カタカナのピエール・エルメ、中身はただの炭酸水。
原材料名にも水・炭酸としか表記がなく、製造者には佐賀の会社名があるだけ。旅先の空港で見つけたユニークな一品。
PIERRE HERMEといえばマカロンに紅茶に焼菓子で、イメージはアフタヌーンティーのお供。
PIERRE HERMEからPARISが抜けてカタカナになると、商品の数も種類も豊富になって日本食の食卓によく並ぶものがずらりと揃っていた。
ナプキンにプラスチックバッグに紙コップ。どれもこれもシンプルかつベーシックでありきたり。ありきたりの素材にやっぱりシンプルかつベーシックなフォントで“ピエール・エルメ”と印字しただけ。
誰にでも作れそう、誰にでも真似できそう、ニセモノが山程出てきそう。
だけど、地方とはいえ日本でも有数の利用客数を誇る誰もが知る空港のテナントとして出店して実店舗に商品を持ってきて売るのは、誰にでもできることじゃない。何てったって場所が空港だから。
もしも。笑ってナンボ、ウケてナンボで堂々とニセモノが売られていたら、他の日本らしさやその地方らしさをウリにしている他の商品だって、日本のものでもその地方のものでもなく、日本や地方の許可を取っていなければ話しさえついてないのかもしれないと思われて、だったら何もわざわざ空港で買うことないじゃん。
となって、塵も積もればで最終的には空港のお土産物需要そのものがシュリンクして消えてしまうかもしれない。
地方とはいえ、日本では有数の利用客が使う空港のテナント料あるいは地面のお値段はきっとお高いはず。だから大枚はたいてナニコレ!?と思うような商品を生き残りの激しい空港内の実店舗で売っているのなら、それはプロモーション。
日本食を、それもできるだけよい素材を使って作ろうと思ったけれど、どうやって生産者にコンタクトを取っていいかわからない時は、こちらへどうぞ的にだって見えた、カタカナのピエール・エルメ。
漢字の変換をスマホやパソコンのアプリに頼っていたら、そのうち正しい漢字が瞬時にはわからなくなる。
PIERRE HERMEだって、HERMEからHが抜けてERMEでもエルメと読めるから、HERMEかERMEかわからなくなってしまうことだって、ありえなくない。
どこにでもある素材に、最もシンプルかつベーシックなフォントで誰にでも読めるようにカタカナでブランド名が表記された時。モノが本物か否かをどうやって見分けるかといえば、まずは場所。
パリにニューヨークにロンドン、そして東京。世界級なブランド都市の土地のお値段、地面のお値段がバカ高くなっていくのは、ブランド都市をブランド都市たらしめている、ブランド都市発のブランドのニセモノが増えていくから。なんじゃないかと思った。
寒波がやって来た札幌は、凍てついてる。ツララいっぱい、雪もどっさりで雪まつりが雪まつりらしい雰囲気のなかで開催されそう。