Amazonの人口知能「Alexa(アレクサ)」を搭載した、echoの日本発売を心待ちにしてる。Echoは、音声を認識するチャットボットという理解で、多分いいはず。
ところでチャットボットって何なのさ???ということで、『チャットボット AIとロボットの進化が変革する未来』を読んだ。
著者はBASE 出身で、現在は沖縄でデジタルマーケティング関係の会社を営んでいる人。
チャットボットという単語くらいは聞いたことはあるビギナー向けで、技術的なお話はあんまりなし。botの解説にはじまり、チャットボットの説明、ビジネスシーンでの活用方法、主要プレーヤーの取り組みや、チャットボットの可能性について書かれている。
本書は2016年10月に発売されたもの。スマホファーストが決定的になり、アプリ全盛の今だからこそ、「グーグル検索の次」に来るものなんだろうと、読む気になった。
チャットボットとは、会話プログラムを通して相手の意図を推定し、目的の行動へすばやく導くツール(本文より引用)
とのことだけど、“札幌”“カフェ“”人気“や、”雰囲気がいい“で検索したところで、誰もが満足する結果が得られるとは限らないのは、もうみんなにバレてる。
グーグルさんもがんばってるけど、逆SEOやブラックハットと、グーグルの検索結果がイマイチ信用できなくなった、今日この頃。玉石混淆の結果から、ちまちまゴミをつまみ出すのも面倒極まりない。
グーグル検索が浸透するとともに、SEO事業者の存在感も大きくなって産業となったように、チャットボットが日常に浸透するようになれば、今までにない新しい職が生まれて、周辺が活気づく。例えばチャットボットの根幹となる人工知能を鍛える、AIトレーナーとか。
アプリを買うように、チャットボットが購入できるボットストアもすでにあり、その種のボットを提供しているのは、LINEのようなメッセージングアプリを提供するプラットフォーマー。
テキストによるチャットボットは、すでに数億のユーザーを持つプラットフォーム上にて密かに浸透中で、有力メッセージングアプリとして紹介されているのは、FBメッセンジャー、KiK、LINE、Wechat、Telegramなどで、日本人にとってなじみが薄いものもあり。
「FBに書き込むのはダサい」という感覚から、ティーンの間で人気となっているサービスもあり、スマホもSNSも当たり前の世代の行動は、予測がつくようでつかないから面白い。
効率を求める大人とは別のベクトルで、チャットボットに親しむ可能性が十分にあり、その筆頭が女子高生型人工知能「りんな」。LINE上で、マイクロソフト提供の人口頭脳コルタナを搭載して活動中。
チャットボットを提供するプラットフォームは複数あれど、結局そこで使われている人工頭脳エンジンとなるボットはさして多くない。商用ベースではFBの「M」、マイクロソフトの「コルタナ」、Amazonの「アレクサ」、Appleの「Siri」、グーグルの「グーグルアシスタント」など、結局はIT企業の巨人しか見当たらない。
商用に耐えうるには膨大なデータの蓄積が必要で、集めたデータを会話にも利用できるよう、再編集できる技術を持つのも、きっとこの辺。
常識が通じないコンピューターに、あさってな回答をさせないための仕組みについては、本書ではサラッとしか触れていない。
触れられてないから、本書刊行の半年くらい前には、チャットボット開発のスタートアップが、一瞬盛り上がって沈静化したのかも。本書で取り上げられていた、チャットボットビジネスのトップランナーが開発したというアプリ、息してるようには見えなかったんだけど?
人と機械とのスムーズな会話はやっぱり難しくて、特にテキスト方面では人がサポートする「ハイブリッド型」が今はまだ主流っぽい。
日本語に限っても、漢字・仮名・カタカナといった表記の揺らぎ問題や、話し言葉か書き言葉かといった難問が、豊富なデータと学習量を誇るガリバーを有利にする。
概念間の上位・下位関係、部分・全体関係といった関係性を明示的に記述した辞書(「検索の新地平」より引用)
角川インターネット講座 (8) 検索の新地平 集める、探す、見つける、眺める
- 作者: 高野明彦
- 出版社/メーカー: KADOKAWA/角川学芸出版
- 発売日: 2015/04/25
- メディア: 単行本
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をすでに備えているのは、ガリバーくらい。未知の言葉に対してはチューニングも必要で、辞書も持たずにチューニングもできないその他は、ガリバーが提供するボットエンジンを使って開発していくしかない。日々膨大なデータが集まってくるガリバーに、圧倒的に有利な世界。
人はなんのために検索、調べ物をするのかというと、「探したい、見つけたい」ものがあるから。探したい・見つけたいものへの最短経路さえわかれば、テキストから画像、あるいは音声へと容易に乗り換える。使うツールもグーグルにしばられない。
スマホネイティブにとって、web上でのコミュニケーションはすでに日常のもの。馬鹿げた情報量に取り巻かれていても、自分の興味の範囲を超えることは難しく、検索が難しいのもそこに理由がある。
興味の範疇を超えた質問なんて、そうそう思いつくもんじゃないからサジェッションに頼りまくり。
人工頭脳に尋ねること、頼ることの意味もきっとここにある。他人の頭脳を借りて、玉石混淆な情報の中から、ゴミを取り除いてより有益なものだけ欲しくなるから。
第一印象が大事なように、最初に出会う情報に、やっぱり人は引きずられる。
だから深層学習を重ね、勤勉かつお利口さんなチャットボットに、とりあえずは引っ張られたい。echoの日本発売を、指折り数えて楽しみにしてる。
お休みなさーい。