クローズドなつもりのオープン・ノート

~生きるヨロコビ、地味に地道に綴ってます~

金融商品としてのビットコインは、特に目新しいものでもなし

耳を澄ませば、雪融け水がポタポタ滴る音が聞こえてくる、急激に暖かくなった春の一日。白樺花粉が飛ぶのは、4月後半から。急激な気温差に、体を慣らすのも大変さ。

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お金は社会を変えるツール

お金は社会を変えるツールで、そのツールの形が変わったら、そりゃ社会も大きく変わるでしょう。以下の文章は『ブロックチェーンの衝撃』を読んだ補足。

ブロックチェーンの衝撃

ブロックチェーンの衝撃

 

 (書影を紹介したいだけ。アフィリエイトは仕込んでません)

 ビットコインについては、テクノロジーの話と社会システムの話がごっちゃになるから、わかりにくい。

 

ビットコインの根幹となる、ブロックチェーンの「改竄されない」や「物理的分散によるダウンタイムの払拭」とか、テクノロジーに関する部分は、エビデンス出せや”が通じたら、かなりわかりやすくなる。出されたところで、こっちはわかんないけどさ。

 

宇宙物理のような純粋学問と違って、ゴリゴリに実用化が先にある技術については、ところでそう簡単に全貌を明らかにできないのもよくわかる。だから、言葉を尽して説明するしかなく、言葉で技術を説明するから、輪郭がぼやけてしまう。

 

ビットコインの発行枚数には、上限アリ

今現在ビットコインに興味を持ち、手を出そうかと考えてる人のほとんどは、値上がり益、キャピタルゲインを期待してるんじゃないかと思う。今買っとけば、いつかは値上がりするのかな???と。

 

近頃ビットコイン推しが甚だしいけれど、ビットコインの発行枚数は、上限が2100万枚ですよ!

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(鍋でご飯を炊く。この日は、鯛をいっしょに炊き込んでみた)

銀行や保険会社が、銀行業法や保険業法といったルールにしばられ運営されているように、ビットコインビットコイン法とでもいうべき「コンプライアンス」にしばられている。

 

で、コンプラの中でももっとも重要なものが「発行枚数に上限があること」。掘り尽したらおしまいで、終了。その基本コンプラを、ビットコインの採掘者(マイナー)など関係者と合意の上変更するのは、現在のところ“とっても大変”だそう。

 

・埋蔵量に限りがある

・パブリックでトラストレスでパーミッションレス、つまり信頼に値しない利害関係者も含んだ不特定多数により、中央管理されずに運営されている

 

その点で、通貨として似た商品を探すより、金やプラチナなどの貴金属の市場をイメージした方が、金融商品としては似てる。

 

資源に限りがある、貴金属関係の金融商品として考えればわかりやすい

安全資産としても選ばれる金。現在でこそ金ETFとして、オンラインで取引できるようになったけれど、そもそも誰かに集中管理されてるものではなし。

 

金と現金との交換市場、あるいは取引所なら、オンラインになるはるか以前から世界中にありましたね、そういや。アンバンクト、銀行が機能しないような未開の地でも、金だったら財やサービスに変えることもできた。

ビットコインは、世界初の上場DAO(自立分散型組織)

株式の上場 上場済み。全世界の取引所で法定通貨との交換市場が立ち上がっている 

『ブロックチェーンの衝撃』より引用

 とのことで、全世界の取引所で法定通貨との交換市場が立ち上がっていれば上場済みってことは、金やダイヤモンドだってとっくに上場済みだったと言うこともできる。でもさ、オンラインで簡単に取引できるようになったのは、やっぱり金ETFという形になってから。

 

ちなみに、この本のこの章*1におけるビットコインの株主は、ビットコイン保有者となっている。

 

埋蔵量が変化することはないけれど、テクノロジーの進歩により、掘削量が増える可能性があるあたり、やっぱりビットコインは金っぽい。

 

金が、金ETFとしてオンラインでも取引可能になったおかげで、最初期から金ETFに投資していた人は、相当なキャピタルゲインを手にしている。換金時さえ間違えなければ。

 

埋蔵量が限られていても、流通が整備されて売買がしやすくなると、取引量も激増する。挙句に、「金買います」と、時には迷惑業者が跋扈することにもなるという、副作用まであった。

 

金を金ETFというフォーマットに載せて、価値をオフラインからオンラインに移転することに成功したから起こった諸々のこと。ところで金やプラチナは、工業用用途というものもありまして。実需の裏付けがあるならともかく、金やプラチナ価格の投機的な高騰は、産業界にとっては、迷惑極まりない。

 

資源価格や為替の変動で、コツコツ積み上げた利益なんて、簡単にふっとんじゃうからな。

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(炊き上がった、鯛めし)

ところでモノづくり、産業界や実業の世界の怒りの前には、虚業なんてひとたまりもない。虚業虚業だけでは生きられないのは、Youtubeからビッグメーカーが広告を引き上げたら、グーグルさんといえども経営に打撃を被ることから想像はたやすい。

 

その点、仮想資源なら実業へのダメージもなく、金余りの出口として、遠慮なく使うことができる。慎ましく生活してる人とは遠い世界で、余剰資金がだぶついてるのが、低金利という時代。創業支援も、ソーシャルレンディングも、余剰資金の出口さ。

 

実業と虚業と。越境しつつある今だからこそ、実業界と上手に融合することが、虚業の生きる道。

 

仮想通貨の実需としての出口、とにもかくにもできたっぽい

ビットコインも、海外との行き来が多い人ならもしかして、使い道も多いのかもしれないけれど、地方都市ではそもそも受け入れているところさえ滅多に見ない。

 

そのままでは“仮想通貨“という虚業に閉じてしまいそうなところ、ビックカメラ受け入れとか、実業との接点が急速に増えて、最初期からのビットコイン投資者へのボーナスステージの準備は、とりあえず整ったみたい。

 

ビットコインというまったく新しい“概念”を信じて、コツコツマイニングしてきた掘削者(マイナー)への支払いにも当初は使われていたというビットコイン。売りたい人ばかりではどうしようもない。買う人が大量に現れてこそ、バブルってもんさ。

 

現在は仮想通貨のフロントランナーにしてトップランナーではあるけれど、フロントランナーがトップランナーであり続けるとは限らない。ボーナスステージによる規模の拡大を経てもなお、止めることも盗むことも改竄することもできないことを、証明し続けることが果たしてできるのか。

 

仮想通貨そのものは、プライベートなものパブリックなものを合わせても、すでに600種類くらいあるという世界。

 

近い将来には、仮想通貨の老舗として高い知名度を誇るけれども、市場での存在感は、さほどでも。。という存在になっている可能性も大いにあり。

 

ビットコインは、法定通貨でもなければ地域通貨でもない。発行主体に中心がなく、プロトコルによって動いているものならば、クレームをぶつける先も定かでないってことさ。

f:id:waltham70:20170405204623j:plain(鯛の身をほぐして、蕗の煮物を細かく刻んだものと三つ葉を和える。うまうま。)

大口顧客に限ってはその限りではないという運用は、各取引所の判断によるもの。ビットコインコンプラに組み込まれたルールなのか、それとも取引所の運用ルールなのかで、混乱しそうになる。

元が基軸通貨としてもっと強かったら、現在のビットコインブームもなかった

ご利用は完全に自己責任での世界で、個人が余裕資金で試してみるならともかく、ビットコインを大量保有する企業はリスクテイカーとしか言いようがない。

 

それもこれも、中国元が思ったほど基軸通貨として流通せず不安定なままで、リスクをとってでも新しい手法に頼ることにしたのかな、とか。世界中で対中貿易は増えてるはずなのに、元の流通量は低空飛行なままで、ドルやユーロが強いままなのか。

 

今後はビットコインという仮想通貨のフロントランナーを叩き台に、自国内で流通させるのにより最適なデジタル通貨の形を探る、第二段階に入って行きそうで、新しい技術周りの話は、楽しいですね。

 

すでにビットコインの取引所は4月から登録制に移行したそうで。次のボーナスステージは、ビットコインETFが誕生した時か。

 

堅実なので、キャピタルゲインのお話よりも、ブロックチェーンによるスマートコントラクトにより興味アリ。お金は社会を変えるツールだから、社会を変えない人が大量に持ってても、しょうがないわな。

 

お休みなさーい。

 

*1:この本は15名の著者+監修者1名による共著。著者それぞれがビットコインについての見解を持っているから