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クローズドなつもりのオープン・ノート

~生きるヨロコビ、地味に地道に綴ってます~

善良な人が徹底的に痛めつけられる『ドリームホーム99%を操る男たち』見てきた

シングルファーザーで気のいいガテン系のおにーさんが辛酸をなめる映画、『ドリームホーム99%を操る男たち』を見てきた。テーマはずばりサブプライムローン。マイホームから強制退去を余儀なくされた後に起こる悲劇を描いて、見応えがあった。面白い。


映画『ドリーム ホーム 99%を操る男たち』

今年に入ってから見た、お家、不動産をテーマにした映画の3本目。前2作『パリ3区の遺産相続人』『ニューヨーク眺めのいい部屋売ります』が、あら素敵なお家ねとインテリア雑誌を眺めるようなものなら、こちらはゴシップ雑誌の実録系。えぐいエピソードが満載で、安易に家なんか買うもんじゃないと思わせる。てか問題は安易な住宅ローンにあり。

 

無職のシングルファーザー、デニス・ナッシュは、ある日突然、長年暮らしてきた家から強制退去させられる。たった2分間の猶予しか与えられず-。家族の思い出が詰まった家を何としてでも取り戻そうとするナッシュは、自分たちを追い出した不動産ブローカー、リック・カーバーに金で釣られ、彼の儲け話に手を染めていく。それは法の穴を抜け、銀行や政府、そしてかつての自分と同じ境遇の人々を巧みに操り、家を差し押さえて大儲けするというビジネスだった。母親と息子に真実を言えないまま、人々を破たんさせ大金を稼いでいくナッシュ。それによってやがて自らも大きな代償を払うことに気づくのだが・・・。(フライヤーより引用)

 予告編でもチョロっと流れるけど、差し押さえ現場の描写がリアルで胸が痛む。そもそも持たざる人が、わずかばかりの財産をはぎ取られるシーンなんかイヤじゃん。あぁイヤと目を背けたくなるような出来事が、テンポよく次々に起こっていく。

 

この映画はフィクションだけど、10年ほど前にアメリカで大問題になり、不況のきっかけとなったサブプライムローン問題が背景になっている。サブプライムローンバブルがはじけ、リーマンショックの引き金となって、世界同時不況がやってきた。

 

マネーゲームの被害者サイドから、当たり前の生活が剥ぎ取られていく様子を描いてる。

 

マネーゲームの犠牲者となるのは、いつだって社会的弱者。この映画の主人公であるナッシュも、日雇いで働く建設業者で生活が安定しない人だった。サブプライムローンでマイホームを追われた人の多くは、移民で英語が満足に話せない人や、法律や社会制度に疎く、銀行側の説明を自己解釈して安心していたような人たち。そもそも貸し倒れリスクが高かった。

 

その代わり、家族や隣人愛が強い善良な人多数含む。善良だけど無知。無知につけ込まれ、身ぐるみはがされた人が何万といた。何万人単位でマイホームを失う人が居る一方で、少数の人が、法律の穴をついて大儲けする。あらひどい。あらひどいなんて言ってられるのは高みの見物だからで、その日を生きるための日銭を稼ぐ人にとっては切実。ひどいなんて、言ってる暇もない。

 

主人公のナッシュは、家族のために後ろ暗い仕事に手を染める。後ろ暗い仕事に手を染めなければ、その日から路頭に迷ってしまうから。他にどうしようもなかった人を、責めたところでどうにもならない。

 

後ろ暗い仕事に手を染める代わりに酒やドラッグに溺れ、自分の頭を吹き飛ばすか、銃でも乱射してみるか。世を拗ねて過ごすには善良で家族への責任感も強い人は、家族を守ることに懸命になる。

 

懸命になって家族にとっての「当たり前の日常」を取り戻そうとするけれど、善良な人の家族もまた善良で、「やったねパパ!弱者踏みつぶして次はプライベートジェット買おうよ!」とはならないから、ますます悲劇。

 

家族のために乗り越えてきた試練なのに、その家族がついて来なかったら、もうどうすりゃいいのさで、善良な人をさらなる試練が襲う。魂を売らないと稼げない仕事しか選べない状況は、善人にとってはただひたすらツラいだけ。根が善良にできている人にとっては拷問にも等しく、時にその人自身を傷つける。

 

善良な人は、他人を責めずに自分を責めるから、ますます自分を痛めつけていく。痛めつけられたうえに、自分を罰していく。ダメじゃんそれだと出口がない。

 

徹底的に痛めつけられる人を主人公に据え、世の中が、社会が痛む様子を描いてスリリング。痛んだ社会は一体誰が直すのか。

 

誰もが家族を守るために懸命になる状況で、汚れ仕事を引き受けるのは崖っぷちの人。崖っぷちに居るから、例え汚れ仕事、後ろ暗い仕事でも懸命にこなす。誰に罵倒されようとも、家族を守るためには他に方法もない。何なのその、誰も幸せになれない仕組みは。

 

機会に乗じて大儲けを目論む小悪党は断罪されても、多数の人を不幸に陥れた仕組みを作った人は、断罪もされないまま。百人殺せば英雄みたいなもので、大き過ぎる罪は、すぐには断罪されない。でもそろそろ風向き怪しいんじゃない?『マネーショート華麗なる大逆転』でもサブプライムローンがテーマになっていて、そちらではどんな風に描かれるのか、興味津々。

 

幸せの形や幸せな家族像が、くっきりはっきりしてる人ほど想定外の出来事に弱くなる。

 

主演のアンドリュー・ガーフィールドの熱演が印象的。彼の母親を演じるローラ・ダーンも、気はいいけど頼りないダメ母役がピッタリだった。

 

この映画見て、そうだお家買おう!とはならないけど、そうだ世界征服にはやっぱり不動産投資だね!とはなりそう。“勝者の勝者による勝者のための国”とか“家への思い入れは捨てろ、ただの箱だ”とか、うっせーバーカと思える名セリフもいっぱい。10年もたてば、社会的責任投資への関心も強くなるんだよ、と毒づける。

世界の99%を貧困にする経済

世界の99%を貧困にする経済

 

 (この本がベースになってる)

 

悪徳不動産業者、やっぱキライだわ。

 

お休みなさーい。

 

waltham7002.hatenadiary.jp

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