クローズドなつもりのオープン・ノート

~生きるヨロコビ、地味に地道に綴ってます~

『ロバート・アルトマン ハリウッドに最も嫌われ、そして愛された男』見てきた

アメリカの俳優から最も尊敬を集める監督の一人、ロバート・アルトマン

 

彼が、監督として大成するまでの若き日の姿や失意にある時もカメラが追ったドキュメンタリー映画、『ロバート・アルトマン ハリウッドに最も嫌われ、そして愛された男』を見てきた。

 

映画監督としてはひと癖もふた癖もある扱いにくい異端児でありながら、個人としては家族や仲間を大切にする、愉快な好人物であったアルトマンのプライベートな姿も存分に魅せてくれる。

 81年の生涯で、カンヌ、ベルリン、ヴェネチア映画祭すべてで最高賞を獲得(70年代以降アルトマンただ一人の快挙!)、ついにはアカデミー賞をも受賞。

アルトマンの“型破り”はいつしか、みなが仰ぎ見る“王道”になっていた-今日「インディペンデント映画」と謳われる映画のルーツはこの男にある。(~映画公式サイトより引用~)

 彼が、アメリカ・インディペンデント映画の父と呼ばれているとはまったく存じませんでした。アルトマン監督のファンというよりは群像劇のファンで、衝撃のラストシーンが待っている、彼の『プレタポルテ』には度肝を抜かれた。

 

ソフィア・ローレンジュリア・ロバーツマルチェロ・マストロヤンニに。女優・俳優だけでなくゴルチェにラクロワといったデザイナーや、ヘレナ・クリステンセンやカーラ・ブルーニといったスーパーモデルまで。超豪華メンバーを集結させて撮った映画『プレタポルテ』は、ファッション界の虚飾を暴く内容。

 

豪華メンバーが彼の作品のために集結し、その内容は現状に一石を投じるもの。きっとひと筋縄ではいかない、クセと魅力のあるオジサンに違いないという個人的な思い込み、だいたい合ってた。

 

ロバート・アルトマン ハリウッドに最も嫌われ、そして愛された男』では、ハリウッドでキャリアをスタートさせながら、ハリウッドスタイルからはどんどん離れていったロバート・アルトマンの映画人生を、ダイジェストで知ることができる。プライベート・フィルムや未公開作品の公開もあってファンサービスもばっちり。

 

映画界のお偉いさんや頭の固い人からはダメ出しされ続け、タブーを破ってきたアルトマンの歩み。映画史に興味がある人もきっと楽しめる。今では当たり前になってる手法その他が、なぜ当時はダメだったのか、どの辺りが革新だったのかがよくわかるから。

 

産業になり量産型に移行した業界で新しいやり方を試すことは、いわば列を乱し効率を落とす行為。そのせいで時に厳しい逆風にもさらされ、順風満帆の映画人生ではなかったことがわかる。晴れのち曇り時々大雨、台風一過の後に快晴と、華々しい受賞歴だけを見ていてもわからない、失意の日々も追っていた。

 

アルトマンを知る証言者も多数登場し、名声を得たスターたちが、なぜアルトマンの作品にこぞって(時にはノーギャラで)出たがったのか。その秘密も何となくわかったような気になれる。

 

『M★A★S★H マッシュ』や『ザ・プレイヤー』。社会や業界の暗部、ほんとは晒さないに越したことはない。そこに敢えて光を当てる人、冷や飯食らっても当て続ける人は、より良くを願っている確率がより高い。その人に業界のトップスターがこぞって力を貸すくらいだったら、さらにその確立も高くなる。

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ところで群像劇とはと、はてなキーワードを引用すると

「それぞれの物語」を持った複数の登場人物によって進行していく創作物の総称。大雑把に「大きな事件とそれを取り巻く人々」を描くタイプと、「○○で◆◆な青春群像を描く」と形容されるような個々の登場人物に焦点を当てていくタイプに大別できる。この二つの要素を融合することはできるが、個々の登場人物を丁寧に描きつつ大きな事件を引き起こすというのは、必然的に物語のサイズを巨大化させることになる。

だそうです。めっちゃわかりやすい。

 

個々の登場人物を丁寧に描いた大きな物語。それって、人気海外ドラマの手法そのもの。

 

『ハウス・オブ・カード 野望の階段』に『ダウントン・アビー』。やたらめったら登場人物が多く、どんな脇役であっても一人くらいは固定ファンがついてそうなくらいキャラが立っていて、全体としてしては大きな物語が進行していく。

 

どちらのドラマも、過去に全世界で人気となったアメリカ発の連続ドラマシリーズも、だいたいそんな感じ。あらアルトマンが手がけた手法、今では大人気じゃないですか。

 

現在のエンターテイメント界の王道を築いた人であっても、巨匠になるまではダメ出しの連続で、玉石混交でアタリもあればハズレもあった。それでも懲りずに作り続けた“砂のお城”は、メディアを越境したら、最も頑丈なレンガ積みのお城くらい重宝されている。

 

早くからアルトマンスタイルに慣れていた女優俳優は、きっとメディアを超えても生き残れそう。型破りが王道につながることを、肌で感じて知ってる人たちだから。映像とともに学ぶ映画史。ちゃんとお勉強したこともないので、面白かった。今年映画館で見た、22本目の映画。

 

ディノスシネマズ札幌劇場にて鑑賞。

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ディノスシネマズ、実は場所がはっきりわかってなかった。今回で2回目。ゲームセンターやボーリング場が入ったビルの7階8階に入ってる。そんな形態の映画館とは知らなかったから、「映画館、一体どこ?」とたどり着けないまま、まっいっかで終ってた。

 

今後は、新設される市電狸小路の停留場もほど近くなり、迷わずたどり着けそう。ディノスシネマズの周辺は、夕方から営業の飲み屋さんが多く、お茶するような場所も少ない。

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お茶したくてウロウロしていてたどりついたのが、仲通りで発見したこちらの『珈遊肆(こゆうし)』。優雅な名前っすね

 

細長い店内には、長―いカウンターと丸テーブルがあり。

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(店内から眺めた風景)

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(珈琲、陶、布ものその他となっている通り、お店では雑貨類も扱ってた)

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(今も現役???変わったスピーカー。もしかしてこれが蓄音機というものか)

メニューは潔く飲み物のみ。できれば甘い物が欲しいところだけど、チェーン店でないお店でコーヒーが飲めただけでもよしとする。それでも未練たらしく頼んだのは、チョコレートコーヒー。チョコ味のコーヒーでした。

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(この花の飾り方、クリスマスもお正月も兼用できそうで、ナイスアイディア)

 ディノスシネマズのすぐ裏手にあるので、時間を潰すのにちょうど良さげでした。今度はM’s仲町に行ってみよっと。

 

お休みなさーい。