何がきっかけだったのかはもう忘れてしまったけれど、数年前(あるいはもっと前?)に中国の株式相場が大暴落し、「中国の株式市場は下落してはならない」と憤慨する老人がテレビに映し出されていた。
市場経済を取り入れたのなら経済はよくなるはずで、株価は上昇しかしないと信じてたのに。という嘆き、あるいは怒りが込められてるようで、今でも強く印象に残ってる。
年齢からして、市場経済導入前の社会主義国家体制に馴染んできた人。“みんな一緒“の時代を経験し、市場経済導入後は猛スピードで豊かになる人たちに置いて行かれ、やっと回ってきた自分が豊かになる番だったのに、どうして。勝手にその人の置かれた立場を脳内で捕捉すると、そんな感じ。
政府や国家の手厚い保護から切り離され、はじめて直面する市場経済の洗礼は、免疫のない人にとっては残酷。
・みんな一緒という横並び意識を叩きこまれ
・置いてけぼりにされて強い疎外感や孤独感に苛まれたあとで
・またみんなで豊かになろうよと誘いがきて
貯金あるいは株価のような資産が目に見えて増えるのを実感すると、楽観的にもなればつい浮かれもする。“みんな一緒に”というところがポイントで、みんなで一緒に応援した市場や銘柄あるいは商品が着実に上昇していくのを目の当たりにしたとき、その流れに水差す人やモノは邪魔者。
熱狂の渦中にいると、その流れの不自然さには気がつけない。
ハーメルンの笛吹きのように、踊れ踊れもっと踊れとすぐそばでそそのかす声の方が、よく聞こえてくるもの。置いてけぼりにされた経験は、もう二度と置いて行かれたくないと、より前のめりに熱狂へとのめり込ませる。
不自然な流れに不審を感じながらも乗っかる人は、強烈な疎外感や孤独感を味わった人。二度と置いて行かれたくなかったら、より積極的に熱狂を加速させる側に回り、信頼に値するメンバーなんだと自己証明しようとする。
何としても熱狂を加速させたい側にとってはお役立ち。
一緒に豊かになろうとする集団のため、過去に排除された経験を持つ人は、豊かになろうとする流れに水差す邪魔者をより積極的に排除し、排除したのは僕・私とアピールする。
そのアピール行為が仇となって、また集団から排除される要因になるかもしれないのにね。
より熱に浮かされやすい、熱狂しやすいのは免疫のない人ということが判明したあとなら、ターゲットも選びやすい。みんな一緒という横並び意識も、わざわざ植え付けなくとも最初から横並び、同窓生や同期だとやりやすい。
同窓生や同期も刈りつくしたら、次に狙う横並びは“同じ住まい“。社宅のように住民が均質だと、熱狂という罠にも嵌めやすい。よそはよそ、うちはうちという確固たる個の意識が確立されてる人には、何やったって通じないけどさ。
熱狂から醒めた人たちが立ち去ったあとでも、最後まで熱狂という種を蒔いて植え付け大きく育てようとするのが、本当のお金持ち。そんなお金が残っていて、かつお金持ってるといえばその人たちしかいないから。
本当のお金持ちの側にいることを証明したくて、最後までやせ我慢してる人もいるかもね。自身を大きく見せるのは、詐欺師への大事な第一歩。
雪が降っただけで、景色が一変する北国マジック。ポカポカ陽気が続いたあとにそれなりに雪が降ると、ツルツル凍る路面で滑って転ぶ人も少なく済んで、なにより。
お休みなさーい。