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クローズドなつもりのオープン・ノート

~生きるヨロコビ、地味に地道に綴ってます~

『瀬戸の花嫁』ではボブ・ディランのスゴさは伝わらない

ボブ・ディランが日本に与えた影響で、『瀬戸の花嫁』が出てきて膝から崩れ落ちそうになったよ、NHK

 

日本ではロック以外の分野にも影響を及ぼしたという、面白い例ではあるけれど、違うんだ。知りたいのは、聴きたいのは、同時代のもっと熱い声なんだ。

 

紅白にもSONGSにも出ない。声が掛かっても、「日本の国営放送?そんなの出ねーよ」というロックンローラーな人たちが語る、“俺たちのボブ・ディラン”が知りたいんだ。

 

例えば『シン・ゴジラ』。封切り直後に見に行って、これ面白い!!!とSNSでも発信しまくって、発声可能上映会にだって足を運んだような人が語る、熱量のこもった『シン・ゴジラ』と、そこから2ヶ月3ヶ月遅れで「これが日本で流行った新しいゴジラ映画か。。」という気持ちで見に行ったニューヨーカーの語る『シン・ゴジラ』では、やっぱりちょっと違う。

 

というわけで、デビュー当時の若々しいボブ・ディランと、尊敬を込めて彼について語る有名ミュージシャンが多数登場するドキュメンタリー、『ヒストリー・オブ・ロックンロールDisc3 プラグ・イン/ウッドストック・ジェネレーション』見た。

 1950年代後半から60年代後半のアメリカのロックシーンを、当時の映像やミュージシャンへのインタビューたっぷりで振り返っている。

 

取り上げられているミュージシャンは、大して洋楽に詳しくなくても知ってるような、著名人ばっかり。ビートルズボブ・ディランに、ビーチボーイズにバーズ。ジェイムズ・ブラウンジャニス・ジョップリン。前半の“プラグイン”では、ボブ・ディランに特にフォーカスしてる。

 

75歳となって、枯れっ枯れな雰囲気さえ漂う現在のボブ・ディランとはまったく違う、アグレッシブで、ロックミュージシャンらしく“鼻持ちならない”発言込みで、まだ前衛だった若き日のボブ・ディランが、映し出される。声だって今とは全然違う。

 

声も雰囲気も現在の姿とはまったく違うから、今となっては枯れ枯れなじーさんだけど、若い頃はスゴかったのね。。と素直に感心できる。

 

その当時を知る、ミュージシャンの証言も多数。この人誰?なミュージシャンもいれば、Kissのメンバーやボノといった超有名人の証言者も登場。証言者の数が多いから、当時の雰囲気や、“ボブ・ディラン登場の衝撃“が、わかりやすく再現されている。

 

時には当時の若者にさえブーイングを浴びた事実や、アコースティックVSエレキなロック論争とか。

 

ミュージックシーンに登場した当初から彼の詩は高く評価されていたけれど、同時に音楽に対しても「革新的」だったことがよくわかる。

 

作中で、彼のことを“ロック界のピカソ”と評してる人が居て、今までに聞いたどのボブ・ディラン評よりも、しっくりきた。めっちゃ言い得て妙。

  •  誰も見たことがないような前衛を描きながら、同時に伝統的な絵も描ける
  • 一見子供の落書きのようだけど、技巧がある
  • 模倣者があとに続き、抽象画の地位を確立した
  • 生前から高く評価され、経済的にも成功をおさめている

そんなところが“ロック界のピカソ”と言われるゆえんかも。発言者の真意とはズレてるかもだけど。


シンガーソングライターの書いた歌詞が、文学的にも高く評価されて、浮かれてる。

 

同じように浮かれた人たちが語り出す、俺・私のボブ・ディランを聞いたり読んだりするのが単純に楽しい。浮かれた人たちの語る俺・私のボブ・ディランも面白いけど、落ち着いて過去のインパクトを振り返る人たちの声は、より資料的価値のある証言として、興味深い。

 

だって、トップ10を知らなかったFMリスナーの時代を、知ってる人たちの声だもの。

 

FMがアンダーグラウンドだった時代も、すでに遠くになりにけり。

 

1950年代後半から60年代後半のアメリカのロックシーンってどんな感じ?と知りたい人なら、きっと楽しめる。

 

面白かった。次はこれを観よう。

 お休みなさーい。