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クローズドなつもりのオープン・ノート

~生きるヨロコビ、地味に地道に綴ってます~

理想の住まいは近くて遠い。『ニューヨーク眺めのいい部屋売ります』見てきた

住まいはニューヨークのブルックリン。そう言えたらカッコいい。ニューヨークでも近年人気上昇中のブルックリンには、イケてる個人商店、美味しい食べ物屋さんやオシャレな雑貨屋さんがいっぱい。住みたい街、あるいは遊びに行きたい街として、遠く極東までその名が届いてるくらい。

 ところが憧れのブルックリン住まいとはいえ、誰もがすてきブルックリン暮らしを楽しんでるわけでもない。

この映画の主人公であるモーガン・フリーマンダイアン・キートン演じる老夫婦の場合、ネックは「エレベーターがないこと」。屋上庭園もあって眺めよし。日当たりよし。ウィリアムバーグ橋を渡ればマンハッタンもすぐそこで、イーストリバー至近。近所の人との関係も良好。立地も環境も申し分ないのに、住み続けるのは厳しい二人が最期にどんな決断を下すのかまでを追っていた。

画家の夫アレックスと元教師の妻ルースが暮らすのは、ニューヨークで最も注目されているエリア、ブルックリン。最上階の二人の部屋は美しい街を一望でき、日当たりも抜群。センスの良い家具に囲まれた申し分のないこの家で、愛犬ドロシーを交えた家族生活は順風満帆!しかしただひとつの欠点は、結婚40年を過ぎた二人にとってエレベーターの無い最上階までの道のりがつらく感じられることだ。ある日ルースは、愛する夫と愛犬のためにとこの“眺めのいい部屋”を売ることを決意した。戸惑うアレックスをよそに、姪っ子の敏腕不動産エージェントによって億の値で売りに出されることがあっという間に決まり、オープンハウスの手筈が整うが・・・・。(映画フライヤーより引用)

 日本で億の値が付く住まいといえばタワーマンションが思い浮かぶけど、この映画に出てくる二人の住まいはもっと質素。この住まいが100万ドルするのかとびっくり(@_@)できる。とはいえエレベーターもない時代に建てられた建物なので、エントランスロビーなど細部が凝っていて、写真いくらでも撮れそう。

 

 100万ドル、億を超える物件がどれもこれもしょぼくてビックリできる

二人の住まい以外にもいくつかニューヨークの100万ドル超え不動産が出てくるけど、どれもこれが100万ドル、1億超えの物件かと驚ける。しょぼい。しょぼい物件でも立地が良ければ高値がつく。それが世界級都市になるということで、アレックスとルースが暮らし始めた40年前からは、想像もしなかったこと。

 

世界級都市の欠点として、常にテロの恐怖と背中合わせの毎日を伏線に、高値で売り抜けることができるのか、売り抜けた後にはさらにスバラシイ暮らしが待ってるのかとやきもきできる。不動産取引あるあるで、高く売れる時はすべての物件が高値をつけている時。思うような「次の住まい」はなかなか見つからない。

 

このあたりは姪である敏腕不動産エージェントが大活躍し、理想の住まいを見つけるまでの駆け引きと戦いの日々が描かれる。見てるだけでお疲れ。お腹いっぱい。

 

賃貸でも売買でも。理想の住まいを求めてネットにかじりついて物件漁ってた人なら、共感できる要素が満載。二度とやりたくないという苦い思いが甦る人も中にはいるはず。匠の技で、中は好きなようにリフォームできる技術が広まれば広まるほど、立地の重要性が際立ってくる。

 

中は好きなように変えられても、ガワ、環境はちょっとやそっとでは変えられない。過密都市にあって眺めよしの物件が、いかに貴重なものかがよくわかる。

 

 あとオープンハウスという、日本ではまだ馴染のないシステムも面白かった。

日本だと空き家の状態しか内見できないことがほとんどだけど、アメリカでは住んでる状態、生活してる姿がそのまま見られる。寝室であろうがお構いなしに内見できる。売る時のことが視野に入ってるから、彼らは内装にも気を配ってオシャレ。オシャレな生活は、見られることで磨かれる。

 

オープンハウスを見て回るのを趣味にしてる人もいるくらい、オープンハウスというシステムが根付いてる。人の出入りが激しい都市ならではの仕組みって感じ。東京あたりだと、これから根付いていくのかも。

 

不動産取引あるあるで、家を売ったり買ったりに興味がある人なら年齢を問わずに面白がれる要素がいっぱい。いっぱいだけに見過ごされがちな、街そのものの来歴、今ではおしゃれな街に変貌したブルックリンのそもそもの姿もさりげなく織り込まれてた。

 

今では珍しくもない白人女性と黒人男性のカップルも、40年前は法律で禁止されているくらい“ありえないこと”だった。人種の壁を越え、アートに理解とセンスを持つ、イケてる人たちが発展の礎を作った街。老いたイケてない彼らは、もはやブルックリンには不要なのか。

 

受け入れることで発展してきた街が、誰かや何かを排除し始めた時、その街はそれまでと同じ輝きを保つことができるのか。住まいはライフスタイルにつながり、ライフスタイルが新しいムーブメントを作ってきた。札束で頬ひっぱたいただけでは作れないものが、そこにある。

 

アレックスとルースが、彼ららしい姿のままブルックリンに住み続けることが出来たら、ブルックリンもブルックリンのまま、成熟した都市として発展を続けるのかも。そう思う心地いいラストだった。

 

原作は「ほとんど完璧」と評されるロングセラー小説だとか。

眺めのいい部屋売ります (小学館文庫)

眺めのいい部屋売ります (小学館文庫)

 

 

お休みなさーい。

 

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