クローズドなつもりのオープン・ノート

~生きるヨロコビ、地味に地道に綴ってます~

「時計台シネマ」は面白いイベント

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見慣れるとそんなに悪くないんだけど、何分にも周囲を高層ビルに囲まれて、窮屈そうなのが見てがっかりにつながるのかも。
 
 
さて、そんな時計台で行われた「時計台シネマ」というイベントに、先日行ってきた。

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 ここが会場。
 
時計台2階の時計台ホールを会場にした、映画上映イベント。イベントは夜に行われたため、開拓使時代にタイムスリップしたかのような空間だった。
 
 
教会のベンチのような2人掛け、3人掛けの椅子に座って見た映画は『君とボクの虹色の世界』。
サンダンス&カンヌでW受賞した監督の作品、ポスト ソフィァ・コッポラ、ミランダ・ジュライガーリーワールド
 という紹介文がこのイベント用のフライヤーに掲載されてるけど、正直「時計台で映画を見る」ことの方が重要だったので、見る映画は何でも良かった。作品も監督もこのイベントで初めて知った。
 
 
どんな映画であっても見に行こうと思う会場で見たのが、その詳細を知っていたら積極的に見ようと思わないジャンルの映画だったのは、自分にとってラッキー。
 
 
主催者の方も「いろんな見方ができる映画なので、先入観なく楽しんでください」と言ってたとおり、起承転結のはっきりしたわかりやすい映画では決してなかった。
 
 
個々の登場人物がやってることはよくわかるけれど、なんでそんなことをしようと思ったのかがわからない。そういう映画だった。
 
 
何にでも意味を見出したいタイプなので、無意味、ナンセンスなことは本来好きじゃない。意味がないのであれば、無意味に徹した方が好き。その”好きじゃない”ことがあふれてる映画にもかかわらず、面白く見れた。
 
 
選ばれたひと握りの人以外の大多数の人、その他大勢の人の日々の暮らしには、有意義なことなんて大して転がってない。大して転がってないけれど、無彩色だったり無感動だったりするわけでもない。
 
 
大したことは転がってないから、ほんのちょっと掴んだいいことに特別な意味を見つけたい。ほんのちょっと見えた明るい兆しを確かなものにしたい。
 
 
そういう「工夫」なら、誰だってやってそう。
 
 
全てが首尾よくいくとは限らない、誰かの「工夫」の行方を見守ってるようで、面白かった。
 
 
映画全体がどことなくファンタジックで、ほわんとしたイメージに仕上がってるのには、音楽がひと役買ってそう。
 
 
あと、「ガーリッシュ」という言葉が使われてるように、女性、それも猛々しい感じの肉食系ではなく草食系とでもいいましょうか。そういうイメージを喚起させるような、ピンクだったり青の淡いパステルカラーが、要所で印象に残るような使い方がされていた。
 
 
そういった「色」のイメージを借りて、実体以上にほわんとして見えるように作った、作り手の「工夫」をつぶさに追うのも楽しい。
 
 
映画館の真っ暗闇とはまたちょっと違う暗さの部屋で、時計台の鐘の音も効果音かと首をかしげつつ、木製の固いベンチでモジモジしながら見た。
 
 
シネプレックスの階段状のシアターや、座り心地のいい椅子って偉大だとその有難みを思い知りながら、こういう体験も悪くなかった。
 
 
次回は1月24日(土)に開催予定、上映されるのは『扉をたたく人』。
今度は映画にも出てくる民族楽器”ジャンベ”のミニライブつき。今回とはまた違った趣向で、そっちも面白そう。主要映画館やカフェなんかに、イベントのフライヤーが置いてある。
 
 
椅子が固くてもじもじするんだけど、映画館とはひと味もふた味も違う空間で映画を見る体験を、実は結構楽しんだ。
 
 
ちゃんと車いす用のリフトも完備されてる。こんな古びた建物なのにと、ちょっと感動した。普段時計台内部に入るには、200円の入場料が必要です。現役時計職人さんもいる場所だしね。

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ぴかぴかにきれいな場所では味わえない、「場」の吸引力を借りての特別体験は、なかなかに魅力的。