天気がよかったので、余市まで桜を見に行ってきた。
今年は桜の開花が早く、日当たりのいい街中の桜はGW前に散り気味だけど、札幌を離れたらきっとまだ見頃だろうという予想は大当たり。
ちょうど満開で心ゆくまでお花見、桜を見てのお散歩が楽しめた。
冠雪している山を見ると、あぁ春だなぁと心から思う。春の川の色も海の色も夏とはまた違う青さで、天気がいいせいかキラキラ光って見えた。空と川は青く、山には雪。新緑が芽吹いてピンクの桜並木にところどころに黄色い水仙が咲いて。
一面が真っ白だったに違いない、冬を越えての景色だと思うからただきれい。
日本ならどこでもありそうな景色。だけど、千年前から日本だった土地とは違う歴史と文化を持つ場所で、いかにも日本の春らしい景色だからこの景色をこの地に出現させた先人にはただただ感心するし畏敬の念しかない。
宮崎駿の『カリオストロの城』では、贋金作りという産業が潰えたあとにローマ時代の遺跡が現れて、今後は遺跡がその地を豊かにするだろうと示唆するストーリーだったけれど、その種の仕掛けはきっとあちこちにあるんだろうと思った。
一人を倒すことはたやすいけれど、千や万の訓練されて教育された集団を倒すことは難しいのが古代ローマのイメージ。
その種の集団が何らかの意志を持って作ったものは、たやすく壊れたりせず長持ち。長持ちだからその時々で役割を変えながら、役に立つようにできている。
余市の駅前にはキルト模様の旗が翻り、ニッカでスコットランドでリタで『マッサン』を思い出す。”初めて”に対してとかく風当たりが強い。そういう風土で”初”の看板を背負うことはきっと大変で、大変だから強力な守護もつくんだろう。
今宮神社のあぶり餅に神馬堂の焼き餅、桂の麦代餅。東京だったら思いつくのは言問団子に草餅。
今も変わらずかどうかは知らないけれど、この種の買いやすくて食べやすい、老若男女の財布が開く門前で買えるようなかしこまらないお菓子というよりおやつは侮れなくて、長く続いた買いやすくて食べやすいものほど侮れない。
材料と作り手。そのどちらも途切れないってことだから。
桜に紅葉。お花見に紅葉狩りはレジャーというほど構えない気軽なお出掛けで、気軽に出掛けるから近場になる。
持ち物にも着る物にも困るお出掛けは完全なレジャーで、レジャーだから持ち物や着る物を考えるときから始まっている。
気軽なお出掛けは何しろ気軽だから、持ち物にも着る物にも困らず気軽に出掛けた先で気軽に物を買う。ちょっと試してみたかったものやちょっと食べてみたかったものが目の前にあれば簡単に買ってしまうから、買いやすいものは本当によくできている。
思い立ったらすぐに車で出掛けられる距離だから、電車で出掛けることは稀な小樽方面。新幹線が通る倶知安方面までは交通系ICカード圏内だと信じて疑ってなかったので、小樽から先の駅では使えないと知ってかなりびっくりした。
電車で出掛けようと思ったのは、GWに限らず観光のトップシーズンになると車をとめる場所を見つけるのさえ難しくなると経験してるから。
普段は空いているけれど、何かがあると信じられないほど混雑する場所の現実解はこういう景色になるのかとも思った。
初の看板を背負って切り開いていく、その種のフロンティアが見る景色の時間軸は長く、看板など背負ってない人の見る景色は短くて一瞬で、瞬く間に変わるから豹変する。
変わらない景色と一変する景色と。時間を置いて見るとよくわかる。
（例年より桜の開花が早かった大通公園で見つけた、開花したライラック。早っ。）
（今は工事中の教育文化会館の桜も満開。工事中だけど、桜は見れるよう配慮されていた。）
