クローズドなつもりのオープン・ノート

~生きるヨロコビ、地味に地道に綴ってます~

結局最後に勝つのは、ロマンチスト

シン・ゴジラ』のシンは、真でも新でもなくsin、罪と考えたら腑に落ちる。ゴジラは罪の産物で、罪の産物による脅威から、全力で首都東京を守ろうとするお話でもあったのさ。

 

来る日も来る日もネットニュースを読み漁っている暇人。今も、ネットニュースというかネットメディアに関する本を読んでる最中。この本を紹介するレビューにあった、とあるフレーズがきっかけ。

メディア界というか、ネットメディアを創っている人には、3種類の人間がいる。ロマンチストと、リアリストと、テロリストだ。

引用元:

ネットニュースの主役は誰か 中川淳一郎の死闘と色々残念な鳥越俊太郎『ウェブでメシを食うということ』(常見陽平) - 個人 - Yahoo!ニュース

 ネットメディアで最後まで残るのは、きっとこの3つを兼ね備えた人やモノ。

 

ロマンは実現するのがいちばん難しいから、理念だけでは生き残れない。リアリストは、達成可能な一定の果実を得たらネットから退場する。生活や人生を賭けるようなことはしないのが、リアリストがリアリストたる由縁だから。テロリストも破壊が目的だから、攻撃対象への攻撃が完了したら退場する。彼らには壊すことはできても、建設的なことも生産的なこともできないから。

 

だから、ロマン実現のために現実を見つめて必要な手段を講じ、ロマン達成の妨げとなる障害物を、躊躇なくぶっ壊せるロマンチストでリアリストなテロリストが、いちばん最後まで残る。結局のところ、ロマンチストの勝利なんだ。壮大な夢やロマンでも抱いてなければ、リアリストにもテロリストにもなり切れない。

 

今日8月3日は、雑誌や本が読み放題になるKindle unlimitedがスタートした日。

 

これ、大袈裟に言えば「知の解放」だと思ってる。Kindleさえあれば、誰でもどこでも好きなだけ、安価に知識を吸収できるから。

 

充実した内容の大きな書店が近くにあるかどうか。あるいは無尽蔵に本や雑誌につぎ込めるお金があるかどうか。場所や可処分所得のしばりから、限りなく自由になった。

 

医者や専門的職業人だけでなく、すべての職業人が一生涯勉強を求められるのが、これからの時代。このポジションにたどり着いたらもう大丈夫というゴールが、さらに遠くなった。(お前が言うなというのはよーくわかってる)

 

あらゆる職業が高度化していくんだったら、高度化についていくためのテキストも、簡単に手に入らないと困る。読み放題を暇つぶしに使う人ももちろん居るけれど、真面目にスキルアップを考える人にとって、よりメリットが多いツール。

 

自由になる時間で何をするのか。そこに、その人の本質も表れる。

 

有り余る時間をしょーもないことに使う、あるいはしょーもないことにしか使えない人には、しょーもない娯楽で十分なのさ。

 

他人の人生に不当に介入して恥じない。足を引っ張りにくる。「見ざる聞かざる言わざる」や「ふざけるな」「余計なことは言うな」と、誰かに命じられるままオウムのように口や手を動かすだけの小さな脳みそしか持たない人にとって、考える力は不要なもの。だったら、去勢してあげた方が幸せだもの。

 

すでにモラルから逸脱した人には、知的研鑽からも逸脱してもらって、知やモラルとは別の世界で幸せになってもらった方がいい。本人たちが大真面目に「知」と思っているものは、実は限りなく「痴」に近いかもしれないんだから、思う存分娯楽に溺れている方がきっと幸せ。

 

ツールを生かすも生かさないも、その人しだい。

 

今さらネットにもネットメディアにも過剰な期待は抱いてないけれど、ツールとしてはまだまだ有用。ツールとして特化していけば、冷蔵庫や電子レンジ並みに、きっとこれからもますます“スマート”になっていくはず。今の冷蔵庫や電子レンジは、登場した時からは信じられないほど賢くなってるくらいだから。

 

お休みなさーい。

夏空とウルトラマリンブルーの豊平館と

年に10日間ほどしかない、真夏を感じる日々。暑ちぃ。。年に10日間ほどだったら、アイスを主食に乗り切っても無問題に思えてくる。やんないけどね。

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とはいえそこは北国なので、気温だってめったなことでは30℃にも届かない。風は涼しい。さらなる涼を求めて、中島公園に行ってきた。

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鴨々川の水の流れ。目で追うだけでも、体感温度が5℃は下がる感じ。流れる水の音が、耳に心地いい。

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清流と呼ぶには何かが大きく足りないけれど、でもいーの。清流は、郊外に行けばいくらでも見られるから。アクセス容易な街中を流れる川、ってとこがポイントさ。

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通り掛かった護国神社からは、雅楽の調べが聞こえてきた。東儀秀樹もどきでも来てるのか?と思ったら、結婚式の最中でございました。暑いさなかの結婚式、おめでたいけど大変だ。

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f:id:waltham70:20160802161911j:plain(オレンジ色の実は、アンズかな???)

木陰でひと休み中の鴨たち。暑さのせいか、鴨もへばりがち。

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雲ひとつない、青い空。夏だね。

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ホテルの足元に目を転じると、札幌でいちばんステキだと個人的には思ってる歴史的建造物、豊平館が。6月にリニューアル工事を終え、すっかりきれいになりました。

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せっかくなので、中へ入ってみる。いつでも来れると思ってると、案外来ないものだから、行ける時、行こうという気持ちのある時に行っときましょ。

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(この青は、ウルトラマリンブルーと呼ぶらしい)

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正面のドアはダミー。豊平館へは、建物のサイドから出入りするようになっている。入館料300円なり。年間パスポートなら500円。腑に落ちない、価格差。

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中は空調も効いていて、涼しい。ガイドさんによる無料案内もあったけど、勝手に見て回る。暑くてボッーとしてるから、聞いた知識が全部無駄になりそうだったのさ。

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照明など、つい調度に目がいく。クラシカルでいい。もとは札幌初のホテルといってもいいような場所、明治天皇も宿泊されただけあって、内部は宮殿風。

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(これは豊平館の煙突)

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往時の札幌を描いた絵。なーんにもない。

なーんにもなかったから、ゴージャスな貴人に泊まってもらう、ゴージャス空間が必要だったんだね。

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豊平館は、現在結婚式場にもなっている。大通や駅前といった繁華街からはやや離れたところ。中島公園にはコンサートホールもあり、喧騒とは無縁な場所ゆえか、周囲には高級マンションが立ち並ぶ。

 

東京都内の新築マンションの平均価格は、70平米換算で7086万円だとか。札幌で7000万円を超える物件は探してもなかなかないけど、中島公園周辺だったらかつてはゴロゴロしてた。

 

バブルでGO!な時代には、億ションが次々と現れた場所。駅前でも用地が確保できる現在とは違って、建てやすかったせいもあるのか。その名残で、築年数を経てもそこはかとなく高級感漂うビンテージマンションも、ポツポツある。

 

ビンテージ感のある中古マンションをリノベーションしようと、わりと頑張って探した時期があった。結局なかなかよい物件に出会えないので、諦めちゃったけど。

 

物件自体が少なかったせいもあるけど、躊躇したいちばんの理由は、コミュニティ。億ションになるほど転売も多く、住民層もバラバラで入れ替わりも激しい。

 

お隣の人であっても、手に入れた時期が異なれば入手価格が異なる。入手価格が異なれば、ライフスタイルが大いに異なっている可能性も大。その状態で、心置きなく日々を過ごせるかというと、そんな気もしない。そこに、めっちゃ引っ掛かった。

 

戸建てと比較すると、意思決定する機会も増えるのが集合住宅。住民層がバラバラだと、管理組合が機能しなくなり、意思決定がより困難になる。どう考えても住み心地が悪そう。新規購入者の懸念を汲んでか、コミュニティの形が見えない新築マンションが続々と建設されていく。

 

海のものとも山のものともわからなければ、よい未来像、楽観的観測を抱きがちで、汚点が目につかないから、新しいものの方が好まれる。転勤族も多い土地で新しいものを好む人は、売り抜けやすさも考慮してる。

 

明治の昔から続く歴史的建造物にはそこそこ恵まれているものの、街の重み、みたいなものは札幌には感じにくい。それは、個人の住宅という私的空間で、ストック、資産価値はあんまり考えてないよねという事例を、あまりにも頻繁に目にするから。北国で雪の問題があるから、立派な戸建てもマンションにするしかない。全体としてちぐはぐで、だから風格や威風堂々と言われても、どこか軽いんだ。

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(鯉が泳ぐ鴨々川。鯉、多過ぎ。)

 

お休みなさーい。

 

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冷やして食べるとなお美味、なすの揚げ煮

親の仇のように嫌ってる揚げ物だけど、夏になるとなぜか登場回数が増えている。。今では年中手に入るけど、なすは基本夏の野菜。夏場は大活躍してくれる。揚げたなすを煮浸しにしたこのレシピは、揚げたても美味しいけど、冷たくひやすといっそう美味しくなる。

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【材料】

  • なす 3~4個
  • オクラ(ししとうでもピーマンでも)3~4本
  • 砂糖 大さじ1強
  • しょうゆ 大さじ1と1/2
  • みりん 大さじ1/2
  • 塩 少々
  • ねぎ(小口切り)
  • しょうが(すりおろし)
  • だし カップ3/4(150ml)

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なすはヘタを切り落とし、縦半分に切ったあと、皮目に斜めに包丁目を入れていく。包丁目が入っていると、揚げた時に火が通ったかどうか、わかりやすくなる。火が通るとぱっかーんと皮目が開くのさ。オクラは、ガクとヘタを切り落としておく。

 

揚げる時に油ハネしないよう、水分を丁寧にふき取っておく。←これものすごーく大事。

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揚げ油を170℃に熱し、まずは皮目を下にして揚げていく。周囲が色づいてきたら裏返し、両面に火を通す。このあとだしで煮るので、完全に火が通らなくても大丈夫。

 

なすに火が通ったら、オクラも素揚げにする。

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粉末のかつお節を、お茶用のパックに入れたもの。気持ち、だしが濃厚になるので愛用してる。

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別の鍋に、だし(水150mlに粉末のだし小さじ1が目安)・しょうゆ・砂糖・みりん・塩を入れ、ひと煮立ちさせる。ひと煮立ちしたら弱火にし、揚げたなすの皮目を上にして入れ、6~7分煮る。オクラ(あるいはししとうでもピーマンでも)は火を止める直前に入れ、軽く火を通す。

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完成。素麺の季節の常備品、小口切りにしたねぎとすりおろしたしょうがを加える。大根おろしを加えても美味しい。

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この状態で、食べる直前まで冷蔵庫で冷やし、冷たくして食べるのが夏場は好き。

 

揚げ物さえ面倒に感じなければ、簡単なレシピ。市販のめんつゆを使えばもっと簡単にできる。揚げ物にすると、片付ける方が面倒なのよ。。

 

かなり甘くて濃い口のだし。素麺のお供にしてもいい感じ。夏場は濃い味付けの方が、食がすすむような気がする。緑の野菜は、オクラのかわりにししとうでもピーマンでも使える。好き嫌いがわかれるけど、ニガウリを素揚げにしてもまぁまぁイケる。

 

夏野菜が美味しい季節に作りたくなるレシピ。もともとは、テレビのお料理番組のテキストに載っていたもの。

 

ちまちまため込んだレシピの切り抜き、まだ山ほど残っているので、根気よくテキストに起こしていきましょう。アナログをデジタルに移し替える作業は、大変だねー。

 

お休みなさーい。

 

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いざという時には守ると覚悟を決めた大人向け、『シン・ゴジラ』見てきた

男でも女でも、家族持ちの中間管理職以上でエヴァンゲリオンにハマった組織人ならきっと楽しめる、『シン・ゴジラ』見てきた。ゴジラが出てくる怪獣映画とはいえ、これ完全に大人向けですわ。


『シン・ゴジラ』予告

ゴジラに限らず怪獣映画全般に興味ナシ、エヴァには銀英伝ほどの思い入れナシ。見に行こうと言われるまで、視界にさえ入ってなかった『シン・ゴジラ』だけど、予想以上に大人向けで、最後まで飽きることなくストーリーに集中できた。

 

すでに大人、守られる側ではなく守る側の立場の人視点に立って作られた作品なので、「子供置いてけぼり」との指摘はまったく正しい。守るべき何かを抱えつつ、板挟みになった経験のある大人ほど、胸熱になれそう。

 

上司と部下、理想と現実のギャップ、情と理、子供か親か。板挟みの形にもイロイロあり。板挟みになりながら、それでも大切な何かを守り切ろうと最適解を求めて出口のない道を歩いた。そんな経験のある人ほど、共感できる要素あるある。なので、ある程度の年輪を経た大人向け。

 

ゴジラ襲来!倒せ―!!!と単純にドンパチできない「大人の事情」を濃密に描いた、怪獣映画というよりパニック映画にして、大災害の裏面を描いた作品。脅威のレベルも定かでない、前例のない緊急事態を、どう乗り切るのか。そこに主眼が置かれてるから、ドンパチやってスッキリという、単純なストーリーがキライな人の鑑賞にも耐える。


ついでに対ゴジラ相手のドンパチなので、リアルな暴力シーンは苦手な人でもダイジョーブかと。一種のファンタジーだから。

超法規的措置をとるにも、まずは適法かどうかが厳しく問われる。その姿に、どれほど安堵を感じたか。結局のところ日本は法治国家なんだから、まずは法に照らすのが組織人なのさ。

 

板挟みになった経験のある人ほど、胸熱になれそうと書いたものの、登場人物たちが板挟みで苦悩するシーンは実はあんまり描かれない。なぜならメインの登場人物となる官邸・自衛隊、関係機関といった彼らは、いざという時には「守る」ことが決まっている人たち。だから、ゆらがない。

 

そして守ることが大前提なのに、守る方法がわからないから苦悩する姿が描かれている。できることは限られている、万能じゃない人たちが、手探りで進んでいくからいーの。

 

彼らは、日本という国がなければ居場所を失う人たち。

 

社内公用語は英語、売上の30%以上は海外というグローバルカンパニーであれば、いざとなれば日本を捨て、本社も従業員も外国に移せばなんとか生き延びることができる。どこの国でもやっていける、突出したアーティストでも説得力に欠ける。

 

そんな人や組織は、国境を越えてどこにでも行けるから、守ることにこだわりがない。こだわりのない人は、対消滅させたところでさして胸が痛むこともない。

 

守りたい、残したいと思う人が、対消滅させないためにギリギリまで知恵を絞る。その姿に既視感を覚えるから、胸熱なんだ。

 

守ろうとするのは日本という国がなければならない、日本に依存した人たちとはいえ、個々人は世界に職場を求めても何とかなりそうな優秀な人たち。そんな彼らが、いざという時には全力であなたを、あなた方を守りますというメッセージをビシバシ発してくる。

 

何があっても日本に残らざるを得ない人は、見捨てられないと思ってきっと安堵する。そして守る立場の人は、見捨てるものかとやっぱり気持ちを強くするのかも。

 

エヴァの音楽使ってるし。どれほどの脅威なのか、弱点は何なのかがわからないゴジラを、使徒に置き換えても問題なし。ゴジラだけどエヴァエヴァだけどゴジラ。初代ゴジラからの系譜やバックボーンの代わりに、エヴァさえ知っていればOK。それでも十分楽しめた。

 

ゴジラを倒すのは、超人でもなくスーパーモンスターでもなく、データ。徹底的にデータを分析し、ゴジラを無力化する方法を探る姿は、情報こそ力となった時代のゴジラの倒し方にふさわしい。そのデータが取引材料にもなるところも、なお今の時代っぽい。

 

ニコ動っぽい実況あり、Twitterに“よっぴー”というアカウントありで、小技もいっぱい。細部にも遊びがあって笑える。石原さとみのキャラもよかったけど、私は市川実日子押し。眉さえボサボサで、でも職務には真摯という設定は大変好物です。

 

バンクシー・ダズ・ニューヨーク』に『トランボ ハリウッドに最も嫌われた男』に『裸足の季節』にと、見たい映画が目白押し。でもシン・ゴジラ』を見て“明日もガンバロー”と元気が出るのなら、お付き合いするのもなんてことない。こっちだってお花畑とかお花畑とか。気がすすまないであろう場所を、散々引っ張り回してるんだから。

タワマンが景気よくぶっ壊れていくところは、フィクションだから爽快。繁栄を謳歌するよりも、もしかすると廃墟から立ち上がるパターンの方が、はるかに馬鹿力を発揮しやすいのが日本なのかも。それはそれでどうなのよと思いつつも、面白かったよ。

 

お休みなさーい。

 

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かつてあったいいことは、どこかで今も生きつづける

今日7月30日は、狸小路商店街が一年でもっとも賑わう日、狸まつり。老若男女でごった返してた。モンスターに頼らなくても、この日に限っては集客力抜群さ。

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とはいえポケモンGOで人がワラワラな景色、一度はみて見たい。秋葉原ドラクエのすれ違いスポットが出現した時、すれ違いを求めるたくさんの人の群れに、ゲームとは縁遠いながら、心が躍った。何か新しいことが始まってる気がして、ワクワクした。

 

東京は、日本でいちばん文化が集積してる場所。メインカルチャーからポップカルチャーサブカルチャーまで、なんでも揃ってる街。クラシックでも前衛でも、その気になれば第一線の人から教えを請うことも可能で、どこまでも自分の興味を掘り下げることができる。

 

濃厚にカルチャーに浸りたい人や、常に面白いものや新しいものに触れたい人にとって、選択肢は地方より断然多いパラダイス。なのにその東京で、ポケモンGOが今流行りにはやってる。

 

ありとあらゆるカルチャーに気軽に触れられる環境で、それでも大勢の人がポケモンを選んだのなら、もう文化、カルチャーをゲームにOnしていくしかない。

 

ということくらい、頭のいい人たちは当然考えるわけで、気付かないうちに知的文化的知識をゲームを通じて体得する同種の試みは、ポケモンに限らず今後も続くんだろう。

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道徳やモラル的なものは、教条的に教え込んだら本音と建て前で使い分ける狡猾さにつながって、思ったほどには広がらない。だから、エンタメを通じて広く薄く、網をかけるように浸透させていく方が、結局は効率がいいと思ってる。

 

都市居住者が今後も増え続けると、衣食足りずに礼節も足りないまま、衣食足りて礼節を説く人への反感を募らせる層も増え続ける。都市の格差は苛烈だから。道徳やモラルを説いたところで聞きゃしない。だから、遊びを通じて体得するのがいちばんなんだ。

 

ライトノベルやアニメにコミック、それ以前は映画や文学的なものがそのツールだった。今ならゲームを拡散ツールにするのが、いちばん効率がいいのかも。

 

そして旧時代の拡散ツールは、最新の拡散ツールであるゲームの土台として取り込まれ、さらに昇華してゆく。どちらのツールが上位か下位かの話ではなくて、どちらも必要で、どちらのパワーも最大限に引き出されたから、ポケモンGOのような大ヒットにつながったと考えるとスッキリ。

 

イングレスにはなかったポケモンというキャラクターが加わることで、より敷居が低くなって、大勢に受け入れられやすくなってるから。

 

欲しいものが手に入らなくてツマンナイ思いをした人が大人になって、ルアーモジュールを差してちびっこ喜ばせて。つまらなさそうな子供や誰かのつまらなさを解消してるかと思うと、ほっこり。

 

“かつてあったいいことは、どこかで生きつづける”を思い出してニッコリできる。誰かにもらったいいことのバトン、ちゃんと受け継がれ続けてる。ポケモンGOのヒットは、そこがいい。

 

お休みなさーい。

北大総合博物館内にできた、「ミュージアムカフェぽらす」に行ってきた。

耐震改修工事を機に館内もリニューアルオープンされた、北大総合博物館に行ってきた。

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東京は上野にある国立科学博物館を、ギュギュギュッと凝縮したような場所。北大全12学部の主要な研究内容を紹介する、お披露目コーナーもあり。まん丸お握りをギュギュギュッと三角に握り直したような凝縮具合なので「へー」以上の感想は出ず。

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(これは、学内で見かけた花)

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鉱石の展示でもあればともかく、「動き」のない展示品にはあまりココロが踊らないのであった。。

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お目当てその1は、昭和4年に完成したという、北大構内にある最古の鉄筋コンクリート建築のその中身。外見も茶褐色のスクラッチタイルを使用したモダンかつ、クラシカルな建物。中身もクラシカルで、ステキだった。

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教会の礼拝堂ちっくなこちらは、通称アインシュタインドーム。三階まで吹き抜けになっていて、クラシカルな北大総合博物館内でもひときわ趣のある場所。

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白天井の周囲には4つのレリーフあり。それぞれ、果物・向日葵・蝙蝠・梟となっている。

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来歴がまたカッコいいんだ。

四つのレリーフは、この建築で行われる研究・教育には一日中、昼も夜も無い事を表し、創立当時の理学部構成員の心意気と努力、さらには理想を示している。

 あ、ここ旧理学部本館だそうです。

 

人工知能にもっとも置き換えにくい分野は、義務と趣味とが混ざり合った世界。でも現代でこれ言っちゃうと、ブラック職場認定が待っているところがツラいところ。創成期にしか持ちえない情熱の残滓だね、とか言っちゃうとよりかっこよく聞こえる。

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(これも学内の風景)
7月26日にリニューアルオープンしたばかりなので、来館者でにぎわってる。

 

人でにぎわうなか、妙にイイ匂いも漂っている。匂いのもとをたどって行くと、カフェがあった。リニューアルに合わせて、ミュージアムカフェやミュージアムショップもオープン。

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時々お散歩に来る場所だけど、学内には部外者がひと休みする適当な場所がなくて、地味に不便だった。部外者は、のんびりひと休みするなという声もごもっとも。観光客も来るけど、基本は学び舎で研究施設だからね。

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メニューには、ソフトクリームもあり。訪れた日はハラヘリだったので、がっつり食事系の豆カレーを選ぶ。スパイシーで、お値段相応に本格的なお味だった。

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元は教室と思われる場所が、おしゃれな飲食スペースに変身。

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建物の模型が飾ってあるこちらの壁っぽいものは、よーく見ると黒板なんだな、これが。ホワイトボードを目にすることはあっても、黒板には滅多にお目にかからないから、妙に感動。

 

壁を黒板に変えるナントカがインテリとしてあるのは知ってるけどさ。実用っぽいところがいい。

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化石や恐竜が、多分こちらの博物館の一押し。ミュージアムショップにも、グッズがいろいろ揃ってるくらいだから。

 

お買い上げごとに農学部への寄付となる、大金畜産製のハムはこちらでは見当たらず。正門付近にある、インフォメーションセンター「エルムの森」でならまだ売ってるのか。気がつけば、イチョウ並木の北13条門まで来てたから、確かめもしなかったけどさ。

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にぎやかしの来館者(ワタシモナー)が落ち着いたら、またじっくり建物内部を探検しに来ましょ。

 

お休みなさーい。

 

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子供の頃に感じた故郷の美しさは本物、『フラワーショウ!』見てきた

ガーデニング界におけるオリンピック的イベント、チェルシー・フラワー・ショーがテーマのアイルランド映画、『フラワーショウ!』を見てきた。


バラにラベンダーにすももにひまわりに。季節の花を見るためなら、遠征も厭わないお花畑好きにとっては、見逃せない。キュートなガールズサクセスストーリーで、安心して楽しめた。


7/2(土)公開 『フラワーショウ!』予告篇

アイルランドの田舎で育ったメアリーは、「自分のデザインした庭で世界を変えたい!」という夢を叶えるため有名なガーデンデザイナー、シャーロットのアシスタントに応募。晴れて採用されるも、高慢で貪欲なシャー―ロットにコキ使われた挙句、長年書き溜めていたデザインノートまで奪われクビに…。

どん底のメアリーがひらめいたのは世界中が注目する「チェルシー・フラワー・ショーで金メダルを獲る」ということ。コネもお金も経験もないメアリーだが、わずか8枠に殺到した2000人の応募者の中から見事合格―。ヒッピー風の庭師や密かに思いを寄せる植物学者のクリスティらで寄せ集めチームを結成し、一路チェルシー・フラワー・ショーへ。果たして―? (映画公式サイトより引用)

 恋は二の次の方が、人生うまくいく

ランドスケープ・デザイナーというお仕事を、初めて知った。現在はランドスケープ・デザイナーとして第一線で活躍する、実在の女性メアリー・レイノルズをモデルにしてる。

 

メアリーが成功のきっかけをつかむ、チェルシー・フラワー・ショーをめぐるストーリー。ところどころご都合主義、時々スピリチュアルあり。でもいーの。

 

若くてコネなし金なしキャリアなしの女性が、100年以上の歴史を持つ世界で成功しようと思ったら、ちょっとくらいハンデもらわないと、やってられない。しかも、メアリーがやろうとしたことは、伝統に大きく背くもの。

 

メアリーをアシストする、優しくてハンサムで多芸な植物学者クリスティは、メアリーがゲットした強力なハンデ。情熱だけでは乗り越えられない、さまざま壁を乗り越えるためのキーパーソンがクリスティ。頼りにならないようで、頼りになるんだ。

 

恋に流されないのが、現代の女性。メアリーにとって一番大切なことは、思い描いた通りの庭をフラワー・ショーで披露すること。生き方がぶれないメアリーに、恋も仕事もついてくる。アイルランドも飛び出す、紆余曲折を経てだけど。

 

生き方がぶれない人には、周囲から支援の手が差し伸べられる。ここも、一見メアリーに都合がいいようだけど、現実だってそんなもの。現実を変えたい人はひとりじゃない。やりたい!と手を挙げた人から順番に、幸運の女神も微笑んでいく。

 

いちばん大切なことは、人と自然との調和

フラワー・ショーは豪華に花を飾り立てる、とても不自然なもの。デザインの新奇性を競う、自然とはかけ離れた庭が、世界でいちばん素晴らしいガーデンデザインと称賛される世界。

 

アトラクションとしては面白いけれど、正直“ほっとする”とか“のんびりする”といった感想は出てきそうにない庭も並ぶ。

 

メアリーは最先端を競う場所に、太古の自然を思わせる庭で挑み、嘲笑もあびる。洗練とは遠く、野暮ったいから。でもさ、最先端を競う場所に、ぽっかり抜け落ちてるものこそ「新しい」んじゃないの?

 

今までになかったもの、これまでの常識を覆すものだったから、真価がわかったのもトップオブトップの人たちだけ。メアリーがアシスタントとして仕えるシャーロットは、イヤな女だけど、見る目だけはあるんだ。

 

とあるシーンでは、もっとイヤなことをするかと冷や冷やしたけれど、そこはやっぱりデザイナーで美を尊ぶ人だもの。美を尊ぶ人は、そうそう醜には転じない、転ばない。

 

子供の頃に見た故郷の美しさを、原風景を信じること

メアリーが育ったのは、アイルランドの雄大な景色の中。しょっちゅう殺虫剤でケアしないといけない、ひよわな花や植物よりも、生命力旺盛な野の花や木々が幅をきかせる場所。

 

王侯貴族のお庭のように、人の手がかかりまくった庭も美しいけれど、雄々しささえ感じさせるワイルドな自然も、同じく美しい。サンザシの花、意識したことはなかったけど、すでによく見知った花だった。

 

メアリーがやろうとしたのは、人の手がかかりまくった不自然なものこそ素晴らしいとされる美の基準を、もっと素朴で簡素な方向へと引き戻すこと。

 

世界のフラワーマーケットを牽引するガーデンデザインや、最先端のガーデンを飾る花もまた、最先端の育成技術を駆使して生まれたもの。最先端のものは、きらびやかな世界、資金力豊富な都市でまずはもてはやされる。最先端の商業施設とか、セレブリティが集まる場でとか。

 

ところが美の基準をもっと素朴で簡素な方向に引き戻すと、素朴でワイルドな野の花や木々がある場所も、あら結構いい所ねと見直されるようになる。見直されると、花を見るためなら遠征も厭わないお花畑好きが、はるばるその場所へと足を運ぶようになる。

 

メアリーはフラワー・ショーで成功への足掛かりをつかんだとはいえ、そこは茨の道。彼女の挑戦は、それまでのガーデンデザインの常識だけでなく、経済的な生態系も覆すことになるから、ギョーカイの人は彼女に冷たいんだ。

 

サポーターも増えたけど、むしろフラワー・ショー以後の方が、実際は大変だったのかもしれない。そこは描かれてないけれど。

 

子供の頃に見た原風景こそ素晴らしいとぶれないメアリーだからこそ、不毛な大地に木々を、いずれは花を芽吹かせるのかも。“残ったものを守り、失ったものを再生させ”ながら。名前も覚えられない新種が逐次投入される、市場とはまた別の場所から。

 

正直ある種のアピールが時々ウザかった。とはいえ、そこは甘受しましょ。何しろヒロインは、コネもお金も経験もない若い女性だったんだから。

 

魂が震えるような大きな感動とは無縁だけど、希望が感じられて、それなりによかった。

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お休みなさーい。