クローズドなつもりのオープン・ノート

~生きるヨロコビ、地味に地道に綴ってます~

前のめり

ちょっとしたスキマ時間に、ちょっとだけ。短編集やエッセイの中から、ランダムに選んだ一編あるいは一章をツマミ食い。先月はそんな感じで、同時進行で複数冊に何度も目を通していた。「好きな文章を何度も繰り返し読む」のが目的。

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料理家で文筆家によるエッセイには、「エディブルフラワー」、食べられる花びらを使ったサラダのレシピが載っていた。
 
 
花びらのサラダの材料となる花は、クローバー・デイジー・タンポポハニーサックルローズ。どれも、食べるのかよ!?と驚くようなものばかり。ハニーサック ルローズは、忍冬(スイカズラ)のこと。初夏に白い香りのいい花を咲かせ、生け垣などに勝手に絡みついてることが多い、可憐な見た目に反して生命力の強い花。
 
 
白い花、木蓮やクチナシなどは総じて枯れると茶色く変色して小汚くなる。スイカズラは、枯れても茶色くならず、黄色に転じるから別名「金銀花」という小奇麗な名前を持つと。これはずいぶん昔に、知人に教えてもらった。
 
 
とにかく、お馴染み過ぎる花を使ったサラダにかけるのは、ヴィネガーとオリーブ油で作ったオーソドックスなドレッシング。お馴染み過ぎる、どの味も想像が容易な素材で作った、トンデモ系レシピ。冷えたシャンパンと一緒に食べることをおススメしてた。
 
 
ビ ジュアル受けするけど、「お試しあれ」とホームパーティか何かで出てきたら、全力で食べることを回避したい。どうしても実食せざるを得なかったら、「ク ローバーの青臭さ、タンポポの苦味、スイカズラの甘い香り。それが混然一体となって、なぜこれを食べねばいかんのだ???」あるいは、「食糧難に陥って も、ココロはパンよりケーキをお食べ。ケーキはお腹にたまるけど、花びらでは腹はふくれん」とか、全力でネタに昇華する。例え脳内だけであっても。
 
 
あ、これってネット脳かも。
 
 
トンデモ系レシピ見てもスルーして、「雰囲気」を味わえばいいんだけど、つい「ネタに全力ツッコミ」しそうになる。勢いあまって「このレシピ、ほんとに美味しいのか試してみた」と、やってみたレポートも上げそうになる。ものすごい前のめり。
 
 
「好きな文章を何度も繰り返し読む」のが目的で手に取ってる本なのに、気付けば「ネタに全力ツッコミ」してる自分がいて、わりとイヤになった。
 
 
雰囲気を味わうんだ。一点の曇りもなく散りばめられた美辞麗句を、美しいものは美しいものとして、ありのままに受け止めろと自分に言い聞かせていると、ものすごい脱力感に襲われる。疲れる。
 
 
スマホを捨てよ、町へ出ようと思うのは、そんな時。なんでもかんでもネタ化しようとする悪習が、すっかり身についてしまった。いかんいかん。