クローズドなつもりのオープン・ノート

~生きるヨロコビ、地味に地道に綴ってます~

おままごととミクロ

おままごと遊びにリカちゃんハウスにドールハウス

 

子ども用の、あるいは本物ではない道具を使ってご飯を作る真似事をしたり、家族(ペット含む)の世話をしたりといった遊びは、家の中を向いた遊び。

 

おままごとからリカちゃんハウス。そして道具類がより精巧でリアルなドールハウスへと、道具が高度になるにつれて家族の姿は希白になって、道具あるいは調度ばかりが立派で目立つ、モデルルームに近付いていく。

 

立派になった調度や道具(=ツール)に囲まれきれいに整えられた家のなかでは、うっかり大声を出すことも騒ぐことも似つかわしくない空間になる。

 

食べ物を盛る器もおもちゃっぽければ、出てくる料理もその辺りで採れた本物とは似ても似つかない外遊びのおままごとは、いってみればキャンプっぽい。

 

リカちゃんハウスやサンリオのキャラクターが住んでいたハウスものになると、おもちゃだけどリアルに近付いて、本物のハードルを下げて来店しやすくしたファミレスやフードコートっぽい。

 

キャンプもファミレスもフードコートも、おとなしくしていられない子どもでも楽しく食事できるシチュエーションだから、声を出しても動き回っても基本無問題。

 

だけどより精巧なミニチュアを揃えたドールハウスの中は、取り扱い要注意な道具や調度がいっぱいで、乱暴に取り扱うことも中で暴れるのも似つかわしくない室内となって、お子様お断りの高級レストランといっていいものになる。

 

乱暴に扱われることもなければ、散らかり放題で乱雑になることもない。だから安心して取扱い要注意の繊細な道具や調度も揃えられるし、丁寧に手入れしようという気にもなる。

 

どの料理も手に取りやすい大きさの器に盛られ、詰め込み過ぎずに余白があって、食べられない飾り付き。高級料理が美術品のような調度で整えられた室内、時には眺めて楽しいお庭や景色付きなのは、“中を整えよう”という発想がないと出てこないし、作れない。

 

今ではどうだか知らないけれど、世界三大料理といえばかつては中華料理にフランス料理、そしてトルコ料理

 

あれはそれぞれかつてあった宮廷料理の名残で、中華帝国にフランス絶対王政オスマントルコ帝国にルーツがあると考えれば納得する。

 

各地から季節の美味や珍味が遅滞なく届く流通網が整っていれば、最高の食材を最高の技術で調理可能な料理人も揃っている。料理人が腕をふるいやすい厨房と厨房機器が揃っていないとできない料理や食事で、美食を食すに相応しい器=宮殿にあわせてスケールアップしたんだと考えることもできる。

 

手が届いて目が届く。ミクロな範囲で隅々まで美意識が行き届いた高級料理は、大量供給できない。

 

本来大量供給できないはずの高級料理を、大規模な会食というビッグサイズに合わせて出せるのならそれはもう宮廷料理。そういってもよく、食材の調達ルートに輸送網・厨房や厨房器具を使いこなせる料理人を、美食を提供するに相応しい宮殿のような空間(掃除も行き届いてサービスできる人材も揃っている)に揃えることができれば宮廷料理っぽいものができあがる。

 

それらすべてを揃えることは誰にでもできないから、最後はやっぱり何らかの帝国を従え常時桁の違う大きな規模を相手にしている集団が、マクロ対応として残るんだろう。

 

食材の調達、厨房の設定に厨房機器の手入れ。そして料理人やサービス提供者のトレーニング。そのいずれかあるいはすべてを阻害するならマクロ対応の側には回れずミクロ、小さな世界の側に回ることになる。

 

宮殿にスケールアップしたところで、そこはやっぱり”中”。手が届いて目が届く。いつもきれいに整えられた家の中が好きで、中を整えることが苦にならないのなら、ままごと遊びをスケールアップさせた空間でも整えらえる。

 

どこに行っても散らかすばかりで片付ける、整えないのなら内ではなく外向きだから、お外に出されるのかも。かもかも。