クローズドなつもりのオープン・ノート

~生きるヨロコビ、地味に地道に綴ってます~

掃除しやすいところからキレイになる

大掃除のシーズン。寒くて水を使うのもイヤな季節で、気温が低いから汚れも決して落ちやすいとは言えないこの季節に、なぜ大掃除なのかといえば年末だから。

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年を改めるにあたり、今年の汚れは今年のうちにという気分の問題もあれば、年末で休みとなり、本格的な掃除に取り組みやすいという理由もある。とはいうものの。年末年始は旅行中という過ごし方が増えれば、年末行事とは言えなくなるかもね。

 

畳を上げて庭に出し、(晴れていれば)日光消毒しつつ一年分の埃をはらう。襖や障子は張り替えてキレイにする。思えば伝統的日本家屋は掃除しやすい造りになっていたけれど、その代わり台所やお風呂といった水回りは、とびきり掃除しにくかった。

 

毎日使う場所だからどうしたって雑然とし、特に台所は、大掃除中でもお腹が空くとなればゆっくり掃除もできない。

 

掃除しやすいところはその気になって本気出せば、例えば畳の埃を払ったり襖や障子を張り替えるようにすっかりキレイにできるから、気楽なもの。畳の場合は、畳そのものを変えればもっとキレイになる。

 

窓ガラスが日本の日常に入り込んできたのは、近代になってから。

 

窓ガラスのおかげで室内に日光を取り込むことが可能になり、それまで一般的だった障子ごしの薄暗い室内からは、解放されたんだってさ。明るい方をめざすのは、そっちが近代でより明るい方だから。一見明るく見えても実は時代に逆行する方だったら、いつか光は閉ざされ昔みたいに、薄暗い障子越しの明かりに頼るようになるかもね。

 

室内を革命的に明るくしてくれた窓ガラスは、いつでもピカピカを保とうとするとそれなりに労力を必要とする。レールには埃や汚れがたまりやすくて、キレイにしにくいから後回しになりがち。

 

成果が目に見えてわかりやすい場所から手を付けると、部屋全体あるいは家全体がキレイになったと錯覚もしやすくて、成果主義に慣れた人はそっちを選ぶ。

 

掃除機でもキレイにしにくい部屋の隅や、ふだんは使わない場所。あるいは休む間もなく使う場所だから、日々貯まっていく汚れにはつい目を瞑りがちな場所は、キレイにしにくいから後回し。

 

ツールは偉大で、後回しにしがちで汚れが落ちにくい場所もすっかりきれいにしてくれるツールがもしあれば、商品としては比較的新顔でも古参のような顔して、量販店の目立つ場所に置かれるようになる。

 

プロユースの本当にお役立ちな商品が、いつでもどこでも入手可能になると、雰囲気でしか選べない消費者を相手にした半端な商品はいらなくなる。半端な商品を100生かすために、本当にお役立ちなひとつの商品を葬り去るのが腐った民主主義で、ケガレの吹き溜まり。

 

掃除するそばから汚れていき、決してキレイにならないような場所はきれいさっぱり壊して作り直すのは、式年遷宮の精神を極端に矮小化して焼き直した、とってもスケールの小さなお話かもね。かもかも。