クローズドなつもりのオープン・ノート

~生きるヨロコビ、地味に地道に綴ってます~

白鳥大橋と地球岬と電気と

3日後あるいは一週間後。1ヶ月または半年一年先の未来の姿が見えないのは、余裕がない人。

 

とびきり余裕のある人だけが、百年先の未来のことだって考えられる。明治維新後に作られた、今に残る近代化遺産の数々は、百年先の未来を考える余裕と権力のあった人が残したものでもあると、つくづく実感することよ。

 

時間と労力をかけて作った立派な橋も、壊れる時は一瞬で、「往時の姿」をそのまま残そうと思ったら、時間を止めた方が長持ち。ローマ時代に作られたアーチ橋が、現代にまで伝わっている理由のひとつには、現代では実用に供さないからというのはきっとある。

 

使わなきゃ壊れないし、「遺産」だったら非常時に保護される可能性も高くなる。

 

ちょっと前に東日本最大の吊り橋、白鳥(はくちょう)大橋を見て来た。見て来たのは、白鳥大橋だけでもないんだけどさ。白鳥大橋のある室蘭は、自然豊かな北海道では珍しくインダストリアルな景色が見られるところ。

f:id:waltham70:20180908154219j:plain

工業都市が珍しくも何ともない人にとっては新鮮味に欠けるかもしれないけれど、雄大な自然を見慣れた目にはむしろ、インダストリアルな光景こそが新鮮だった。

f:id:waltham70:20180908154214j:plain
f:id:waltham70:20180908154304j:plain
天気悪かったのよ。。

自然豊かな景色求めて有珠山とその界隈をめざしたけれど、あいにくの天気で「フットパスをてくてく歩く」という当初の目的はまったく果たせず。地獄谷っぽい景色を見て、活火山すげーと感動したかったんだけどさ。帰路に立ち寄った室蘭で、白鳥大橋地球岬を見て来た。ずっと見たかったんだ、特に白鳥大橋

f:id:waltham70:20180908154216j:plain
f:id:waltham70:20180908154245j:plain

瀬戸内しまなみ海道のように、自転車が通れるわけではなく自動車専用道路。渡る時はあっという間。途中停車しての記念撮影その他の行為は禁止されているけれど、車を停めて、じっくりその姿を鑑賞したくなる美しさ。工業地帯という、どっちかっていうと殺風景な景色の中で、できた当初は本当に白鳥のようにきれいだったんだろうと予想。

 

ちょっと小高い場所にある展望台から、白鳥大橋の全景を望む。

f:id:waltham70:20180908154248j:plain

謎モニュメント。

苫東厚真火力発電所一ヶ所で、全道の約半分の電力を賄っていたときいて驚いたけれど、この地に足を運べばわかる。自然豊かな北海道で、ここまでインダストリアルな光景が広がる場所は、他になし。電力を大量に必要とする工業集積地の近くに、大規模火力発電所があるのも納得。大量消費するユーザーの近くだと、電力需給の調整もしやすかったんじゃないの、オールドテクノロジーでもさ。

f:id:waltham70:20180908154231j:plain

地味に風力発電もがんばってた。

 

クロユリが咲くという島。

f:id:waltham70:20180908154234j:plain

クロユリと聞くとおどろおどろしく感じるのは、美内すずえのせいです。清潔や可憐という雰囲気ぴったりのササユリと比べると、その姿からどうしても腹黒く感じてしまう。すまんな。

 

白鳥大橋を離れ、最近話題の地球岬へ。多分、最近の北海道は地球岬推し。新千歳空港にも写真出てるくらいだから、定番の観光スポットに育てたいんでしょ。

f:id:waltham70:20180908154241j:plain

太平洋を一望できる、気持ちのいい景色が広がってる。海青―い、風涼しーとポジティブに捉えられるのは、ここに来るまで車だったからです。

f:id:waltham70:20180908154252j:plain
f:id:waltham70:20180908154255j:plain

f:id:waltham70:20180908154222j:plain

観光バスや車で乗りつけて見る景色だから、無邪気に喜べる。ローカル線を乗り継ぎ、ふもとの小さな駅からえっちらおっちら坂道のぼってきて見る景色としては、どうなんでしょ。経験者からは、また別の感想が出そう。

 

やっぱりこの辺りも、もともとは自然豊かな土地だったのねぇと実感する景色が、地球岬の周囲には広がってる。

f:id:waltham70:20180908154225j:plain
f:id:waltham70:20180908154302j:plain

何にもない場所だったからこそ、道内一の工業地帯にまで成長できたとも言えるわけで。古くからのしがらみに縛られてたら、いくら新天地でもそうそう好き勝手に改造、特に魔改造はできんわな。

f:id:waltham70:20180908154228j:plain

太平洋は広いねぇ。

一大工業地帯だったのも今は昔。日本の産業がシュリンクすると、大規模な発電・送電能力を持つ施設とエリアはどうなるんでしょと思ったのも、ついこの間のこと。

f:id:waltham70:20180908154237j:plain
f:id:waltham70:20180908154258j:plain

大規模発電・送電能力をそのまま生かそうと思ったら、やっぱり大量に電力を必要とする産業を誘致するのが妥当ってもんで。この地からそう遠くない場所が、インバウンド観光客を大量に受け入れて繁盛している大規模観光ホテルやリゾート施設で賑わってるのも、決して偶然とは思えない。

 

オロロンラインに代表される北海道の日本海側は、風光明媚で観光にはもってこいだけど、悲しいかな大規模な観光ホテルが少ない。人手の問題もあるけれど、それより大きいのは実は電力の問題で、スマートシティは要するに電力が豊富にないと実現できないもの。だから金持ちわがままリッチマンでも満足するような、すてきリゾート施設建設にもっとも足りないのは、実は電力じゃないのと思った、この夏の思い出。欲しいものは、何でも作る人なら、きっとその通りにする。

 

作られたマニュアルを順守して、大量に効率よく大量生産や大量の何かを捌くことが習慣化して上手な人は、何を商っていても大規模な組織でこそその地力も生かされる。

 

わがままで規格外の個別オーダーに応じるのとはまた別の才能が必要だから、適材適所で配置。とか考えるのは、百年先の未来を考えられるほどとびきり余裕のある、神様の遊びっぽいやね。

 

100%他人のためにしか時間を使わないなら、「自分」なんてなくてもいいじゃん。自分のために時間を使うから、「自分」が必要なんでしょ。

f:id:waltham70:20180908154032j:plain

台風で落ちたのか、それとも地震の揺れによるものか。例年より早い銀杏。

天気のいい日に自然豊かな場所を、てくてく散歩できるのはいつになることか。できるだけ速やかに、そうなりたいものさ。

f:id:waltham70:20180908155636j:plain

あんまり見ない、時刻表示の消えたテレビ塔

中世のような街並みは今でもきれいと感じるけれど、あれは街全体がその時点で歩みを止めた、テクノロジーを止めた姿でもあるからきれいなのであって。中世のような街に現代人が住もうと思うと、電気が足りなくてきっとイライラする。

 

見た目の美しさを優先して、進化の歩みを止めるのか。それとも、イライラの解消めざして進化を選ぶのか。イライラが不幸の源になるのなら、多分もう答えは出てる。