クローズドなつもりのオープン・ノート

~生きるヨロコビ、地味に地道に綴ってます~

北海道の背骨を横から眺める

1キロ=千メートル。

 

テクテクフラットな場所を歩く分にはどってことない距離も、上に登ろうとすると大変。荷物を担ぎ上げようとすると、もっと大変。一人で平野を歩く分には何てことない重い荷物も、勾配がきつくなるほどに荷が重くなって人手が欲しくなる。そもそも山なんて歩いてない。歩こうともしてなかったら、勾配も無問題。

 

高い山に登れば、そりゃ眺めは素晴らしいに違いないけどさ。

 

日高山脈は、北海道の背骨とも呼ばれるらしい。道央には大雪山を擁する高山が連なっているけれど、あちらは北海道の屋根で中央高地と呼ぶんだとか。山脈と山地の違い、始めて意識した。

 

背骨が太平洋まで伸びて、尻尾の部分が海に沈んでる。

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という風に、見えなくもなかった襟裳岬

 

襟裳岬観光のあとは遠回りしながら帯広に入り、帯広から日勝峠を経由して、ただひたすら山の中を車で走り、太平洋側をめざした。帯広~日高~日高自動車道~札幌というルートだったら、頑張ればあるいは慣れたら日帰りでも行けなくはない場所。日帰りでも行けなくはないけど、週末一泊くらいでちょうどよさげ。

 

夏場は霧が出やすいのか、日勝峠で濃霧の洗礼を受ける。

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以前知床に行った時も、知床から峠を越えて羅臼に入る際に濃霧に見舞われた。久しく使ってないフォグランプを久しぶりに使う。日常生活で濃霧に出会うことなんて珍しくなったけど、標準装備されているってことは、以前はそうでもなかったってことなのかもね。かもかも。

 

車の中から見た山肌は、ところどころに山崩れの跡があり、いつかの台風の被害は相当大きかったらしい。ちょっと前の地図では通行止めになっていた箇所もあったけど、そんな爪痕は道路に限っては微塵も感じさせず(山はえぐれてたけどさ)、走る車も少ないから快適なドライブだった。

 

道外から観光に来た人は、まず高速使っちゃうからね。

 

キレイになった道を走っていると、最初は細かった川の流れが徐々に太く立派になっていく様子がよくわかり、最後は激流?下りだって楽しめそうな流れになっていた。

 

牙をむくと恐ろしいけど、そもそもは自然豊かな地。背骨である日高山脈は、登れば素晴らしい眺望が待ってそうな山ばかりだけどその代わり険しくて、初心者が楽しめそうな雰囲気は微塵もなし。登山道さえない山だってあるってことは、登るなと言ってるようなもの。

 

眺望よりも、今の季節なら天空により近い場所でのお花畑を楽しみたいところ。ところが天空により近い場所でのお花畑は、標高千メートルは余裕で超えてるもんだから容易に近寄れない。がんばって近寄ってみても、思ったほどのお花畑感は期待できないこともあるかも。

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これは春に旭川で見た景色。

大自然に対して貧困な発想しか持たない人の思い描くお花畑って、こんな感じだから。あるいはイングリッシュガーデンとか。人の手がゆき届いたお花畑に、慣れ親しみ過ぎている。

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車で簡単に乗り付けられる場所は、大勢が訪れる場所で希少性には乏しいけれど、そのかわりお手洗いにも困らない。お手洗いに困る場所にはそもそも出掛けないし、視野にも入らない人の視野にも入ってきたその場所は、もう秘境でも何でもない。

 

秘境でも何でもないのに秘境っぽさをアピールポイントにするのは、単なる出し惜しみで演出の一環やね。容易に近付けない場所は遠くから眺めるもの。そのすぐ近くにある、大勢が気軽に訪れることができる、人の手が適度にゆき届いた自然っぽい掌のうえが、っぽいもので満足できる人の行く場所。

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見渡す限りビルしかないような土地で、森を再現するのはほぼ不可能。だけどそもそもたっぷりと自然が残された場所なら、っぽいものがいつかは本当に自然に還っても不自然じゃない。

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飛行機のように空高くから眺め、高速道路のように大急ぎで通り過ぎていると、見えなくなるものがある。中途半端に観察対象を俯瞰するから、見えてくる景色。

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っぽい場所で飼われている動物は、人懐っこい。

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っぽいものが、自然に還ってゆく姿。
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これ、どうやって今後も維持するの???と心配になるようなものよりも、いつかは自然に還るんだったら安心さ。