クローズドなつもりのオープン・ノート

~生きるヨロコビ、地味に地道に綴ってます~

都市居住者は、生涯に何度もアップデートを要求される。

お金があれば生きやすさを実感しやすいのが東京

今の日本でもっともお金持ってそうな60~74歳であっても、欲しいものは「幸せ」より「お金」なんだってさ。あらら。

seikatsusoken.jp

この調査は首都40km圏内に居住する、シルバー世代を対象としたもの。ついでに首都40km圏内といえば、高度成長の波にうまく乗れた人と、そうでなかった人と。同世代格差も極めて大きな世代。同じ調査を地方で行ったら、どういう結果が出たんだろうか。

 

首都40km圏内(めんどくさいから以後東京と呼ぶ)住みだったら、地方と違ってありとあらゆるサービスはお金で買えそう。そして、質を求めたらお金もかかるので、お金さえあれば生きやすさも実感しやすいのが、東京なのかも。

 

その点地方は、高齢者がお金を持っていても、若者を筆頭に労働人口が流出しているので、お金でサービスを買うことができない。持ち腐れなんだ。今住んでいる札幌でも、タケノコのように新築マンションが次から次へと建設されている。誰が買うんだと思って見てるけど、少なくない数の高齢者が、戸建てや他地域からの住み換えで購入してるんだってさ。

 

自分で車を運転できる間は問題ないけれど、土地が広大過ぎて、車がなければどうにもならないのが、北海道。特に冬期。自力も無理。誰かに頼もうにも、そもそも人が居ない状態では、自らが住み換えた方が合理的。

 

という理由だけではないにしても、そもそもの人口が多く、徒歩圏で日常の用事がこと足りるようであれば、エリアごとの商圏は小さくて済む。小商いが生き残りやすい。

 

車による長距離移動は、「ハレ」の日のもの。毎日どこかの話題の店や場所に出かけているような人は、やや特殊。日常はもっと淡々と過ぎてゆく。

 

低コストで、みじめったらしくない暮らしができる場所はどこか?

一般的にはもはや労働をお金に換えることが難しくなるリタイア世代と、ミラクルでも起こらない限り、高成長は期待できないこれからの日本と。年金や給与(=収入)に期待できなければ、支出(=生活コスト)に目を向けるしかない。

 

生活コストを安く抑えつつ、みじめったらしくない暮らしは、どこでどうやれば実現できるのか

 

地方か東京か。地方といっても政令都市クラスか、限界集落かでも濃淡はあるけれど。「どこに住むか」の問題は、結局は生活コストを抑えつつ、かといってみじめったらしくもない暮らしをどうやって実現させるかのお話だと思ってる。

 

みじめったらしくないというのは、各人にとっての「文化的興味関心」も満たされている状態。インドアな文化系趣味の持ち主にとっては、大自然のアクティビティが満喫できても、きっとさほど楽しくない。

 

人に言えないような特殊な趣味もなく、大きな書店と映画館と緑いっぱいの公園さえあればだいたい満足な、地方中枢都市住み。出身地は、三大都市圏のひとつである近畿圏。

そのまま出身地にとどまっていれば、都市圏のアップデートに合わせて自身も強制アップデートせざるをえず、相当な生き辛さを抱えていただろうと想像する。

 

東京を筆頭に都市圏は、経済環境の変化で数年あるいは数十年に一度はアップデートされていく。現在ならグローバル化。日本語に堪能な人よりも外国語に堪能な人の方がよい賃金を得やすく、専門職も高度化しているから、スペシャリストであればあるほど、よい賃金が得やすい。

 

一芸で突破するにはスペシャリストの壁は天高くそびえ、一芸で突破できるほどの専門性を身に着けられない場合は、わかりやすいセールスポイントの2つや3つが必要になる。

 

有名大学に通いながら、専門学校にも通う。あるいは留学するというパターンは、まさしく「札束でなぐりかかる」行為に当たる。正社員であっても何らかの資格を取る行為も、やっぱり「札束でなぐりかかる」行為に近しい。

 

生活費以外の余裕資金がないとできず、生活費でかつかつなうえ、残業続きで時間的余裕もなければ、かなり無理っぽい。定時で退社でき、残業が計画的に管理されている会社は総じてホワイト。

 

地方中枢都市であっても、都市のアップデートは待ったなしで、東京でも都市圏でもないからと安心してられるわけでもない。

 

新卒は、もっとも厳しくその洗礼を浴びてるはず。世代交代にもさしかかっているから若者が優遇されるとはいえ、優遇されるのはまずは都市のアップデートに適した人材から。

 

そこから漏れた人は、都市圏を脱出すれば、若さが武器になる。若年労働力を待ちわびてる場所は、全国の地方にあるから。ただしそこが、「文化的興味関心」を満たせる場所でなかったら、満たされなさはそのまま。

 

やりたいことが明確で、場所にしがみつくならアップデートするしかない

 やりたいこと・実現したい目標が明確な人は、「イラネ」と言われるまで場所や業界にしがみついて、アップデートについていくしかない。「文化的興味関心」を満たせない場所では生きていけないなら、特に。

 

東京は、日本でもっともアップデート頻度が高く、要求されるスキルも高い街。わりと簡単にイラネと言われる確率も高く、自尊心が傷つく可能性も相応に高い。生活はできても自尊心が保てない仕事であれば、みじめったらしい暮らしに陥る危険性も高い。

 

東京~三大都市圏~地方中枢都市~地方中核都市~限界集落と、住む場所によってアップデート頻度も回数も異なる。

 

低コストかつみじめったらしくない暮らしが実現できるかどうかは、自身が何度のアップデートに耐えられるのか。どこなら耐えられるのかに、かかってきそう。

 

アップデートにひとりで挑むのは孤独な戦いで、厳しい競争にさらされている運命共同体意識を誰かと共有できていれば、孤独に悩むこともない。

 

地縁や血縁といった何らかのリソースは、戦いを有利にするためのもの。おすそ分けや、シェアエコノミーちっくな助け合いは、運命共同体意識を共有している人の間に産まれる。上手に利用できる人は、利用した方がきっとお得。生活コストが下がる可能性も高いから。

 

アップデート、した方がいいに決まってるけど、危機意識が薄いからそのままの、地方中枢都市住みから考えた、「東京か地方か」論。

p-shirokuma.hatenadiary.com

東京の価値観や競争に、結局はどこの地方自治体であってもいずれは巻き込まれると考えている。早いか遅いかの違いだけ。都市と違って頻繁にアップデートするわけでもない地方になればなるほど、一回当たりのアップデートによる激震が大きくなる可能性がある。アップデートに対する備えも、早ければ早いほど「適応」もスムーズにいくと、わかっちゃいるけどさ。

 

お休みなさーい。