う、連休狭間の平日は朝からいつも通り。通勤・通学あるいはそれ以外の人も行き交って、カレンダー通りの人もちゃんと居た。

 

4月にしては記録的に暑くなったあとで、冬に逆戻りしたかのような寒気。急降下で急上昇。穏やかでは全然まったくなく前例がことごとく通用しない。

 

その状態こそが、北海道開発初期の頃は平常だったのかも。

 

まずは白。こぶしや木蓮が咲いて、桜や梅がピンクやほんのりピンクの花を咲かせる。その頃には黄色いレンギョウの花が咲き出し、足許を見れば紫やブルーの花。例えばスミレやムスカリに黄色い花はタンポポ福寿草


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モノトーンだった世界に一色づつ色が増えていき、色絵の具をぶちまけたような春がやってくる。森や林の多い場所では咲く花は園芸種とはまた別もので、モノトーンの世界を色付きに変える、色を添えたくなるのは冬は真っ白だから。

 

山に咲く高山植物、あるいは原生花園。イングリッシュガーデンのような華やかさには欠けるけれど、そもそも無彩色、岩がちあるいは武骨な木々ばかりが続いたあとに見る可憐な白や黄色あるいはブルーにピンクの花は、きっと目を楽しませてくれただろう。

 

そもそも過剰な世界から見るとちっぽけ。そもそも足りないものだらけの世界から見るととっても貴重。視点をずらす必要などなかった定点がずれると一緒に視点もずれて、価値観が揺らぐ。

 

環境を変えると視点が変わる。だから、環境を変えるのは視点をずらすため。

 

北海道の自然は豊かだけど、平地に限れば何しろだだっ広いだけに、人為的に手が加えられた自然も豊富。行きやすい場所ほど人の目で見てキレイに整えられていくから、元々の自然が壊されがちのように思えてしようがない。

 

春=桜=ソメイヨシノなのは本州で生まれ育ったから。桜ではソメイヨシノがやっぱり一番好きだけど、ソメイヨシノが札幌近郊よりも遠くで咲き誇っているとちょっと複雑。

 

その地で元々春を告げる花は何だったんだろう?と思うような場所が豊富なだけに。

 

それが元々の自然の姿なのか。それとも何らかの荒廃の跡なのか。無彩色の冬を経るから、ささやかでも色鮮やかな花が咲き出すと嬉しいし喜ばしい。屈託なく素直にモノトーンだった世界が色鮮やかになる変化を喜びたい、小景異情そのニな気持ち。

 

美しいもの、目に楽しいものは、規模が小さいほど作るのも簡単。だから、大規模な美しくて目に楽しいものは合成の誤謬を越えた先に現れる景色。

 

美しいものを作りたかった、目に楽しいものを作りたかった。だから合成の誤謬も越えられる。

 

北海道には絶景ポイントがいくつもあるけれど。そのことごとくが合成の誤謬を越えたもの。例えばカムイ岬。夏、あるいは気候が良くなると必ず行きたくなるけれど、一番最初にあの地を観光名所にしようと言い出した人はきっと、作業に従事した人達からは憎まれただろうと思う。何をするにも不便で大変そうな場所だから。

 

同時代を生きた人からは憎まれる、けれど後世の人からは称賛される。

 

合成の誤謬を越えるとはそういうことで、越えられなかったら美しくもなく目に楽しくもないものが残される。

 

人口が少なくそもそも人が居ない場所ほど合成の誤謬も越えやすく、同時代の人から上がる非難の声も少なくなる。その結果が、辺境の地の絶景。

 

だから、人口が多く権利が複雑に絡み合った場所、都市を変える人の方が難しいことをしてるんだから偉大なんだ。ということがわかるようになってくる。


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きれいなものや美しいもの、目に楽しいものを見たり見に行ったりするのが好きだけれど、本来残りにくいものが残っている。残されるようになる。その過程を見たり確認したりするのが好きだから、何度も足を運ぶようになるのかも。


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急激に気温が上がったせいか、札幌の桜は日当たりのいい場所ほどすでに散り気味。いつものように春が来たけれど、いつも通りでいていつも通りじゃない。すでにライラックの花も咲き始めていて、本当に北国の春は予測がつかない。


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