クローズドなつもりのオープン・ノート

~生きるヨロコビ、地味に地道に綴ってます~

持ち上げて、落とす

とらえどころがなくて難しい、時代を振り返る行為も、テーマを絞って振り返るとよりやりやすくてわかりやすい。例えばCM。

 

広告のモデル、それも広告そのものが話題になったような有名な広告でモデルとなった女性ばかりを追い掛けると、その時代の空気や雰囲気もよりくっきりはっきりする。

 

広告そのものの賞味期限が短くなって、フィルターバブルに包まれ個人に最適化された広告ばかり目にするこれからは、もう時代のアイコンにも振り返りの対象にもならないことも、うっすら浮かんでくるんだけどさ。

 

その時々で有名になった女性を見ていくと、“持ち上げて、落とす”というお家芸の存在が、よりくっきりはっきりする。強力な後ろ盾を持たない人ほど強力なスポットライトが当たってスターダムを駆け上がり、そのあとには急落が待っていた。

 

例えば人気の絶頂で惜しげもなくその裸身を晒し、全国紙各紙で自身の写真集の宣伝をした女優さんは、その後辛酸をなめている。幸いなことに、辛酸をなめた後にも沈みっきりにはならず、息をしやすそうな場所で今でも笑ってる。

 

転機はやっぱり惜しげもなく裸身を晒した広告で、絶頂期にある今ならどんな反感も偏見も跳ね返せると周囲の大人に唆されでもしたのか。その後の彼女がなめた辛酸は、あえて強力なスポットライトを当てたものは、同じくらい強力な力で突き落とせるんだという悪き先例。

 

彼女以降は、物分かりがよくなった人が急に増えたんじゃないかと予想する。誰だって、あんな目にあうのはイヤだから。

 

ステキね、きれいねと褒めそやしたその同じ口で、今度は口汚く罵る。言ってみれば山あり谷ありだけど、口汚く罵ることを前提で褒めそやすなら、できる山は大した山にはならず、せいぜい丘くらいのもの。

 

せいぜい丘くらいの高さにしかならないのなら、できる谷も水溜まりみたいなもので、山あり谷ありのジェットコースターなら出せる最大瞬間風速も、山でも谷でもないから大したことない。

 

大した風が吹かないから、波風も立たずに平和。平和を願った人が、そうしたんだよ。

 

食洗器にロボット掃除機、あるいは洗濯乾燥機などなど。時短に役立つ家電は、家庭内のいがみ合いを解消するよいツール。

 

どちらも忙しくて家事を互いに押し付け合う家庭では、時としていがみ合うことがコミュニケーションになっている。いがみ合いがコミュニケーションの手段となってる人は、“持ち上げて、落とす”行為にもより加担しやすく、山あり谷ありのジェットコースターが出す最大瞬間風速を大きくするのにもお役立ち。

 

最大瞬間風速を大きくするには波風が必要で、波風増幅装置としていがみ合いをコミュニケーションの手段に使う人が選ばれる。

 

でもさ、口汚く罵ることを前提で褒めそやすなら大した山にも谷にも波風にもならないから、波風増幅装置を抱え込んでる方がコスト高になって産業にもならない。

 

食洗器にロボット掃除機、あるいは洗濯乾燥機などなど。時短に役立つ家電が家庭にやってきて、いがみ合う必要もなくなりいがみ合う時間がなくなったら何するのか。小人閑居して不善をなすが証明されたら、小人には暇を与えず不善をなすツールも与えないになってもしょうがない。

 

いがみ合いをコミュニケーションの手段にしない・させないのは、“持ち上げて、落とす”お家芸からの脱出で、お家芸で伝統芸だから、伝統とも家とも遠い場所の方がやりやすいやね。