クローズドなつもりのオープン・ノート

~生きるヨロコビ、地味に地道に綴ってます~

探偵ナイトスクープの神回『幼稚園児が自転車で伊勢へ行く』を見た

一応こちらでも何ヶ月か遅れで放送されている、探偵ナイトスクープ。しかし周回遅れ過ぎるので我慢できず、神回と評判の『幼稚園児が自転車で伊勢へ行く』を、動画で探して見た。

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(内容とは無関係なイメージ写真です。)

radikoJ-WAVEを流しながら、動画で探偵ナイトスクープを見る。不自由なのか自由過ぎるのか、よくわからない状態で見た。あかん、これ絶対泣く奴や。大人の、見守る力が試される。
 

大人の見守る力が試される

主役は自転車大好きな5歳児、やすたか君。この子がとにかく愛らしい。こんな5歳児が家にいれば、パパがんばっちゃうし、ママ張り切っちゃう。その愛らしい やすたか君、自宅のある大阪は阿倍野から「自転車で伊勢のおじいちゃんの家に行く!」と言い出しちゃったからさぁ大変。

 
 
やすたか君、自転車好きとはいえ、今までの最長サイクリング記録はたったの30キロ。三重県伊勢町までの162キロを果たして走破できるのか。いきなり3倍 の壁に挑む、チャレンジングすぎる5歳児。やすたか君ご指名の探偵、麒麟の田村を伴走者に、フィジカルトレーナーである鍼灸の先生と、自転車のメンテナン ス担当者もお供に、一路おじいちゃんちをめざす。
 

王道ストーリー

涙腺を刺激する物語には、一定の型がある。
・チビッ子がんばる
・がんばるチビッ子が素直な頑張り屋で、とにかく応援したくなる
・ひたむきにがんばるけど、ゴール手前で挫折しそうになる
・周囲のはげまし(この場合は伴走者の田村探偵)で、最後までがんばり抜く。
 
王道の感動ストーリーを、王道にのっとってやり遂げたから、型通りでも大泣きできる。事前になりゆきを予習済みでも泣けた。画面の向こうの、ざこばや西田局長といっしょに大泣きする。大泣きするほど感動してるのも、自分だけじゃないから安心してボロボロ泣ける。
 
 
関西人が、本気で泣かせにかかったらスゴイものできました。関西テイストたっぷりで、そう思うこともできるけれど、これはむしろ世界の人の涙も誘う、グローバルに泣ける・感動する番組だとも思った。
 

 

関西ローカル発ながら、グローバルコンテンツ

ドー バー海峡泳いで渡ろうとしたり、ヨットで世界一周を試みたり。チビッ子の壮大な夢を応援するのは、そもそも欧米の方がお得意。一見無謀とも思える挑戦で も、子どもの「やってみたい」という意思を尊重し、やらせてあげるのが欧米スタイルだから。「見守るだけ」の大人はツラい。そのツラさを引き受けるのも、 メンターやコーチングが根付いた欧米っぽい。
 
 
無謀な挑戦なんて、やめさせたい。
怪我するかもしれない。
挫折体験が尾を引いて、後の性格形成に問題が生じるかもしれない。
 
でもやめない。だったら見守るしかない。
 
 
これ、ただ見守ってるだけしかできないから、ツラくてもどかしくて涙が出るのかもしれない。
 

メンターをも動かす挑戦者

「これは大人でもキツイ」と、伴走する田村もこぼすような急坂にさしかかっても、やすたか君文句言わない。きっつーとか言いながらも、ヤダとは言わない。
 
 
大人を巻きこんで始めてしまったチャレンジ、子どもながらに「言い出しっぺの僕が途中で投げ出すようなことは言われへん」。固く決意したようでもあって、そこが健気でまた泣ける。
 
 
ついでに伴走者の田村探偵の優しさにも泣ける。
 
 
彼もまた、162キロを走破してる。やすたか君からの大事なミッションは、「道間違えたら教えてな」。イマドコかを教えてあげたり、最長サイクリング距離を越えたよと励ましたり。時にはツラそうなやすたか君を見かね、そっと彼の自転車を押してあげたり。
 
 
でもやすたか君、「押さんでいいで」って、君じゅうぶんツラそうやないか!!!
 
 
伴走している田村探偵だから、やすたか君の変化にも一番敏感。やすたか君のツラさを一番身近に感じてる。
 
 
いつもの就寝時間をとっくに過ぎ、眠気がピークにきたせいで、自転車ごとひっくり返る。体力の限界がきて口数も少なくなる。
 
 
だけど田村探偵は、伴走者でメンターでコーチだから、彼が先に諦めることは許されない。ツライな、それ。もう無理と泣き出したやすたか君を、ここで諦めたらアカン!と励まさなきゃいけない。ギャラを越えてるよね、もう。
 
 
5 歳児の無謀なチャレンジに伴走する企画。ゴール手前でついにギブアップするかに見えたチャレンジャー。伴走してきたあなたもそろそろ体力の限界。シナリオ には完走とギブアップと、二通り許されています。(ギブアップという選択肢がない訳ない。)その状態で、あなたはどれくらい真摯にチャレンジャーを励ます ことができますか。
 
 
試 されているのはやすたか君だけじゃない。田村探偵もまた試され、試されたふたりがともに諦めず、一緒にゴールするから感動ポイント押されまくり。最後は、 田村探偵がずっと自転車を押してあげていた。自分より小さくて弱い人へのいたわりを、最後まで持ち続けた田村探偵、立派だった。
 
 
芸人さんだから、見てる人、視聴者との距離がそもそも近い人。視聴者の泣いたり笑ったりを、我がことのように喜べるのが芸人さん。我がことのように受け止めてくれる人だから、視聴者も気安くエールを送る。
 
 
田村探偵、自分も一緒になって喜びたいから、やすたか君のチャレンジを諦めなかった。ギャラの範疇か否かなんて計算もしてなさそう。計算を越えて、ただやす たか君に、自信に繋がる素晴らしい経験をさせてあげたかった。だから一緒に笑顔で迎えるゴールにたどりつけた。ギブアップ寸前の状況で、メンターにできる 最善の道を間違えなかったこそのゴール。そうも思う。
 
 
ついでに、視聴者が泣こうが笑おうがわれ関せずで動じず。そんな人は評論家向きで、外野の声を無視して、捧げることに決めた何かに向かって精進を重ねられる人。
 

ネタバレがコンテンツの魅力をそぐことはない

単体で魅力あるコンテンツは、たとえネタバレで内容がすっかりわかっていても、楽しめる。教えていただかないと、きっと見ないままだった。なんたって数か月遅れでしか視聴できないエリアだから。どうもありがとうございました。おじぎ。