クローズドなつもりのオープン・ノート

~生きるヨロコビ、地味に地道に綴ってます~

スイッチが入る

曇りのち晴れ、午後からは気温が上がった一日。幸いにも台風の影響は今のところなし。ただ場合によってはスケジュール変更の可能性があるので、やきもきしながら台風の進路を見守ってる。
今回の台風、最大級の警戒が呼び掛けられてる。昭和34年・1959年にあった、宮古島台風並みの記録的な災害になるかもとアナウンスされていて、そりゃ大変だと心配になる。
 
 
さすがに生まれる前なので、リアルには体験してない。宮古島台風がすごかったと体感したのは、乃南アサの『涙』という小説を通して。
 
 
その小説を読んだ当時は、強い風が吹き荒れる街に住んでた。安普請のビルやマンションだと、強風が吹くとよく揺れるので怖かった。
 
 
単なる風でも相当怖いんだから、記録的な強風だったらもっと怖いに違いない。『涙』のストーリー自体はおぼろげにしか覚えてない。ほぼ覚えてないに等しいのに、『涙』を思い出すと身が竦むような恐ろしさがなんでだか蘇る。
 
 
スイッチが入るんだよね。
 
 
風怖い → 大型台風 → 『涙』 → 超怖い そんな感じで。
 
 
ルートが確立してしまっていて、ふとした瞬間にそのルートが開かれる感じ。
 
 
強烈な体験は本能に強く働きかけて、「忘れない方がいいぞ、警戒しろ」と、注意喚起のためにスイッチが入るようになってるらしいから。
 
 
自然とスイッチがオフになる時もあるんだけど、強烈過ぎる体験はスイッチを強く押したままになる。なので、なかなかオフにならない。
 
 
なかなかオフにならない。そんな時は、不安の素を徹底的に直視してる(今も台風のニュース見てる)。速報の音が大変心臓に悪い。
 
 
不安の素を徹底的に直視して、考えて。飽きるくらいになった頃には、ようやくスイッチもオフになってる。思い出して、忘れてを繰り返して。そうやってると、スイッチもそのうち入らなくなるかも。
 
 
どのくらい台風の描写が凄まじいものだったのか。電子書籍化されてたら簡単に検証できるんだけど、残念ながらまだなんだよね。東京オリンピック前夜の、古いものと新しいものが共存する当時の東京の景色。目に浮かぶように描かれていて、そこも良かったんだよね。
 
 
お休みなさーい。
 

 

涙 上巻   新潮文庫 の 9-15

涙 上巻 新潮文庫 の 9-15

 

 

涙 下巻   新潮文庫 の 9-16

涙 下巻 新潮文庫 の 9-16