クローズドなつもりのオープン・ノート

~生きるヨロコビ、地味に地道に綴ってます~

『ブロックチェーンの衝撃』読んだ

サブタイトルは、“ビットコイン、FinTechからIoTまで社会構造を覆す破壊的技術”と、ものものしい。 

ブロックチェーンの衝撃

ブロックチェーンの衝撃

 

 日本最大の外資系PR会社シニアバイスプレジデント監修による、ブロックチェーン初学者向きにしてブロックチェーンのPR本。

 

最先端テクノロジーとは無縁でも、IoTはくらいは聞いたことがあってそのイメージもつかめる人なら、この本を読み込めばブロックチェーンのイメージも掴みやすくなる。

 

監修者含む16人の著者により、それぞれ得意とするアプローチで16人16色のブロックチェーン論が語られる。

 

まだ新しい技術かつ未知数で、どう転ぶかわからない技術だから、いいところも悪いところもひっくるめ、できるだけ多くの情報があった方がいい。時間がない人や知りたい情報が限定されている人は、目次や著者のプロフィールから読みたいところだけを抜粋すればよし。

 

技術に明るい人が読んでも満足できるに違いない、技術要素もそれなりに充実していた。その方面の技術にはまったく明るくないので、そのあたりは字面を追っただけだけど。

 

初学者が読んでわかったことその1:ブロックチェーンとビットコインの違い

仮想通貨ビットコインはブロックチェーン技術の元祖ではあるけれど、元祖から分岐して似て非なる本家ができるように、単独でブロックチェーンと使われる場合には、ビットコインの根幹技術であるブロックチェーンとは別ものを指す。

 

大別して

ビットコインの根幹技術たるブロックチェーン

・パブリック型ブロックチェーン

・プライベート型ブロックチェーン

に分けて考える必要がある。

 

この三者はそれぞれ、性質も技術の応用分野も違うもので、三者をごっちゃにすると何がなんだかわからなくなる。大ざっぱにすべてのブロックチェーンを一緒くたに語るのはナンセンス。ということがよくわかった。

 

初学者が読んでわかったことその2:すべてのはじまりはビットコイン

サトシナカモトという名とマウントゴックスの破綻と。一般的にビットコインを有名にしているのはこの二つで、そのせいで胡散臭さも付き纏うことになっている。ところがマウントゴックスの破綻は、それでもビットコインの取引は止まらず、システムがクラッシュもダウンもしなかったことで、逆に評判をあげたとか。

 

その評判はどこの誰によるものか。本書ではそこまで詳細には語っていないけれど、東証がダウンしたら大変だねという認識がある身からすると、すでに市場参加者の不正くらいではびくともしない堅牢な市場なんだと、理解するしかない。

 

その一方で、ライブドアショック東証が売買停止をくらった過去に学べば、“それでも市場がダウンもクラッシュもしなかった”というエピソードは、信頼の補強に役立つから意地でもそうするわな、という意地悪な見方もできる。

 

ブロックチェーンを理解する時、まずはもっともピュアな形のブロックチェーンである、ビットコインのブロックチェーンから入ると、そのイメージがつかみやすくなる。

 

パブリックかつトラストレスかつパーミッションレスで、不特定多数が参加でき、信用を前提としないシステムで、分散型かつ管理者不在。

 

チェーンでできた輪っかがパラレルにいくつも繋がっているとイメージすると、大体間違いなし。

 

「チェーンが最も長く続いた輪っかが真」で、続かなかった輪っかは自動的に破棄される仕組み。取引記録はオープンで、改竄ができないところがとっても重要。ところで好き勝手に合意なく書き換えられるのなら、それは契約書ではなく単なる「指示書」でしょ。と、この一文は特定の人にあてたあてこすりです。

 

初学者が読んでわかったことその3:ビットコインはインターネット的

 ビットコイン、一部クラスタでは大人気らしいことはなんとなく伝わってくる。人気の秘訣はビットコインがとてもインターネット的で、

特定の管理者がおらず、特定の権力の支配下になく、世界の人々によって維持されている民主的なもの

だからだと睨んでいる。誰にも支配されたくない独裁者嫌いの自由人が愛しそうな要素がたっぷり。ついでにビットコインのような仮想通貨は、地下銀行やさらにいえば課税逃れやマネロンといった反社会的要素を、その性質上完全に排除することが出来ない。

 

完全にクリーンなインターネットが存在しないように、完全にクリーンなビットコインもきっと存在しない。なんてったってトラストレス、信用を必要としないんだから。

 

一方で、完全にクリーンなインターネットは存在しないけれど、完全にクリーンなインターネットサイトやコミュニティはすでに実装されつつある。

 

ブロックチェーンの欠点のひとつが、“荒らしに弱い”という点も、まったくもってインターネット的。フリーライダーや、破壊衝動が抑えられない参加者、あるいは徹底的に利己的に振る舞う参加者が現れた時、そのチェーンは壊れてしまう。

ピュアなP2Pネットワークはずっと生き残る

ように、設計されているんだってさ。

 

インターネットがリアルとの接点を深め、ネットとリアルの融合が進みつつある現在では、インターネット的という言葉も形骸化しつつある。

 

インターネット的という言葉もその意味するところも消えてしまいそうな今、残すなら、生き残るのなら、もうシステムとして残すぐらいしかない。インターネットに大いなる幻想を抱いた人の夢の欠片ちっくでもあるのが、ビットコインのブロックチェーンなんだ。

 

初学者が読んでわかったことその4:ブロックチェーンの未来もビットコインの未来も分岐的

 16人16通りのブロックチェーンに対する未来予想図は、どれも流動的でたらればのエクスキューズ的。「もしもこの技術が先に実装されたら」で容易に前提が覆るくらい、流動的で、未確定。たらればでバラ色の未来図を描き出す一方で、そうならないかもしれない可能性も正直に記述していて良心的。

 

ブロックチェーンの技術をどう生かすかは、技術を生かす人や業界次第。

 

仮想通貨が法定通貨となる未来も、ノンバンクが銀行に逆転する未来も、クラウドにとって代わる可能性もあるけど、どう転ぶかは流動的。

 

金融分野だけでなく、非金融分野における応用としてのスマートコントラクトやIoTとの連携まで幅広く取り扱っていて、何でもできそうでいて、その実万能でもなく始まったばかりのことまでよくわかった。

 

止めることも盗むことも改竄することもできない代わりに、ファイナライズがクリアーじゃないとか。現時点でのデメリットも明確で、理解しやすかった。専門用語を咀嚼するのは大変だったけど。

 

初学者が読んでわかったことその5:ブロックチェーンは魔法でも万能でもないこと。

インターネットがリアルとの接点を求めてその形を変えてきたように、ブロックチェーンもピュアな形で残るとは限らない。インターネットがリアルとの接点を強めた時その形を変えたように、将来のブロックチェーンは当初の形とは違う形で、生活の中に入ってくるのかも。オプションとも言える別の技術と組み合わせることで、可変性がいや増すようできているのが、ブロックチェーン。

 

信用を前提としないシステムとはいかなるものかとか。読めばすんなり理解できるよう、どれも説明が平易でよし。関連書を引き続き読んでみたいと思う程度には、面白かった。

 

お休みなさーい。

葱しょってない鴨

なごり雪のおかげで、観光名所である道庁赤レンガ庁舎も雪化粧。観光客が、嬉しげに記念写真を撮っていた。雪が残っていてよかったね。

 

雪は残れど池の氷はすっかり溶けて、鴨が気持ちよさそうに泳いでた。

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こっちはお散歩中の鴨。日差しの下で、ひなたぼっこ中だったのかもしれない。

 

冬季も食べるものには困らなかったのか、丸まっちくて、栄養状態もよさげ。観光客はきっと鴨に甘いから、冬季であっても餌はたっぷり貰ってたのかも。かもかも。

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葱はしょってない。

 

個人のクレジットヒストリーが、すっかりその人の暮らしぶりや生活まで明らかにするように、取引先や資本関係がわかれば、その法人の性格もすっかり明らかになる。

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 何なのこの会社は一体???と謎に思った時、すぐに調べることができればたいていの謎は解決する。なんでも明らかになる社会は、嘘がつけない社会でサトラレ、言行一致に優しい社会。

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ディズニーの曲特集ということでSONGSを見てるけど、ディズニーの曲を日本語で聞くことはほとんどないから、妙な気分。甘々な歌詞が落ち着かない。甘々な歌詞が脳髄に突き刺さる感じがしてイヤだから、日本語の曲はほとんど聞かないようにしてる。

 

ディズニーの映画そのものが聖書のように、何度も何度も繰り返さないと、あんたたち大事なこと忘れちゃうでしょ、という仕様になっているけれど、日本語で聞く甘々のディズニーソングも似たようなもの。

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甘々なラブソングを好んで聞くわりには、あんたたち他人にはちっとも優しくないよねという気分が盛り上がってきて、どうしようもない。

 

嘘やん、と思う日本語はシャットアウト。

 

英語で聞くディズニーソングなら、深く歌詞を突き詰めることもなく、お掃除や片付けがはかどるソングとして重用してる。極端な話、メロディーだけでいい。

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“らしさ”により縛られているのは、男性なのか女性なのか。

 

知ったこっちゃないけど、男性が日本語で歌う『ありのままで』は、知ったこっちゃないとはなかなか言えない男性を、より自由にしそう。オリジナルの“完璧な女の子はもういない”が都合よく抜け落ちてるあたり、まったくもって日本仕様。超訳じゃん。

 

お休みなさーい。

ブレイク・ライヴリーのファッション・ブック的映画、『アデライン100年の恋』見た

よそではそろそろ桜が咲こうかという時期なのに、なごり雪がしつこく降る。ほんと、いつまでもしつこくてうーんざり。

 

ブレイク・ライヴリーが最初から最後まで美しい💕『アデライン100年の恋』見た。

 

いつまでも若く美しいままの女性アデラインを、ブレイク・ライヴリーが演じてる。ブレイク・ライヴリー、私の中では勝手にRICAKOと同じクラスタにカテゴライズしてる。美人でスタイルよしで、気取らずサバサバ系。

 

ガハハと大口開けて笑うタイプで、カジュアルなファッションがよく似合って、セクシードレスを着ていても健康的。

 

その彼女が、この映画ではあらシック。

 

なんてったって100年は生きてる女性だから、好みがコンサバ。ドレスを着ていても露出控えめ。クラシカルかつコンサバな衣装を着て次々に登場するブレイク・ライヴリーを、ただ目で追ってるだけでも満足。とはいえ、ロマンチックラブストーリーとしても満足できた。

 

美人は美人という種族を死ぬまで生きるものとはいえ、いつまでたっても20代の若々しさだと、周囲から浮く。おまけにひと目を引く美人となれば、美の伝道師と尊敬されるよりも、不審がられるのがオチ。

 

周囲が変わっていくなかで、彼女だけはいつまでも変わらない。

 

アデラインの実年齢にふさわしくない若さと美貌がかえって周囲の不審を招き、警察に目をつけられた時から彼女の逃避行が始まる。身分詐称や、入れ替わりなんかの犯罪の匂いがするからな。。

 

もともとお金には困らない階級の出身者で、逃避行を重ねているとはいえ、常にメインバンクとは切れない設定(しかも長年のお付き合い。。)なところがまた、非現実感を後押しする。

 

ひと目を惹く美人とはいえ一緒に年を取れないから、うかつに誰かと恋に落ちることもない彼女が、恋に落ちる相手があらまぁこれまたロマンチック。ご都合主義と言われそうであっても、ブレイク・ライヴリーを美しくみせるための映画だから、これはこれでよし。

 

かつての恋人と思いがけずに再会する、ハリソン・フォードの芸達者ぶりが際立ったさ。

 

金髪だから、服装が地味でも地味にならずにシックなんだよなぁと、黒髪黒目種族のモンゴリアンからすると、羨ましいかぎり。

 

ドレス姿もいいけれど、なにげない普段着がいっちゃんおしゃれで、通販カタログを眺めるようにウットリしたさ。いつまでも若く美しいままの彼女が、そこに喜びを感じるのかというラストは、けっこう含蓄あり。

 

若く美しいままの人が、いつまでもそのままを望んでいるとは限らない。

 

ただファッションを眺めるためだけに見る。たまには、そういうのもよし。とはいえ流行に左右されないファッションは、結局お高いんだよな。。

 

お休みなさーい。

ゼロトレランス

日本で異常に現金使用比率が高いのは、結局のところ他人を信用できない日本人の国民性に行き着くと思ってる。

 

ニコニコ現金払いにタンス貯金なら、データの改ざんを心配することも個人情報が抜き取られる危険性も極小。

 

メリル・ストリープの『幸せをつかむ歌』で、メリルはスーパーのレジ打ち役を演じてた。カード払いを受け付けるだけでなく、ついでに20ドルくらい口座から下ろしたいとの客のリクエストに応え、お金を渡してた。スーパーのレジにATM機能が備わりつつあることを示すシーンで印象に残ってる。

 

ATMというマシンがなくても、ATM機能が備わったものであればスーパーのレジでも信用するものなんだ、と印象に残った。

 

一方では小切手がそれなりに通用するアナログ社会であっても、そこからキャッシュレス社会まであともう一歩。日本だと、あともう二三歩くらい???

 

結局のところ、お金はデータで容易に表せるものだから、データだけのやり取りになるまであとほんのちょっと。データの改竄もされず、そっちの方が安心だと思えるようになるのは、使用量がけた違いに増えた時。

 

お金の出入りややり取りには、本人以上にその人の行動パターンや思考パターンがよく表れる情報の宝庫。だから、クレジットヒストリーにどんな人間かがよく表れる。

 

コツコツ貯蓄型か、ドカンと一発当てて、大きく減らしてまたドカンと当てる博打型か。どう考えてもコツコツ型は、ドカンと一発屋にカモにされそうだから、どうしてもつるむ必要があるならコツコツ型。じゃないと、むしられる。

 

信用できる相手に条件をつけ、あれもダメこれもダメとダメ出しばかりする人間にとって「ゼロトレランス」という考え方は、目からウロコ。

 

例えば異国に一人ぼっちとか、誰も信用できない人にとっては、そもそも誰も信用しなくてもいいシステムの方が具合がいい。

 

ルールが事細かに決められているからこそ、管理者もなく、逸脱した行為があればチェーンから外れ、もっとも長く続いたチェーンこそが真とか。ルールブック読み込み型には最適。

 

チートが不利になる技術、最たる脆弱性は「人」の裏返しで面白い。

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(はらこ飯)

技術については、さっぱりながら、ブロックチェーンの世界観は面白いと思いつつ、『ブロックチェーンの衝撃』ページをめくるたびに、眠気が襲ってくる。あぁ眠い。ついでにブロックチェーンの行き着く先は、結局のところシェアリングエコノミーの隆盛だと思うと、その前にくたばりたいという気持ちが募るばかり。今んとこは。

 

お休みなさーい。

いつまでたっても戦争が終わらない戦士が可哀想すぎる『マン・ダウン 戦士の約束』見てきた

3月になると、年度末の予算消化工事や予算消化出張のように、一挙に映画の公開本数が増える。わりとマメに上映予定をチェックしてるのに、まったくノーマークの映画がひょっこり顔を出す。

 

『マン・ダウン 戦士の約束』も、まったくノーマークな戦場を舞台としたシリアスな映画。“圧倒的想像力をかきたてる衝撃のラスト8分!“のコピーにつられて見に行った。

 

ラストに仕掛けたっぷりで、つい語りたくなる。そんな作品だった。

 

戦場が舞台ながらもゲームチックで、ドンパチもスプラッタ―も嫌いな女性であっても嫌悪感なく見れた。ストーリー自体も霧がかかったようにミステリアスで、ミステリアスなストーリーに合わせて、映像もミステリアス仕立て。クリアーで明るいシーンは、すべて戦場に行く前のもの。過去がことさら明るく幸福に見えるなんて、悲しいね。

 

アフガニスタンから帰還した、アメリカ海兵隊員のガブリエルが主人公。戦場から帰還した故郷からは人が消え、妻も息子の行方もわからない。戦場から帰還した後も、戦場のような故郷で姿なき敵と闘い、消えた妻と息子を取り戻そうとする、哀しい戦士のお話。

 

予告編を見ればわかるけど、ガブリエルの息子ジョナサンが、とってもかわいいんだ。

 

とってもかわいいジョナサンは、ちょっとだけ気弱で線が細くて、そこがガブリエルにとっての悩み。ガブリエルは妻と息子を何よりも誰よりも大切に生きている人。根っからの職業軍人というよりは、生活のために軍人を選んだようなタイプ。

 

とはいえ海兵隊に入れるくらいだから、それなりに素質ありで、厳しい訓練にも耐えて立派な職業軍人へと成長する。

 

立派な職業軍人になるということは、立派な殺人マシーンになるということとイコールとはいえ、心、内心まで立派な殺人マシーンになることはできなかったのがガブリエル。

 

何よりも大切だと思っているものと、よく似た何かをすっかり破壊し尽し、取り返しがつかないことをしてしまったと悟った時、善良な人は罪の意識に耐えられない。狂う。

 

おかしくなる方が、正常なんだ。

 

言語化して他者に説明できるのは、「そのこと」について語ることができるのは、その人の中ですっかり整理がついた後。その時何があったのか。ガブリエルは、心の整理がつかないまま、故郷へと帰ってくる。

 

帰ってきた故郷はゴーストタウンのようで、愛しい妻と息子の姿も見えない。家族のようにいつも一緒だった親友も、もういない。

 

傷ついた心、魂を癒す場所や拠り所さえ失われたまま、どうやって傷ついた魂を癒すのか。

 

それなりに戦闘っぽいシーンも多いけど、リアルさからは遠く見えるのは、リアルな現実から遠く離れている戦士の心象風景に沿っているからと思えば納得。現実感なき世界を生きてる方が、ガブリエルの現実に近いんだ。

 

故郷は戦場ではないはずなのに、戦いは終わらず、家族の姿は見えない。

 

最終的に傷ついた戦士を受け入れるのは家族しかいないのに、その家族はおらず、家族にさえ受け入れられなかったら、その戦士はどうすれば戦いを終えることができるのか。

 

これじゃあいつまでたってももリアル、現実に戻れなくなるばかり。

 

ターゲットとした街を確実に落とし、住民が全滅しようが気にも留めず、大量虐殺も意に介さないマシーンのような人間なら、マシーンに置き換えてしまえばいい。マシーンにだってできるようなことを、やってるんだから。

 

感情のある人間だから、狂うし、おかしくなる。おかしくなる方が、戦場以外の場では、まともな人間さ。

 

衝撃のラスト8分間は、言ってみれば混乱と混乱の衝突。

 

そこが映画のキモだから、語りたいけど語れない。でもやっぱり語りたくなる。あのシーンは、戦場に最適化されたばかりに混乱してる人間と、平和な暮らしに最適化されて、戦場にある人の心理や背景を理解できない人との混乱がぶつかってできてるシーンだよね、と。

 

戦場経験者が見ている世界を、彼らにとっての現実を見せにくる映画。決して戦場に立つことはない人にでも、彼らの見てる混乱した世界はこうなんだよと、よくわかる。

 

戦場に行く前と後ではすっかり人が変わり、「あなたは一体誰?」となっても、在りし日の姿を思い出させるものさえあれば大丈夫。

 

息子のもとに帰りたい、ただ息子をもう一度抱きしめたいという父性愛が、ほとばしってる。父性愛に的をしぼったあたりが、とってもリアル。哀しいけど、職業軍人家庭ではありがちなことなんだろう。ありがちなことだったら、対策取ればいいだけのことなのに。

 

ちょっとひねりの効いた戦争もの。たとえどんなに話題になっても、『フューリー』なんかは絶対に見ることはない人間でも楽しめた。

 

お休みなさーい。

めざせスッキリ

地下鉄サリン事件の一報を聞いた時、後輩と顔を見合わせて「マジかよ。。」「なんじゃそりゃ」と驚いたことを、鮮やかに思い出す。

 

出来の悪すぎるフィクションを見せられた時と同じくらい、いたたまれなかった。

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(コンテチーズが美味しかった。メモメモ。)

『雨の日は会えない、晴れの日には君を想う』というタイトルは、ここ数年の中でも屈指のキャッチ―さ。晴れの日=人生順風満帆の時にはその人の不在を悲しみ、雨=泣きたいほど辛くて悲しい試練の時には、その人を巻き込まずにすんで良かったと思う。そんな愛し方を咄嗟に思いつくタイトルなんだけど、映画の内容はどうやらそうでもないらしい。

 

雨の日には君を想う、晴れの日には会えないだったら、それとっても都合のいい人よね。

 

気付けば3月もあと10日ほど。4月からは新年度。いつだってIt’s Newは喜ばしい。

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(ごぼうをバルサミコと赤ワインで煮てみる。酸っぱいけどいいおつまみ)

探し物があったので、ウロウロ。冬のコートはもういらないくらい、春めいた日。つっても北国基準だけど。お店で売ってるような春物を着るのはもう少し先。ここは東京と違う。足並みを揃えるべきは同じ高緯度地方のファッションで、GWまでにはもう一度雪が降ってもおかしくないから、油断はできず。

 

探してたのは、とってもしょうもない、小さなもの。小さすぎるし欲しいのも少量だから、ネットで注文するのも申し訳なくて足で探す。とはいえ探してる時には見つからないもので、生活がどんどん遠くなる街中では逆に見つけにくくなっている。行くべきは、イオンやヨーカドーなどのようなスーパーだったかも。

 

新生活準備で、生活用品を扱うお店はどこも長蛇の列。行く人来る人それぞれが、新生活準備に余念がない。そういやぼちぼち、引越しのトラックも見掛けるようになった。

 

あれも捨てたいこれも捨てたいで、処分したいものが山盛り状態。物置と化してる部屋+物置と化しているクローゼット分の荷物が消えたら、ずいぶんスッキリする。

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 (チーズかつおのおにぎり。コンテは塩気がきつすぎて、おにぎりには不向きだった)

あぁスッキリして暮らしたい。スッキリ暮らすためには電子機器のコードが邪魔過ぎで、なぜこんなにも電子機器のコードが多いのかと発狂しそうになる。エレクトロニクスの国の住民の自覚たっぷりな、自分が悪いんだけどさ。

 

当面の目標は、ルンバでもブラーバでもスイスイ掃除できるよう、家具を減らして床面積を広くすることさ。

 

お休みなさーい。

みつ豆とディズニー映画と

赤えんどう豆がたっぷり入った豆かん。唐突に食べたくなったので、記憶を頼りに自分で作る。

 

完成図としてイメージしているのは、浅草は梅むらの豆かんみつ豆の親戚だから、入っている豆は赤えんどう豆に違いないと決めつけていたけれど、梅むらの豆かんの写真をじっくりとっくり眺めると、赤えんどう豆より明らかに黒い。黒々としてる。もしかして黒豆なのか?

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(赤えんどう豆、ビフォーアフター

遠方に住んで実物が手に入らないと、こういう時に不便。

 

ほんとは黒豆かもしれないけれど、赤えんどう豆の食感の方が好きだから、赤えんどう豆を塩煮にする。塩煮にするか、砂糖で甘みをつけるべきか。ここでもまた悩んだんだけどさ。

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寒天を作るにも、甘みはどれほどにすべきか砂糖抜きにすべきかでまた悩む。記憶だよりでレシピなきスイーツ作りは、迷いがいっぱい。

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ゼラチンと違い、常温でも固まるのが寒天。適当な大きさにカットし、シロップとともに冷やして甘みを浸透させる。

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記憶の中の豆かんよりも、かなり頼りない感じに仕上がった寒天と、赤えんどう豆の塩煮が出来上がる。豆には火が通り過ぎた。ストイックに豆と寒天だけにしたかったけれど、誘惑に負けて、ついミカンの缶詰や思いつきでドライクランベリーまで入れてしまう。梅むらの豆かんからどんどん遠くなる。

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ミカンの缶詰のシロップだけでは、酸味があり過ぎていまいちなので、これもやっぱり思いつきで、「梅酒」を電子レンジで煮切ってみる。

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大きめの器でラップせず、電子レンジに1~2分かける。アルコール度数が19℃ほどあるので、煮切る前は濃厚に漂っていたアルコール臭も、煮切った後はすっかりどこかに消えている。梅風味が濃厚な甘めシロップの出来上がりで、こいつも加えて冷蔵庫へGO。

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(見た目はちっとも変わらない、梅酒の煮切り)

作りたいものとはずいぶん違ったけれど、とにもかくにも完成。

 

寒天の材料は、水とグラニュー糖だけというシンプルさ。水のゼリーみたいなものだから、固さも味付けも加減が難しい。まったく甘みがないと、多分食べる気がしない。

 

寒天の固さも、豆の塩梅も、材料はシンプル極まりないのに、どうしてこんなにも出来が違うのか。シンプルなものほど巧拙もくっくりはっきりで、難しい。

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(赤いのは、ドライクランベリー

『モアナと伝説の海』は、オセアニアポリネシアを文化的背景にしていて、『ムーラン』は中国ルーツ。『アナと雪の女王』は、いかにもディズニーらしいっちゃらしいお伽の国ではあってもやっぱり北欧圏の文化が濃厚に漂ってる。そういや『ポカホンタス』なんてのもあったね。

 

同じようにエキゾチシズムあふれる作品を日本を舞台に作るとしたら、その題材はどこから取るのか。

 

日本人にとってはお馴染みだけど、海外では知名度が低いものと言えば古事記、歌舞伎、源氏物語に、あるいはすでに宮崎駿がやってるけどかぐや姫とか?

 

マレーシアでは美女と野獣の同性愛シーンに物言いがついたそうで、作品の真価とは別の部分で物言いがつくのは作品にとっての不幸。たくさんの人に見てもらってなんぼの作品には、全方位から文句が出ないものの方がいい。

 

『モアナと伝説の海』では王子様役が見当たらないのは、深謀遠慮の結果でもあるのかも。エキゾチックな舞台でシンデレラストーリーをやったところで、目新しさもなければ、あるかもしれない誰かやどこかのコンプレックスを、無用に刺激する危険性もあるから。

 

結局マウイというキャラそのものにも、物言いがついてたみたいだけど。

 

ディズニーのようなグローバル企業が、いかにもディズニーらしい作品を持ち込んでも、ローカライズされた作品を持ち込んでも、どっちにしても反発する人はするわけで。嫌なら見るなとは言えないところが、ビッグカンパニーのツラいところ。

 

もしもディズニーが、日本を舞台にエキゾチックな作品を作ろうしたら、選ぶモチーフは何にすると面白くなるか。日本人にありがちで日本人大好きで、他国からもの珍しがられるものといえば、忠臣蔵とか?

 

ディズニーの定番お姫様ものも外して、少年(=大石内蔵助の息子)を主人公にすることだってできる。ディズニーが作る忠臣蔵、それ見て見たいかも。

 

お休みなさーい。