クローズドなつもりのオープン・ノート

~生きるヨロコビ、地味に地道に綴ってます~

柄on柄

例えばストライプのカットソーにチェックのシャツ。柄on柄の組み合わせは、個性がぶつかるせいかカッコ良く着こなすのが難しい。
 
 
ファッション雑誌を眺めていても、柄on柄の組み合わせはほとんど見ない。服を眺めるよりスーパーモデルを眺めるような、ハイファッション誌になるとようやく柄on柄にお目にかかるくらい。柄on柄は上級者の装いだからなのか。
 
 
柄物のファブリックに心惹かれる。自分で着ることもないけれど、着物の文様を見るのも好きで、そこは完全に幼少期の刷り込みが影響してる。
 
 
家業は着物関係という子が、身近にたくさんいた。そんな子の家に遊びに行くと、着物(というより、着物になる以前の反物)が、それこそ一反もめんのように、部屋中に張り巡らされていた。
 
 
張り巡らされた反物に、筆で色を載せたり、金銀の粉を載せたり。そうした作業をしょっちゅう目にしてたせいか、つい文様を目が追うようになった。
 
 
着物の図案にはある程度お決まりのパターンがある。訪問着にでもなるのか、ちまちまっとした小菊のように派手すぎない花をモチーフにしたものが多かった。 ハッとするような、モダンで大胆な図案にお目にかかることはやっぱり少なくて、量産されるものは、派手すぎず目立ちすぎないものだった。
 
 
モ デルの女性がどれも魅力的な『君想ふ、百夜の幸福』でも、モデルが着ている服につい目がいってしまう。この画集ではどのモデルも柄物を見に纏っていて、時 には柄物のファブリックの上に横たわってる。柄on柄の組み合わせ。褪せた褐色で統一されているせいか、全く系統の違う柄同志でも、ちゃんと調和していて 目にうるさくない。
 
 
美人画」だから、描かれた女性はどれも美しい。きれいな人は、着こなしの難しい柄物を纏って、これまた組み合わせの難しい柄物を背景にしていても、美しい。
 
 
何にも考えずに、ただきれいなものだけを眺めてたい。そんな時にはこの画集を引っ張り出してきて、飽きずに美人画と美人が身に着けてる文様に見入ってる。
池永康晟画集 君想ふ百夜の幸福

池永康晟画集 君想ふ百夜の幸福