クローズドなつもりのオープン・ノート

~生きるヨロコビ、地味に地道に綴ってます~

気力たっぷり

深夜にたまたま見掛けた映画の中では、ロバート・デ・ニーロ演じる社会病質者が、若い娘さんの頬っぺたに噛り付いてた。顎じょうぶやな。。

 

それなりに血も飛び散って猟奇的なシーン。最初から映画を見ていて「その世界」にどっぷりハマってたら、恐怖に震えてたかも。だけど、ウェルダンのステーキよりももっと噛み切りにくそうなヒトの頬肉。食い千切るには丈夫な顎と鋭い歯が必要で、顎も歯も丈夫過ぎやろ。。というのが、途中から見た人の率直かつ台無しな感想。

 

子供の頃、怖くてしょうがなかったのは水幽霊という怪談。

 

外国の古城が舞台で登場人物の名前も外国人風だったけど、本当に外国人によって書かれたものかどうかは知らね。なんちゃってだったのかもしれない。由緒ありげな古城の城主は代々早死にで、早死にするのは水幽霊の仕業ということになっていた。

 

そのいわくつきの古城を相続することになった新しい城主は、水幽霊との対決を決意。深夜に城主のもとを訪れ死に至らせる水幽霊を、逆に罠にかけようとする。

 

子供向けの怪談とはいえ、何しろ語りが怖くて上手かった。

 

水幽霊が登場するまではドッキドキ。幽霊がポタポタと全身水濡れになりながら登場してからもドッキドキ。この恐ろしい水幽霊をどう退治するのかといえば、なんと!!!凍えるような寒さの屋外におびき出し、見事水幽霊を氷漬けにすることに成功。何重にも厚着していた城主は風邪も引かず、そして新しい城主は無事でしたとさでお話は終わってた。

 

氷漬けになった水幽霊のその後が、今となっては逆に気になるところ。フェイクニュースが蔓延する現在では、水幽霊氷漬けで捕獲!!!という見出しではクリックもされず、スルーされるのがオチで怪談としてはオチが弱い。

 

語りが上手く舞台装置が作り込まれていると、うっかり「その世界」にどっぷりハマってしまうけれど、ハマってない人からみれば、なぜハマるのかわからない。ということはあるもので。

 

聞いたことのないベストセラー本で、もちろん本屋さんの目立つ場所にも置いてない。おまけに聞いたこともない“タレント”を知っている人は、この語りの上手さや作り込まれた舞台装置に取り込まれた人。

 

取り込むつもりで用意周到に準備された舞台装置は、次のうっかりさんが舞台に上がるのを待っている。

 

ロバート・デ・ニーロ演じる社会病質者は、ひと目でそうとわかるような見た目でもなく、何しろヒトの頬肉を食い千切るくらいだから、気力たっぷりで元気いっぱい。ついでに、見ようによっては魅力的。

 

頬肉を食い千切るだけでなく、ヒトのココロも食ってたぶらかすくらいだから、ヒトをたぶらかす魅力にも長けていた。恐ろしい恐ろしい。ヒトのココロも食ってたぶらかそうとする輩を相手にするなら、ちゃんと食べて寝て気力を蓄えて、元気じゃないとやってられない。

 

ご飯が美味しいのは、元気な証拠。気力の充実した相手のココロを食うのは、歴戦のヒトのココロ食いでも無理。