あのね、バナナがどっさり入ってる穴の中に泳いで入って行くんだ。入るときにはごく普通の形をした魚なんだよ。ところが、いったん穴の中に入ると、豚みたいに行儀が悪くなる。
そんなことをすると彼らは肥っちまって、二度と穴の外へは出られなくなる。戸口につかえて通れないからね。
(ナイン・ストーリーズ、バナナフィッシュにうってつけの日より引用)
出された餌を後先考えずにただ食らう、下等な生き物ほど生存欲求も強く、生存欲求が強いから、肥え太って穴さえ破壊するのが現代のバナナフィッシュかも。不幸をエネルギーに変える、不幸なほど不思議とパワーアップする人がいる、諸行無常。
ジェントリフィケーションが絶賛進行中の札幌市中心部では、ちょっと目を離した隙に、あっちでもこっちでも工事が始まってる。
明治開拓期にまで遡る北海道発のディベロッパー、伊藤組会長の元私邸にも重機が入り、賃貸マンション(!!!)が着々と建設中。超高級サービスアパートメントでも作るつもりか。
道路を挟んでお向いさんとなる北大植物園の一部かと勘違いするほど、自然豊かで広大な敷地。マンションが完成した暁にはいったいどのような景観となるのか。いつ完成するのかもさっぱりだけど、今から楽しみ。
どこの野山かと思うような、これが敷地の一部なんだ。
冬季は休園中の、北大植物園。緑でモフモフしてる季節もいいけれど、冬枯れで寒々しい季節の植物園もまた、目の保養さ。
北大植物園を通り過ぎ、石山通りを越えたところにある大金畜産の本店は、金曜日と土曜日の週末だけ営業してる店舗。バーベキューシーズンや、年末年始などホリデーシーズンになると、混み合うお店。なんだろうこの、イベントにはやっぱり美味しいお肉だねという道民性は。間違いなく美味しいから、まぁいいんだけどさ。
クリスマスも間近なホリデーシーズンは、店舗のディスプレイを見るのも楽し。
大正時代に建てられた、旧文書館別館というルーツに相応しいディスプレイにほっこり。入り口に飾られたリースも、控えめだけど品があってステキ。
喫茶室に飾られた、立派なクリスマスツリー。どこにもメリークリスマスの文字は見えないけれど、そこがかえってシックでよし。
小腹が空いていたので注文したケーキセットは、このボリュームに飲み物付きで、たったの750円。小腹を満たすどころか、片腹が痛くなるほど満腹になった。
一個600円という、東京でしか通用しないようなお値段がついたパンもあるというのに、なんというリーズナブルプライス。
セイコーマートや六花亭もそうだけど、北海道民の懐具合に合わせたお値段設定だから、いつでも人が絶えない、北菓楼の喫茶室。ジェントリフィケーションが絶賛進行中とはいえ、胃袋方面では鉄壁の守りを見せるのが、北海道ローカル勢。飢えに対する怯えや記憶が鮮明だと、胃袋に優しくなるのかも。
一箇所だけだと宣伝くさくなるから、公平を期して六花亭札幌本店も一緒に取り上げる気の使いよう。
なんで一般人がそんなことまで気にしなあかんねん、と馬鹿らしいけれど、自分が浮かび上がるためなら何だってする、迷惑極まりない輩を牽制するためには、これもやむを得なし。単に季節のステキディスプレイが、撮りたかっただけさ。
六花亭札幌本店のエントランスにある、うちわによるディスプレイ。地味に季節に合わせて衣替えしてるのさ。
仲通りから入る、別のエントランスにも季節のディスプレイあり。札幌ホワイトイルミネーションに合わせたものか。日が暮れると、さらに幻想的な美しさが見られそうで、これもステキ。
やらなくてもいいこと。義務ではないけどあった方がいいよねということを、敢えてやっているから、愛される。それも余裕があっての賜物で、やらなくてもいいことの足しにでもなるならと、チャリンチャリンと課金しといた。便利な言葉だね、課金。
同情するなら金をくれと大声で無心されるより、余裕を見せつけられる方が、財布の紐もゆるむってもんさ。
お休みなさーい。