札幌名物であるスープカレーもラーメンも、字面だけでお腹いっぱい。こってりしたものには胸焼けがするお年頃(加齢現象とも言う)なので、蕎麦やうどんをツルツルっといきたくなる。
そこで、「蕎麦 古民家」で検索した中から1時間くらいで行けそうなお店に行ってきた。札幌から車で1時間ちょっとの距離、夕張郡まで蕎麦食いドライブ。
目的地は「夕張郡栗山町」。道央道岩見沢インターチェンジから約20キロ、20分。東京をのぞいた全国46道府県だったら特に目新しさを感じない、人口密度低くてスカッスカの景色を通り抜けていく。


(これが田んぼや畑だったら、北海道以外でもきっと珍しくないはずの景色)
ありふれた郊外の景色を抜けて目指すお店「錦水庵」に到着。昭和元年建築の、趣ある建物がステキ、駐車場には謎のトイレ。


何なんすかここ???

蕎麦屋の建物もステキだけど、それ以上にすごいのは、錦水庵一帯は小林酒造の敷地になっていて、この周辺だけ明治村。レンガ造りの由緒ありげな建物がズラズラと連なっていて、びっくりした。




「北の錦」が、小林酒造の代表的銘柄らしい。小林酒造の創業は明治11年とかなりの老舗。「錦水庵」は小林酒造の元役員住宅を蕎麦屋に改装したものらしい。
かつては住宅だった面影があちこちに残る店内。昔の人は背が低いから、天井が近くて、部屋の造作もどこかちんまり。そこが、いかにも昭和の民家な感じで面白い。

(神棚あるよ)

(囲炉裏あるよ)


天ぷらは蝦夷前と呼びたいような味わいで、江戸前のようなサクッとカラッとからはやや遠い。でもいーの、美味しいから。そして、濃い目のお出汁がとにかく美味しかった。昆布やかつお節を、さぞかし気前よく使ったんだろうなという、出汁がいっぱい効いてる味。蕎麦の出汁なのに、異常に美味しく感じた。お蕎麦も太めの田舎そばで、垢抜け過ぎないところがいい感じ。美味しかった。

(薬味に柚子が添えてあるところがまたよし)

(こちらは冷たいぶっかけ蕎麦)




中庭もあって、「錦水庵」だけでも面白い建物なのに、それ以上に面白い建物が後に控えてる。


(こちらはオフィス。オフィスだけど杉玉が目印)

小林酒造創業者のお宅「小林家」は見学も可。

(いたるところに杉玉が。。)



何なんすか、これは???と思う謎の機械は、「蒸気機関」。蒸米作りや酒道具の殺菌のため、酒蔵では大量の蒸気を必要とするそうな。そのためのボイラーだったとか。潜水艦みたい。


敷地内移動を容易にする、ルート固定型の台車。アナログだけど、使い勝手良さそう。
レンガ造りの立派な建物群の中に、小林酒造創業者の自宅「小林家本宅」がある。登録有形文化財だそうです。このお宅に、2013年まで実際にお住まいになってた人がいることにびっくり(@_@)した。

部屋数が20いくつ(確か)もある和風大邸宅。金田一耕介がお世話になっていてもおかしくないようなお宅は、有料解説付きで内部も一般公開してる。時間の都合で解説はパスし、炬燵で甘酒(有料)をいただいた。

有島武郎『生まれ出づる悩み』のモデルとなった画家、木田金次郎の絵。漁夫画家の絵を、地方名士のお宅で実際に目にすると、内心かなーり複雑。。


(龍神様、冬季は室内へお引越し)

(盛り塩。本来商家の習慣だよね。。)


「蔵元 北の錦記念館」。北の錦関連の直売所、限定品もあり。一階の一部と二階は、展示室になっている。二階へと続く、階段がまたステキ。





手摺や壁面のモザイクに、思わずスリスリ。同好の士が多いせいか、手摺もぴっかぴか。

夕張炭鉱という一大消費地を控えていたせいか、往時はバカ売れしたっぽい名残を感じさせる展示品が並ぶ。「見せるもの」が多いのは、老舗や名家の特徴ですね。なぜか歴代首相の色紙も展示されており、達筆か否か、つまり教養があるかなしかが丸わかりなコーナーもあって楽しい。麻生さんとか、さすがは名家の生まれだけあって立派な字を書いていた。

ヤクザの杯がためと間違えそう。甑倒し(こしきだおし)の祝宴風景を再現したものだそうで、酒造りが無事に終わった、お祝いの儀式として行われたとか。形を変えて、現在でも甑倒しの儀式は続いているそう。
小林酒造の直営店「七番蔵」は、狸小路近くにあり、そちらのお店もやっぱり杉玉が目印。お店の名前ではピンとこなかったけど、杉玉でピンときた。あぁあそこね、と。
小林酒造では、酒蔵見学もやっているそう。道産米の純米酒作りにがんばっている酒造屋さん、酒蔵見学の日は、納豆・ヨーグルト・漬物・果物は厳禁で、それも酒蔵の菌を守るためだとか。厳しいけど面白い。
単に古民家で蕎麦食べたかっただけなんだけど、思いがけずに良い経験だった。何てってお年頃(加齢現象とも言う)だから、ディズニーランドのアトラクション並みに楽しめた。

(おまけ。近頃めっきり見なくなった鯉のぼり。帰路で見つけた。)
お休みなさーい。
