一般的には夏でも冷涼だと思われている札幌なのに、今年はどうしたことだか35℃を超す猛暑に何度か見舞われた。
札幌駅前の通りと大通公園が交差するあたりは、観光客でいつも賑わっているところ。いつでも人口密度が高いせいか、体感温度高めで直射日光にも晒されがち。
人口密度が低い場所なら体感温度も涼しかろうと、思ったせいではないけれど。振り返ってみるとそれなりに出掛けていた。おもに緑いっぱいの方面に。
ニセコや洞爺湖方面には本当に何度も足を運んでいる。けれど、行くたびに少しづつ違うルートをドライブするせいか、いついっても発見がある。京極町の吹き出し公園も、夏場に行くと清涼感いっぱい。
複数のドライブルートがあって車が停めやすく、車を停めたあとにちょっとお散歩できたり運動できるようなコースがある。そういう場所は行きやすく、交通手段が限られていたり車が停めにくいとやっぱり行きにくく、行きやすい場所に人が集中しがち。
とはいえ観光客は王道の観光ルートを行くのが正解で、都市から離れ、人の気配が薄い場所に行くほどに危険は増える。
人の手が入った、人の目から見て楽しいきれいな自然を模した景色と手つかずの自然は全然違う。
人の気配が薄くなるほどに、危険が増える。初期の北海道開拓で危険に遭遇したに違いない側の人は、だから次々と何らかの危険でない施設を作り、スクラップアンドビルドで刷新を繰り返しながら道を作って、新幹線を作っているんだろう。
札幌近辺でここ数年目につくのは、新幹線開通に合わせた工事で、新幹線開通後に観光客が向かうであろう場所で目につくのもやっぱり工事。
急いでやって来て、急いでどこかへ行く。
そのための高速移動網だから、急いでない人は急がなくていい手段の方が、しっくりくる。
もっと大きな街から街から見れば、いろいろ足りないものがあっても札幌はそれなりに大きな都市。
道南は函館、道北は旭川、道東に釧路の各都市もそれなりの都市。都市と都市でないものとの違いは何だろうと考えたとき、まずは歩けるかどうかがその違い。歩行者フレンドリーかどうかで、公共交通機関が整っているかどうか。歩くにはちょっと遠いときには自転車やその他、モーターがついた小型の乗り物が使えると都市度もアップ。
公共の交通網、バスやその他がなく車でしか移動できないのなら街ではあっても都市とは言いがたい。
かつて「ほにゃららウォーカー」というタイトルがついた雑誌があったけれど、歩いて移動できる街を増やすという試みは、都市を増やすという試みでもあって、住んでいる場所や街の付加価値を上げるという点でものすごーく先見性があったんだと思う。
例えば北海道。手つかずの自然や原野は無防備に歩けず、怖い場所は歩けない。その真逆は歩ける場所は怖くないで、都市居住者ほどよく歩いているはず。
よく歩いて自転車やその他、モーターつきで小型の乗り物に乗ることもあれば公共交通機関も使い、車以外の移動手段に日常から馴染んでいる。そういう都市居住者が、都市ではない街に車ではない手段で出掛け、歩ける場所を増やして付加価値を上げるとロコから歓迎されて、歩けない場所を増やすとロコから警戒される。
オーバーツーリズムには、そういう面もあるんだと思った。