クローズドなつもりのオープン・ノート

~生きるヨロコビ、地味に地道に綴ってます~

単数と複数

スエズ運河が値上げされたら運河の利用者は困るだろう。

 

その場合、値上げに踏み切った当事者は誰から見ても明らかだけど、値上げに踏み切るまでの確たる事情は限られた者にしかわからない。

 

食料やエネルギー、あるいは基幹産業の原材料などなど。値上げに踏み切った当事者を食わせて存続させていくための何かが急騰して高騰し、安くて便利だから安定していた安定財源まで不安定化しつつある。

 

みたいな事情があった時。値上げを決断したのは当事者でも、当事者を取り巻く事情や環境がなかったら当事者の決断は出てこない。あるいは、また別のものであった可能性がある。

 

簡単なのは単数で、複雑なのは複数。

 

決断したのは単独でも利害関係者が複数だったら、事情は複雑。利害関係者が複数で数が多く、数に勝る利害関係者が一斉に代替を求めると安定は崩れて不安定化しがち。

 

水利権に通行権。

 

手中にすれば安定したお財布になりそうだけど、安定したお財布になるためには管理運営者よりも数に勝る利害関係者がいないとそもそも安定したお財布にもならない。

 

巌流島に壇ノ浦。名前は知っていてもどこにあるのか地理には疎い。にぎたつに船乗りせむと詠まれた“にぎたつ“も、そもそもどこにあったのかよくわかってないけれど、日本史上に名を残した戦いの場は、古くなればなるほど西の方。


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西から東で東から北が、領土あるいは国土拡張ルートであったことは間違いない。

 

大陸により近い西の方には九州警固のために防人という職種があって、相当古くからある職だと知っているのは万葉集にも詠まれているから。歌を詠む暇はあるけど、地域には何らかの緊張があるから防人が置かれた。

 

北海道だって大陸に近いけれど、北海道に同種の職種が置かれるのは近代以降で、要するに西と北ではそれだけタイムラグがある。

 

古来より人の往来があって交易が盛んで利害や利得があったから争いも古くから起こるもので、利害も利得もなければそもそも争いなど生まれようがない。利害や利得の規模が大きくなるほどに争いも大きくなって、利害関係者が増えていく。

 

過去よりももっと遠く、いにしえの国家間の争いを忠実に描き出そうとすると、現代の国家間の協調がないとできない。

 

勝者に敗者、勝ち負けに関係なく戦場や争いと関係することになったもの。最低でも三者が揃わないと三者三様の視点は持てず盛り込めず、三者三様以上の客観的な視点を欠いたまま描かれたものは、“当時を忠実に描いた”ものにはなりにくい。

 

人の往来があって交易があって利権があったから争いが起こったような土地は、争いと協調の歴史を繰り返しているはず。そして争いの気配は濃厚なのに、協調の気配がなかったら焼け野原。というシンプルかつ簡単な結論になる。

 

争いも協調も、複数が揃わないとできないもの。複数の気配が感じられないのなら利害も利得も発生せず、争いも起こりようがない空白地帯。

 

空白だから、新しく何かを設定するときにはクリーンでよりイージーということになる。

 

過去の争いを忠実に描き出すには現代の協調が欠かせず、現代で協調したものは次にあるかもしれない争いでは公式・非公式な交渉の窓口になるかもしれない。だから公式(アカデミック)でも非公式(エンタメ)でも協調して協働するんだと思った。

 

瀬戸内海に地中海。多島海を実感するような似たような景色は、俯瞰すれば案外似たような歴史を作ってきたのかも。かもかも。

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(これは、お昼寝中の鴨たち)