クローズドなつもりのオープン・ノート

~生きるヨロコビ、地味に地道に綴ってます~

『祝宴!シェフ』見てきた

誰も傷つけない、おバカ映画の金字塔。そう持ちあげたくなるほどとっても愉快な映画だった。
 
 
少年ジャンプで人気の料理バトル漫画が、台湾にてついに映画化!というのは嘘だけど、そう言ってもおかしくないくらい、コミック的面白さがいっぱいだった。
『熱 帯魚』『ラブゴーゴー』で世界に衝撃を放った台湾映画界のヒットメーカー、チェン・ユーシュン監督が、実に16年ぶりの長編で復活!!今人気沸騰中の美食 の街・台南を舞台に独創的な世界で描くのは、人々を幸せにする究極の料理を巡って、個性的で愛すべき登場人物たちが繰り広げる幸福な大喜劇 ~フライヤー より~
”絶対に食べたくなる、めくるめくご馳走がここにはある”というコピーにつられてホイホイ見に行ったので、正直ストーリーには期待してなかった。
 
 
期待も予習もしてなかったから、想像以上の面白さでラッキー。
キャラが立ってる。基本コメディだけど、ホロリとくるストーリー。おまけに、コマ割りや吹き出しなどコミック的表現も取り入れて、映画の枠まで飛び越え、面白さで貫いた世界観。スマイルが足りない。そう思った時には見直したい映画になりそう。
 
 
主人公は、自分大好きで売れないモデルのシャオワン。今は亡き父は、伝説の料理人・蠅師(はえし)で彼女はそのたったひとりの娘だけど、家業を嫌ってる。
 
 
そんなシャオワンが、夢破れて故郷に戻り、今は作る人もいなくなった伝統の宴席料理の復活を成り行きで安請け合い。それがどうしてこうなった的に、全国宴席料理大会にまで出場することになってさぁ大変どうしましょ、というお話しだった。
 
 
主人公のシャオワンを始め、美男美女もそれなりに出てくるんだけど、みーんな三枚目。映画全体からあふれるエンターテイメント性に圧倒されっぱなし。
 
 
美味しそうな料理も次々と出てくるんだけど、美味しさを表す表現が斬新過ぎて、顎も外れそう。どんなにがんばって美味しい!と表情作って言うよりも、天にも昇りそうな美味しさだったら、本当に成層圏越えちゃえばいいんだよね。ということで、越えてました成層圏
 
 
少林サッカー』を見るとキャプテン翼がチラつくように、この『祝宴!シェフ』もきっと日本の料理バトル漫画の影響を受けてるに違いない。そう思い込みたくなるけれど、香港のおバカ映画も侮れないので、真相は藪の中。
 
 
基本コメディーだけど、声出して笑いそうになったところで周囲を見渡せば、指でそっと涙をぬぐう人もいたりして。楽しさいっぱいの中にもこっそり涙腺を刺激する、人生の哀しみもちゃんと押さえていた。
 
 
おまけに、自分大好きで、ここぞという時には化粧直しが欠かせない。そんな主人公のキャラ設定にもきっちり落としどころがあって、どこまでもいっても手抜きがなかった。ほんと素晴らしい。
 
 
エンターテイメントはおもてなし。映画の中の素晴らしく美味しそうな料理の数々は、残念ながら味わうことはできなかったけど、面白楽しいというご馳走をたくさんもらった。
 
 
大変おいしゅうございました。スクリーンに向かってお辞儀したくなるくらい。スマイルでお腹いっぱいなれる映画だった。