クローズドなつもりのオープン・ノート

~生きるヨロコビ、地味に地道に綴ってます~

カッコ悪い人好きでもいいじゃない

あと一日ちょっとで、紅白やゆく年くる年が放送されるかと思うと、年の瀬も極まれりって感じ。
 
 
大 晦日に紅白見るご家庭って、古き良き日本を愛するイメージがある。そこにこたつとミカンが加わると、さらにラブ&ピースな雰囲気もばっちり。そんなご家庭の 茶の間にも、『家畜の安寧、虚偽の繁栄 死せる我狼の自由~♪』ってメロディーが流れるんだと思うと、何だかシュール。
 
 
今 年いろいろ聞いた中でも、断トツでインパクトのある歌詞だった。たった3文節で、「一方的に同盟を破棄した北方の蛮族に故国を乗っ取られ、家族や友人恋人 を惨殺されて、復讐を誓う」そんなヒロイック・ファンタジーを5巻分くらい一気読みしたようなインパクトがあった。完結まで20巻分はありそうなコミック の。『進撃の巨人』のテーマ曲だってことくらい知ってるけどさ。
 
 
今でも『ちはやふる』や『ましろのおと』みたいなコミック読んでるけど、今年読んだ女性向けコミックで、一番ショーゲキ受けたのは『俺物語』だった。

俺物語!! 1 (マーガレットコミックス)

俺物語!! 2 (マーガレットコミックス)

(これが少女マンガの表紙だなんて。。新時代)
表紙が表紙なもんだから、最初は女性向けだなんて思いもしなかった。男性向けコミックだとばっかり思ってた。ストーリー性強くないので、他愛のないギャグマンガとして、めっちゃ気楽に読める。息抜きに持って来いの、ゆるーい感じが好き。
 
 
このコミック読むと、カッコ悪い、見た目はイマイチだけど、中身は素敵な人を好きと言ってもいいんだ。そう言っても変じゃない時代になったんだ、少女マンガの世界もずいぶん成熟したなーってすごく感慨深い。
 
 
少女マンガのヒーローって、長らくイケメンばっかりだった。「気は優しくて力持ち」な登場人物がいたとしても、たいてい脇役どまりで。『ち はやふる』最新刊のおまけ四コママンガで、机君がヒーローなお話しがあった。少女マンガの王道だと(ジャンプっぽいから王道かどうか結構微妙かも)、どん なに机君がいい奴でカッコいい一面を見せたとしても、おまけ4コママンガにしかならないんだよね。そこいくと『俺物語』ではヒーローが猛男だからね。
 
 
ヒーローの猛男、見た目イマイチ勉強もイマイチなんだけど、運動神経は抜群で、 同性からの支持はめっちゃ高い。なんで同性受けがいいかと言うと、頼れる人だからなんだよね。頼んだことには結果を出してくれる。損得抜きで動いてくれ る。めっちゃいい人。これまでは、めっちゃいい人でもイケメンじゃなかったらモブだった。そこをヒーローにもってきた『俺物語』は画期的だと思う。
 
 
猛男の友人にイケメンの砂川(すな)を配置してるから、ビジュアル的には少女マンガとして破綻しないよう、そこはちゃんと計算がある感じ。猛男の悪口を言う女子を見てきてる砂川は、女に対して幻想持ってない。幻想持ってないけど、ぽやぽやっとした感じのヒロイン凜子と猛男を応援してる。
 
 
ほわんとした感じの女の子がほわんとしたまま、ニコニコしてる。ニコニコしてる方がいいから、猛男がんばる。がんばる猛男が空回りしないよう、砂川がその時々で入れ知恵してみる。
 
 
その三者の関係性見てると、心が洗われる。そんなにうまくいくかよ、いかせるかよって、心洗われるような光景をグシャグシャにしたい人っているじゃん、現実には。こじれて捻じれてグシャグシャになって。そーゆーのもういいから。お腹いっぱいだから。
 
 
ものすごく単純な理屈で回ってる世界見ると、なんだかホッとする。同じ作者の『終電車』も面白かったよ。

終電車 (マーガレットコミックス)

 

今日で今年の更新はおしまい。よいお年をー&お休みなさーい。