クローズドなつもりのオープン・ノート

~生きるヨロコビ、地味に地道に綴ってます~

雪解け水

大河と文明とは相性よしで、エジプト・黄河メソポタミア・インダスと、大河流域には古来より都市国家が成立したと、これは昔習った世界史でのお話。最新の世界史では、どう教えてるのかは知らね。

f:id:waltham70:20180306003903j:plain

久々の青空だった。

日本史の世界でも、水利を巡ってしばしば争ったと、これはフィクション・ノンフィクションが教えてくれる。大規模かつ計算された灌漑施設を古来より備えている都市は、やっぱり古来から文明が発達した都市なんだと納得できる。

 

都市生活に欠かせない水が豊富なだけでなく、水路を備えて都市のすみずみにまで行き渡らせ、誰でもあるいは必要な人が便利に水を使えるシステムを構築できた。巨大建造物を建築・建造する技術と巨大プロジェクトを遂行する組織力があった。大勢の人を動員して作業にあたらせる権力があった。集めた人員を食わせるだけの食料があった。

 

うん、どう考えても都市国家にしかできない所業。だから、巨大プロジェクトを現代に伝えるモニュメントである、古代の水道橋やカナートを見ると、脳内へぇボタンが押されて感動するんだな。ダムしかり。

 

イランの砂漠を流れる大運河。夏季には50℃まで気温が上昇する、乾いた土地とは思えないほどたっぷりした水も、古代の水利施設でカナートを利用したものとか。

 

砂漠の中を滔々と流れる大河。しかもそれが人工的に作られたものだったら、そのべらぼうさにただ驚く。土地の収用にさえ苦労する、現代ではとても再現できない大技で、ビッグプロジェクトを成功させた巨大な権力に恐れ入る。

 

大きな権限をもらったからといって、誰もが後世に残るような巨大建造物を残せたわけでもなく。『グラディエーター』ですっかり有名になった暴君コモデゥス(コンモデゥス)は、聖堂のような建築物もそれなりに作ったみたいだけど、それよりもコロッセウムの中で実際に剣闘士もどきとして闘った暗君として記録されている。

 

立派な業績として後世にまで伝わるのは、誰もがわかりやすく恩恵を受けられる巨大建造物の方。ただ自身が楽しむために作ったものは、狂王ルードヴィヒが残したノイシュバンシュタイン城級に突き抜けないと、業績にはカウントされない。

 

ノイシュバンシュタイン城級の歪んだ美意識の塊を、幾つも後世に残されたらかなわんからな。歪んだ美意識の塊は、そう簡単に後世には残せないよう、現代では美の審判者たちが目を光らせている。

 

ということを考えた、気温が急上昇した日曜日。ドカ雪が急激に融けて、道路は水浸しの大洪水。水溜まりを踏み抜いた車から上がる水しぶきも盛大で、雪の壁がなければおちおち歩いてもいられない。雪解け水がある限り、北海道が水に困ることはない。

 

融ける雪を何らかの形で都市生活に生かし、じゃぶじゃぶ水使ってもヘーキ以外の何かが生まれたら、そりゃめでたいことで。

 

レインシューズが活躍する季節のはじまり。流氷見学にも耐える、真冬のコートの出番ももうなし。ローマが滅んだのは西ゴート族の侵入がきっかけで、それって移民の大量流入ってことよな。

 

おらが村あるいは街の作法が通じない大量の移民の流入は、古今東西その街の姿や景色を変えてきたってことでもあって、歴史は繰り返すから、歴史に学べと説く歴史本が溢れるのかも。

 

お休みなさーい。