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クローズドなつもりのオープン・ノート

~生きるヨロコビ、地味に地道に綴ってます~

20世紀中国のセレブ姉妹を描いた『宋家の三姉妹』見た

今日は少し暖かくなって、最高気温3℃で最低気温は-2℃。外を出歩く方が好きだけど、極寒だと出歩く気にもなれず。Amazonビデオにお世話になる季節の到来さ。

 

細雪』に『海街ダイアリー』、古くは『若草物語』と、同時代を生きながらも違う生き方を選ぶ姉妹の姿は、映画や小説にしたくなるほど魅力的。日本史上には、茶々・初・江の浅井三姉妹が居るけれど、中国史上にも燦然と輝く三姉妹あり。

 

ひとりは富を愛し、ひとりは権力を愛し、ひとりは祖国を愛した

 

宋家三姉妹は、それぞれ孔子の子孫で大富豪・中国革命の父孫文・台湾初代総統蒋介石に嫁いでる。20世紀中国・台湾を代表するセレブ中のセレブ姉妹を描いた『宋家の三姉妹』を見た。

宋家の三姉妹(字幕版)
 

 革命勃発 → 国民党と共産党に分かれて中国国内が揉めに揉める → 日本とも開戦 と、激動の時代が舞台。セレブから見た歴史とはいえ、それぞれ配偶者が配偶者なものなので、家族の歴史がそのまま国の歴史に直結してる。

 

この手の近現代史は、事件が入り組んで全体像を把握するのが難しいけれど、映画というエンタメになれば、時系列もスッキリ。頭の整理にちょうどよし。

 

中国でも有数の富豪の家に生まれた宋家三姉妹、宋靄齢(あいれい)・慶齡(けいれい)・美齢(びれい)の三姉妹。新しい時代を誰よりも夢見た進歩的な父親は、子女の教育にも熱心で、娘たちをそれぞれアメリカの大学に進学させる。

 

娘相手とはいえ帝王学を教え込むのも熱心で、後継者には男女の別なしという当時としては相当進歩的な父親の姿が描かれる。が、しかし。

 

次女の慶齡が、父親の親友である孫文と恋に落ちると頑固おやじに早変わり。年の差愛いかーん!と結婚式にまで怒鳴り込んでくる始末。

 

でもさ、孫文と娘たちが親しくなるそもそもの原因は父親にあって、父親が革命家のパトロンなんかやってたからなのさ。

 

パパお金持ちで貧しい人に同情的 → 貧しさは諸悪の根源で、庶民の生活レベルを底上げするには革命が必要だ → そうだ革命家を支援しようで、孫文の熱心な後援者だった父親であっても、「家の中に革命はいらん!」と、怒り出す。

 

姉妹、家族を描いているからこそ、いかに進歩的で開明的であっても、家族観は古いままで、そこが父親世代の限界でもあると同時に見抜いてる。

 

自分の娘を、イギリスからインド独立運動の革命家ボースに嫁がせた、中村屋相馬愛蔵とはそこがちょっと違う。ちなみに孫文もボースも、ともに日本に亡命してきてた仲。

中村屋のボース―インド独立運動と近代日本のアジア主義

中村屋のボース―インド独立運動と近代日本のアジア主義

 

 政治亡命には厳しい現代日本と違って、日露戦争後の日本には色んな国からの亡命者(大抵は革命家)を受け入れていた、国際色豊かな時代があったと、これはどこかの司馬遼太郎で仕入れた知識。真偽は知らね。

 

限界ではあっても、次女の結婚式に「許さーん!!!」と怒鳴り込んでくる父親の姿は見もの。ついでに三姉妹なので、三回結婚式シーンが出てきて、いずれも見もの。

 

慶齡の日本での結婚式は、なんすかコレ???と首を傾げたくなる謎のお式だけど、後の二人の結婚式はたいへんゴージャス。

 

当時の中国を代表するセレブ婚だしな。。そりゃ豪華。特に三女の美齢と蒋介石の結婚式は世界にも配信されたそうで、これはwikiさんから仕入れた知識。

 

パパラッチの心配とは無縁な代わりに、もっと危険な目に遭うのが当時のセレブ。

 

結婚式にはドレスで挑み、中秋の名月も祝うけど、クリスチャンの宋家の暮らしは当時としては珍しい西洋風。クリスマスだって祝っちゃう。国民生活とはまったく乖離した、浮世離れした暮らしを送る一家が革命家のパトロンとか、なかなか皮肉。

 

基本的に宋家という富豪一家のお話なので、市民や国民の貧しい暮らしはチョロッとしか出てこない。精神的な苦労はそれなりにするけれど、生活費を稼ぐための苦労とは無縁の三姉妹。

 

三女美齢の結婚式で西太后由来の大粒真珠がハイヒールを飾る頃、次女の慶齡はソ連に逃れ、防寒のために靴に新聞を入れてる始末。

 

孫文の死後、宋家の中でただひとり共産主義者に同情的な慶齡は、家族の中でビミョーな立場に立たされる。妹婿の蒋介石は熱心な反共主義者で、慶齡と蔣介石も激しく対立する。

 

姻族、姉妹の配偶者が気に入らないことは往々にしてあるけれど、そこにプラス政治的対立も加わっちゃうからタイヘンさ。家族、それも姉妹のとりなしが無ければ、さっさと暗殺されてたかもしれないのが、慶齡という人。

 

それでも亡き夫孫文の遺志、あるいは理想を忘れなかった。理想をかなぐり捨てる理由がどこにもない、「宋家のお嬢様」だからできたことで、つくづく数奇な運命を生きた人。

 

孫文夫人として、共産主義者の看板となるのが慶齡なら、蒋介石夫人として、国民党の看板となるのが美齢。

 

短期政権に終わった民主党ファーストレディーと、長期政権となる共和党のファーストレディーが姉妹のようなもの。そこに、ドラマが生まれないはずがない。

 

大学受験の際に憶えた「国共合作」という単語の重み、初めて理解したかも。かもかも。

 

民主党ファーストレディーと共和党のファーストレディーが、ともに手を携え「国はひとつ」とやったら、そりゃ画期的。そこに宋家の長女で、孔子の子孫にして大財閥の孔祥熙夫人の靄齢も加わった三姉妹がにっこり一緒に微笑めば、財政面でも安心さ。日中戦争のさなかでも、最強のプロパガンダが完成する。

 

国共合作も実現して、三姉妹もにっこり一緒に微笑むけれど、そこでめでたしでは終わらないから、歴史も家族も不思議なもの。

 

最後まで互いを思いやりながら、それでも「一緒」にはなれなかった三姉妹。違う道を生きる姉妹の姿だから、ドラマになる。

 

ドラマにぴったりな素材の宋家三姉妹だけど、戦国時代ほど昔の人でもなく、『ダウントンアビー』のグランサム伯爵家のような架空の存在でもないせいか、日本ではあんまりエンタメになってないような。『ダウントンアビー』は12月から、待望のシーズン5が始まるよー。

 

ウォリス・シンプソンのように、ゴシップ誌の餌食になってもよさそうなところ、そうなってないところが不思議。中国・台湾での扱いは知らね。

 

1997年と、香港が中華人民共和国に返還された年に公開された古い映画。政治的イデオロギーは相容れなくとも、家族は家族とのメッセージ、大いに使い道があったかも。かもかも。

 

その当時の、「社会のとびきり上層」から見た歴史観が詰まってる。古い映画を見直す気になったのは、NHKNetflixが共同で東京裁判をテーマにしたドラマを作るから。

 

21世紀になって、世界配信される東京裁判をテーマにしたドラマは、一体どんな歴史観で貫かれるのか。違いが分かった方が、きっともっと楽しめる。

 

第二次大戦をテーマにした映画、日本でも色々あるけれど、『太陽』は一風変わっていて面白かった。史実と事実をもとに、想像力の翼をめいっぱい拡げると、奇妙奇天烈なお話ができるもんだなと感心した。本当かどうかよりも、本当かもしれないと思わせるところがミソさ。

太陽 (字幕版)

太陽 (字幕版)

 

 公開時には、色々物議をかもしたこの映画がAmazonビデオ入りしててびっくりした。オープンな世界、ステキね。

 

お休みなさーい。