クローズドなつもりのオープン・ノート

~生きるヨロコビ、地味に地道に綴ってます~

非合理的な方を選ぶとずっと古いまま

鉱山技師出身の実務家であるフーバーが大統領に選ばれた時。民主党対立候補として選んだのは、アメリカ史上初となるカトリック出身のスミスという候補者だった。

 

その結果、長らく(というのは余裕で50年以上)民主党の地盤だった南部諸州は、民主党ではなく共和党に票を投じ、最終的にはフーバーが勝って共和党が与党となった。

 

ということは、好事家つまりマニア向けの歴史本で仕入れた豆知識。

 

なぜ長らく民主党の地盤だった南部諸州が、共和党に寝返ったのか???というのも謎だけど、その前になぜ南部諸州が長らく民主党の盤石な地盤だったのかも謎で、その謎を解こうと思うと、時間を遡ることになる。

 

南部諸州が長らく民主党の地盤だったというのは、ちゃんと調べてないけど多分南北戦争に行き着きそうで、時間を遡ると現在の常識とはまた別の、当時の常識が現れてくる。

 

宗教的迫害を逃れてプロテスタントが作った国という、プロテスタントファーストな国是は、建国から150年たったくらいではビクともしなかった。と思えば、長らく民主党の地盤であってもカトリックの候補者は選ばなかったという、非合理的な選択にも納得がいく。

 

ついでに、建国から150年経って多くの移民が豊かになれるアメリカめざして大挙してやってくるようになり、ニューリッチが世界経済を牽引する豊かな国になったから保守化した、と考えても納得する。

 

フーバーが大統領に選ばれる直前といえば、要するにグレートギャッツビーな時代で、グレートギャッツビーな時代だと思えばその時代の空気や雰囲気も何となくわかる。どうやってお金持ちになったのかよくわからない人物が、とんでもない大金使ってどんちゃん騒ぎしてる、そういう時代。

 

保守化したせいか、非合理的な選択を迫る勢力が暗躍し、南部諸州という民主党にとっての盤石な地盤を切り崩していったとも好事家向けのマニア本では解説されていたけど、真偽は知らね。

 

古いものから逃れて新天地めざしてやってきた。

 

その意味では一緒でも、新天地に陣取ることすでに150年も経つと、その土地にはその土地なりの秩序が生まれて新しいものを容易には受け入れなくなり、受け入れないための理由を無理に探し出し、無理を通そうとするから非合理に寄っていく。

 

古いものから逃れてやってきた何かが、新天地に受け入れられなかったらずっと古いまま。

合理的な方よりも非合理的な方を選ぶと、ずっと古いまま。というのは、本来新しいはずのものがゴリゴリに保守化して、保守の番人となって新しいものを迫害し始める過程ではよく見る光景なのかも。かもかも。

 

国としてはプロテスタントファーストでも、建国から150年も経つと地方によってはそうでなかったから、民主党カトリックの候補者を選べた。150年経って保守化し、“新しい”と言い張るには無理がある、新しいという看板ぶら下げただけのお古よりも、単純に新しいものを選んで古いものにはうんざりという態度を表明できる方が、より新しい。

 

合理的な方よりも非合理的な方を選ぶとずっと古いままで、ずっと古いままだと、そもそも古くて諸々どっさり溜め込んでる方にはいつまで経っても勝てなくなる。

 

新しいはずの人たちが、時にかび臭いものの保護に乗り出すのは、その法則に気付くからだと思えば納得で、新しいはずのものだってすぐに古くなる。