陰影があると表情にも奥行きや深みが生まれて、ただのウサギであっても哲学的憂いを帯びたウサギのようにも見える。
2021年、2022年と開催されなかった札幌雪まつり。2023年は会場レイアウトが若干変更されて、石山通りより東、テレビ塔までが大通会場。
東から恐竜、疾走するサラブレッドにナイチンゲールゆかりの洋館(エンブリー荘と言うらしい)、豊平館に新庄監督withボールパークでFビレッジ。2、3、6、9丁目広場にはそれ以外の中小雪像で、会場から飛び出した雪だるまや雪だるまもどきもそこかしこにいっぱい。
雪だるま作ろうコーナーの雪だるま達。
久しぶりの雪まつりは、ちびっこやビギナーによりフレンドリーになった印象。中小雪像にはわかりやすいキャラクターが並んでいたけれど、権利関係に敏感となった昨今では心置きなく使えるキャラクターはきっと限られてくる。
丸まっちぃものは作りやすそうでシマエナガの雪像をいくつも見たけれど、よく見ればトトロとよく似た洋梨体型で、そう思って会場を眺めるとそこにもあそこにも洋梨体型のキャラ達がいた。
キャラクターと違って人間の顔は雪像ですぐソレとわかってもらうのは難しく、新庄監督かアントニオ猪木(多分)か言われないとわからない。野球関係なら大谷選手か新庄監督かで、北海道に縁があると許諾ももらいやすいんだろう。
キャラクターはよく知らないけれど、マントのひだの美しい仕上がりに思わず魅入った。この種のキャラクターものは陰影がつくとより立体的になって見応えも増すから、夜に見ると昼間に見るのとはまた違う趣がある。
昼間に見るとソリッドな印象が目立ったこのオブジェも、ライトに照らされると大変アーティスティックでカッコいい。
プロジェクションマッピングという表現方法が増えたおかげで、雪像もよりアーティスティックに。最初期の頃は、真っ白なキャンバスにただ色を載せただけ。意地の悪い言い方をすればそんな風にも見えたけれど、白いキャンバスは凹凸がしっかり入った立像で、しかも1週間という長丁場だから、会期中にその姿はちょっとづつ変わっていく。
(雪像というより氷像のようで、ツルッツル。)
雪があったから生まれた、雪がなかったら生まれなかった雪像の作品たちは、制作期間を除けば一週間もすれば消えてしまう。もったいないような気もするけれど、残らないから作ってみようという気になることもきっとある。
干支であるウサギにちなんだ雪像も多く、権利関係的なものを考えたとき、普遍的なものに近付くほど作りやすくなって残しやすくなるのかも。かもかも。
(親子像、とっても普遍的。)
青いタピオカティーの上に載っている、白い花のように見えるものは綿あめ。食べると一瞬で融けて消えるから、まるで雪みたいだった。
タピオカティーには甘味がまったくないから、フラペチーノ系の甘さに比べると控えめな甘さ。雪まつり限定なのか冬期限定なのかはわからないけれど、支笏湖の氷濤まつりに美瑛の青い池に積もる雪を思い出す、白と青だった。