クローズドなつもりのオープン・ノート

~生きるヨロコビ、地味に地道に綴ってます~

気は優しいけど力持ち系

30人分の雇用を奪うという、AI搭載気は優しいけど力持ち系ロボが出てくるテレビ番組を見た。

 

恐ろしい恐ろしいと恐れ入るよりもまず、日本で常時30人を雇用している農家、あるいは農業生産法人特技は高級フルーツなんてあるのか???と疑問に思った。高級フルーツは、高級だから少人数で手間暇かけて生産しても採算があうようにできていて、収穫時になったらいっせーので多人数で一気に収穫するようなありふれた商品作物とは別モノ。

 

カリフォルニアかどこかの、見渡す限り一面の緑という広大な敷地で露地栽培されるならともかく。

 

日本のいちごは、ハウス栽培の方が多くないか?30人分の雇用を奪うという、AI搭載気は優しいけど力持ち系ロボを日本にそのまま持って来たら、借金して建てたハウス栽培用ビニールハウスをズタボロにする未来か、狭い敷地で身動き取れずに“リセットプリーズ”と立ち往生する姿の方が容易に想像できる。つまり、オーバースペック。

 

じゃがいもにタマネギ。あるいは小麦粉にお米。どれも北海道を代表する商品作物だけど、だだっ広い農地で生産されていて、見てる分には特に繊細な扱いには見えない。わりと荒っぽい。

 

30人分の雇用を奪うというのなら、まずは生産分野で常時30人を雇用する規模にまとまるのが先。規模が大きくなれば、傷物になりやすい商品も優しく最適な時に摘み取って出荷可能になって、人手不足の救世主になれる。

 

家族経営プラスアルファのファミリービジネスだったから、JAがあって小を大にまとめて地域外に出荷する仕組みがうまく回ってた。少子高齢化で働き手が減って、最小単位である家族の構成員が少なくなるほどに地域を回す仕組みも軋んで、軋みが大きくなるほどに地域単位で出荷できる数も減っていく。

 

生産者の数が減った時は、同じ労働でもより利益が増える、高級品取り扱いへと鞍替えする好機。だから、薄利多売なシステムの一部に組み込まれ、地域のブランドを支えるよりも、個人でブランドを確立した方がお得になる。

 

高級品取り扱いをめざす生産者にとってのリスクは、これから確立しようとするブランドを毀損する行為だから、うっかり人も雇えず増やせない。

 

同じように高級品を取り扱う個人ブランドへの鞍替えをめざす人たちとの競争は、局地的には始まっていて、個人(っぽい何か)の利益を最大化する行為は足を引っ張りやすくて、引っ張られやすいから油断ならねぇ。

 

人を雇わずともやっていけるのは、少量限定生産の高級品だからで、少量限定生産の高級品用ルートがあるからやっていける。誰かへの贈り物、あるいは自分へのご褒美だったら、廉価品は選ばない。

 

廉価な商品作物がないと困るのが廉価な商品作物が並ぶお店で、日々の暮らしはご褒美ではないから、お買い得品の方が喜ばれる。なのにそのお買い得品が減っていくばかりだと、廉価な商品作物を並べるお店の利益もゴリゴリ削られてゆき、最終的には廉価な商品作物が並ぶお店もなくなっていく。

 

生産者サイドには、少量限定生産の高級品をめざす動機と環境が十分にある。その一方で、供給サイド、プラットフォームと言い換えてもいいけれど、そちら側には廉価な商品作物を失うわけにはいかない理由と環境がある。

 

生産者なんて、一朝一夕で即席栽培できるものでなし。

 

よそが育てた人材を掻っ攫って事業を大きくすれば、わりと長きに渡って恨まれる。企業間の確執は、大体どちらかのどちらかによる仁義なき行為に基づいているもの。「負の歴史」なんて知ったこっちゃねぇと、まっさらな道を歩めた方がいいに決まってる。

 

即席栽培した生産者に作れるものは、まずは廉価な商品作物。廉価な商品作物だけでは30人分の雇用を生む利益を出すのは難しいから、気は優しくて力持ち系ロボもヒールではなくヒーローとして活躍できる。広大な農地前提だけどさ。

 

離農した農地を買収していけば広大な農地は手に入るけれど、広大な農地が広がってる場所は、たいてい人が居ない。

 

ついでに広大な農地はきっと自然の力も強く、雨風どうすんのさ。。という大自然の驚異にもさらされ続ける。高い志と理想を胸に北海道を開拓に訪れ、失意とともに去った歴史、今さら繰り返したってしょうがない。

 

30人分の雇用を奪うという、AI搭載気は優しいけど力持ち系ロボは、人手が足りない場所では30人分働いてくれる、頼もしい助け手にもなれる。

 

30人分とは言わないから、5人くらいでいい。

 

という日本の現実的なサイズに合わせることができたら、使える場所ももっと増えそ。そして、ダウンサイジングやオリジナルでない商品をより洗練させてブラッシュアップさせる方が、日本のモノづくりには向いてそうで、お家芸っぽいんだけどさ。

 

家電が大型化したからといって、早々家は買い替えない。家に収まるサイズの物を買うもんでしょ。