クローズドなつもりのオープン・ノート

~生きるヨロコビ、地味に地道に綴ってます~

火星でボッチのわりにはポップなSF『オデッセイ』見てきた

孤独が友のわりには明るく脳天気。火星ひとりぼっちな宇宙飛行士を描いた『オデッセイ』を見てきた。DASH村と見るかロビンソン・クルーソーと見るか。いずれにせよ、知識と知恵とテクノロジーさえあれば、孤独とは無縁で生産活動にだっていそしめるのさ。


映画『オデッセイ 』予告編

 事故で火星に取り残された、マット・デイモン演じるマーク・ワトニー宇宙飛行士。水なし、酸素なし、通信手段なし、食料に限りあり。絶望しか感じない状況なのに、ミョーに明るいのは音楽のせい。70年代ディスコミュージックが響き渡る。彼の趣味じゃないんだけどさ。

 

ドナ・サマーにアバに。音楽にそう詳しくない人間でも「あっ、これ知ってる」となる、聞いたことのあるメロディーが流れまくり。ノリノリ。誰も見てないこそノリノリ。音楽が明るいせいもあって、絶望的な状況なのに悲壮感は薄い。

 

悲観は気分で楽観は意思。楽観はノリノリの音楽から生まれるって感じ。

 

70年代の景気が実際のところどうだったのかなんてわからないけど、流行りの音楽からは、景気の良さしか感じない。ぼっちで取り残されて不景気極まりないマーク・ワトニーなのに、コメディー・ミュージカル映画らしく、苦悩少な目でポジティブ成分やたらと多め。

 

あったかもしれない眠れない夜は、都合よくカット。苦悩を見せる映画ではなく、困難な状況でも前向きに立ち向かう姿を見せたいがためか、ノリノリでポップ。明るいSF映画、しかも実写なのは、かなり珍しい気がする。SFだからってしかめっ面が似合う作品ばかりじゃないから、こういうのも悪くない。

 

NASA全面協力だけあって、宇宙開発ステキ!失敗しても挽回すれば無問題!チャレンジをやめるなんてナンセンス!なメッセージに満ち溢れてる。みんな好きじゃん、無事に帰還する物語。だったら無事に帰還するまで気長に付き合ってよという、宇宙開発関係者の心の声を聴いた気分。

 

NASAのパートナーに選ばれる、技術でしのぎを削っている国が、ロシアでもないところが興味深かった。それが宇宙開発の今のキ・モ・チ・って奴か。がんばれバイコヌール。

 

ぼっちで取り残されても、知恵と知識とテクノロジーさえあれば乗り切れる。植物学者にしてメカニカル・エンジニアというマーク・ワトニーの出自は、有り余る時間を有意義で生産的なものに変える。現実に応用できる知識って大事ね。あの栽培方法を知ってしまったら、じゃがいもの販促にこの映画を使うのは逆効果になるんじゃないかと心配する。

 

足りない知識もテクノロジーが補ってくれるばかりか、

「This is the language people never seen」も堪能できて満足。未だかつて見たことのないものを魅せてくれる、やっぱりSFはこうでなくっちゃ。

 

孤独耐性の強いマーク・ワトニーが、ライトスタッフに恵まれたあるべき宇宙飛行士の姿を示しているのなら、救助する側のNASAも、こうあれかしと願うあるべき組織の姿を描いてる。

 

組織の長は決断や根回しなど、トップにしかできないことをやり、木っ端は木っ端らしく、職務に専心してる(木っ端とはいえNASAに潜り込むのは大変なんだけど。。)全登場人物中、もっともカッコいいと思ったのは、宇宙力学の研究者。シュミレーション大事!計算大事!スパコン使ってシュミレーションする姿に胸が躍ったね。研究室で寝泊まりしてるような描写もリアル。9時17時であの成果が出るかというと、疑問だね。

 

全編通じて科学の力、テクノロジーってスバラシイね!テクノロジーを使いこなす人カッコいいね!というメッセージをビシバシ感じ取った。というわけで、科学にもっとお金使って下さいな。

ライトスタッフ (字幕版)
 

 お休みなさーい。