クローズドなつもりのオープン・ノート

~生きるヨロコビ、地味に地道に綴ってます~

肩凝りと『箱舟の航海日誌』と

青空が広がり、足元の雪は消えつつあるとはいえ、気温はまだまだ低いので、油断ならねぇ。とはいえバンクーバーよりは暖かいようで、「勝った」と謎の優越感にひたる。

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つい最近オープンした新しい商業施設、シタッテサッポロ。通りかかったついでに、気分は内部視察でジロジロ見てきた。

 

駅前通りの富国生命ビルをリニューアルしたもので、場所は赤レンガテラスの目と鼻の先。飲食店のほかに、旅行代理店とドコモショップGショック専門店が入ってた。

 

丸美珈琲が入る一方で東京のお店も入る、ローカルなお店とそれ以外とのバランスもいい感じ。お茶するよりは、近隣のオフィスで働く人のためのランチや飲み需要に応えられそうなお店多し。そのうちどこかに入ってみよう。

 

丸美珈琲は、座席なしでスタンド売りの店舗。あら座席ないのね。。とガッカリしそうなところ、お店のすぐそばには階段を利用した寛ぎスペースが設けられていた。おっしゃれ―。きっとインスタ映えする。

 

京都駅の大階段、あるいはヨーロッパあたりにありそうな、噴水のまわりに広がる階段状となった広場がほのかに思い出される空間。

 

街中にまた、ダラダラと過ごせるスペースが出来て、よかったね。ダラダラと過ごせるスペースは、貴重だから。

 

ここしばらく悩まされていた肩凝り、マッサージのおかげで血流がよくなったせいか、久々に軽くなった。自然に治るかと思っていたら、ちっとも治らなくて、包丁持つのさえダルかった。軽くなってウキウキ。

 

冬季はどうしても運動不足になるから、血流も滞りがち。自然にまかせていてもどないもこないもならんので、自然まかせはもう止めにしよう。そうしよう。

 

ずっと積読だったウォーカーの『箱舟の航海日誌』もようやく読了。日本人にとっては馴染みがないけれど、イギリスでは知名度のある児童文学作品だとか。文章も平易な寓話っぽくて、イラストも多目。

 

とっても読みやすい短いお話なのに、それでも長らく積読だった。。“ノアの箱舟”をベースにした、多数の動物が登場するお話。トラや象といったお馴染みの動物のほか、フワコロ=ドンやナナジュナナ、スカブといった想像上の動物も登場。

 

「最終バスに乗り遅れるな」とばかりに、洪水前にノアの箱舟に乗り込んだ動物たちが、陸地を見つけて船を降りるまでの出来事をつづっただけのもの。

 

元は児童文学だから、難解かつ高尚な言い回しなしで、仲良く平和に暮らしていた動物たちの暮らしが変わりゆくさまを描いてる。

 

仲良く平和な暮らしを脅かすのは、いつだってどこだって“流言飛語”。

 

招かれざる客スカブがこっそり船に忍び込み、相互不信の種を植えつけていく。スカブがなぜ招かれざる客なのかというと、スカブのみがタブーとされていた肉食を覚えた動物だから。

 

洪水以前の社会では、果物や草が動物や鳥たちの主たる食べ物だった。最初は仲良しの小型動物と大型動物の関係に亀裂が入って行くさまは、『ズートピア』も思い出させる。

 

ズートピア』では副市長のメリーさん、草食動物が黒幕だったけれど、『箱舟の航海日誌』の黒幕は、スカブ。かつてタブーを犯した、得体の知れない、流言飛語が大好きで不和や諍いが好きで、小動物に対して尊大な、イヤーな感じの獣。

 

人間社会でも、世間に不和をまき散らすタイプの造形と、さほど違いはなかろうと思わせる。寓話っぽい単純なお話ながら、最後には後味の悪さが残る趣向で、それが教訓にもなっている。

 

得体の知れない生き物による、“流言飛語”に耳を貸すな。世間の人の目に触れる場所に“流言飛語”をデカデカと掲げるな。

 

多分、それだけで相互不信はかなり防げるはず。現代では人ならぬもの、BOTやAIまで流言飛語市場に参入してきてるうえに”市場”になってるから、さらに油断ならねぇ。

 

イラストも可愛らしいけど、可愛らしい小動物から流言飛語の餌食になって消えていくんだな。第一次世界大戦が終わって間もなくの頃、戦禍がまた繰り返されるかもという時代に書かれたもの。不和や諍いが好物で、再戦を望む戦いたがりは、こんな時にこそ生まれやすい。くわばらくわばら。

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人間には種を持ち実をつけるものが、動物には草が食べ物として与えられたんだってさ、創世記によると。いまさら創世記でもなし。肉食をタブーとするのは、世界が作られた昔に帰りたい、原理主義のなせるわざなのかも。かもかも。

お休みなさーい。