クローズドなつもりのオープン・ノート

~生きるヨロコビ、地味に地道に綴ってます~

氷より冷たい

トーゴーサンといえば、税の捕捉率を表すワード。サラリーマン10割自営業5割、農林水産業3割という捕捉率からは、税金が取りやすいのはどこかが丸わかり。給与所得者が狙い撃ちだけど、そろそろマイナンバーと銀行口座が紐ついて、給与所得並みの権利収入がある人も、狙い撃ちして欲しい頃。

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懐かしい名前を見かけたので、昔話。

 

リレハンメルオリンピックが行われたのは、1994年。今大学生くらいの若人だったら、まだ生まれてもいない頃。女子フィギュアスケートでメダル候補だったナンシー・ケリガンが、何者かに殴られるという事件があり、同じくメダル候補でライバル視されていたトーニャ・ハーディングに疑惑の目が向けられた。

 

お嬢様育ちのケリガンに対して、経済的には恵まれない境遇だったハーディング。

 

ケリガンを襲ったのは、本当にハーディングだったのかという全米あるいは世界から好奇の視線が集まるなか始まったのが、リレハンメルオリンピック

 

ところが猫とネズミが喧嘩するなか、トンビに油揚げで金メダルをかっさらったのは、オクサナ・バイウルというウクライナ出身の少女。という顛末がとっても好き。

 

しかもこのオクサナ・バイウルは、育ちの悪さがウリだったハーディングよりもさらに“可哀そう”な生い立ちで、ソ連邦崩壊後の旧共産圏出身者で孤児だった。

 

そして、トンビに油揚げで金メダルを手にしたバイウルも、その後アメリカに移住して薬物だったか何かに溺れ、矯正施設入りしたという、雉も鳴かずば撃たれまいという顛末が待っていて、いかにも劇場型事件らしくて後味の悪さだけが際立っている。

 

フィギュアスケートといえば、優美だったり華麗な滑りをステキね~とうっとりして眺めるもの。そのフィギュアが、もっとも下世話でゴシップにまみれた、史上最悪の事件だった。

 

なぜそこまで醜悪な事件となったのかと考えると、フィギュアスケートが興行として大金を稼げるようになったからで、興行が競技を歪めた最初期の例なのかもしれない。

 

彼ら彼女たちには、アスリートとして選手生命をまっとうした後も、アイスショーという興行が待っている。興行だから、下世話でもなんでも名前で客を呼べる選手になれると、重宝されたのかも。

 

俺たちフィギュアスケーター』というB級コメディは、競技として真剣にフィギュアに取り組んでる人からみると、ちょっとどうなのよという面もあるけど面白い。

 

ナンシー・ケリガンも端役で出てくる。一方オクサナ・バイウルは、映画という興行に協力しなかったせいか、氷より冷たい女とひどい扱い。

 

さらに言えば、ケリガンを差し置いてバイウルが金メダルを獲ったせいで、ケリガンの影も薄くなったから興行という面から考えると、お前が金メダルなんか獲るから、予定狂っちまったじゃねぇか。と、タチの悪いB級映画プロデューサーが、文句垂れてるようにも見える。

 

競技の向上や、進歩といった面とはまったく関係のない、カネカネカネの人間が絡んでくるのが興行の世界。

 

興行の世界の暗黒面を、ちょっとでも覗いたことのある大人は、決して興業の世界に自分の大事な子供は関係させない。ステージママということばがあるけれど、積極的に自分の子供を興行という世界に関係させようとする親とは、まったく違う考え方をする。

 

まったく違う考え方をする人間同士が、ひょっこり鉢合わせするネットは、だからおっかない。何をやってきたのか。誤魔化そうとしても、過去だけは誤魔化せない。

 

ケリガン殴打事件で有罪となったハーディングは、その後プロレスに転向して次は彼女の映画が作られるとか。興行の世界から足を洗うのはそう簡単じゃないみたいで、一生オモチャにされる。だからこそやっぱり興行とは、安易にかかわらないに限るわな。

 

お休みなさーい。