『くるみや』のシフォンケーキを食べた。
創業50周年という、札幌では老舗の洋菓子屋さんで、根強い人気があるらしい。石山通り沿いの「山鼻店」店内のイートインで食べたけど、デパ地下にも時々出店してるんだよね。本店は明石にあるそうで、だから支店である札幌のお店は「山鼻店」なのねと納得する。
(店内もレトロな感じだったけど、食器も北欧アンティークな感じでステキだった。)
たっぷり生クリームがかかってるけど、くどくない味なので、ぺろりと食べてしまった。甘すぎずにふんわり。てらいのないスタンダードな味で、甘い物が苦手な人でも、ここのシフォンケーキなら食べられるとか。
甘い物が苦手だった、小説家の氷室冴子さんもここのケーキなら食べられたから、作品のヒロインにもしょっちゅうここのケーキ食べさせてたんだね。
まさか自分が札幌に住むなんて、その当時は思いもよらなかったから、ケーキの存在は完全に忘れ去ってた。実在するお店とも思ってなかったから。ドーナツは覚えてるけど。
そんなケーキと時を超えてご対面して、相当久しぶりに『クララ白書』を読み返してみた。ありがとう電子書籍、こんな時にはすごく便利。再文庫化にあたり、内容に少し手が加えられていて、携帯電話やコミケなんて言葉が出てきてた。
『くるみや』もしっかり登場してた。そっか、ここで出てきてたのねと確認できたけど、当時は地下街にもお店があったのね。
読み返す必要もないくらい、登場人物もストーリーも頭に入ってたけど、読み返すと新しい発見が、やっぱりあるもんだ。スイーツ以外にもね。コドモダマシに関するエール、昔から刷りこまれてました。
もうお亡くなりになってしまった小説家が、「甘すぎずにふんわり」の作品イメージを重ねたケーキはまだ現役で、なんだか不思議な気分だった。
ケーキを食べた幾人かは、『クララ白書』と『くるみや』について、ちゃんと書き残してくれていた。人は消えてもモノは残って、モノに触れた人が思いを残して。愛されるモノを作った人は記憶に残り続けて。
赤坂『しろたえ』のチーズケーキも、本から学んだスイーツだったな、そういえば。
たかが、本なのよ。シリーズ合計4冊にしかならない。それなのに、時間を変えても場所を変えても、今もうれしい・楽しいを連れてきてくれる。単純にできててよかったと思う、連休最終日でした。
お休みなさーい。