競技に入る前の選手を、“あなたなら絶対に大丈夫。できるできる頑張って”と全力で励まして送り出すコーチ。愛情と信頼を確認し合う姿が、微笑ましい。
愛されたという自信と愛されなかったという恨みつらみ。
逆境をバネに成長するケースも、そりゃあるけどさ。逆境をバネに負けるもんかと気負ってるすぐそばで、十重二十重の愛情に包囲され、のびのび自然体で健やかに成長する姿を見せつけられると、逆境が枷になって自滅しそう。
いざという時にも我を失わずに地力を発揮できるのは、たっぷり注がれた愛情貯金があればこそ。
憎まれ役を押し付けてすまんかったな。
という感情は、愛情かといえば明らかに違う。愛情ではないから愛情貯金はチャージできず、いざという時に地力を発揮する力の源にもならない。
褒めて育てるのか、試練を与えて育てるのか。何を育てたいのかにもよるけれど、おっとりのんびりそれまで大切に育てられてきたものを、突然鬼軍曹がしごいたところで効果なんてあるわけがない。
あるとしたら、愛されなかったという恨みつらみを晴らすための憂さ晴らし。憂さ晴らしで人が育つはずがなく、育つはずがないから愛情貯金がチャージされない相手のもとからは速やかに人も去っていき、人が去るごとに憎まれ貯金がチャージされていく。
世に憚る憎まれっ子は、そうして無敵の人になっていく。
お休みなさーい。