クローズドなつもりのオープン・ノート

~生きるヨロコビ、地味に地道に綴ってます~

『ダウントン・アビー』第1シーズンが終わってしまった。。

今日も風の強い一日だった。先週までの日曜と違って、なんだかワクワクしないのは、『ダウントン・アビー』第1シーズンが終わってしまったから。
このワクワクするようなOPテーマ曲とも秋までしばしのお別れ。
ダウントン・アビー』は、20世紀初頭のイギリス貴族の館を舞台に繰り広げられる人間模様を描いたヒストリカルメロドラマで、全7回の第1シーズンを毎回楽しみにしてた。
 
 
本当に世界で人気かどうかは知らないけど、ニューオーリンズのラジオ番組をネットラジオで聞いてた時に、「ダウントン・アビー第〇シーズン放送決定したよ!イェーイ!!!」とコメンテーターの人達もえらくはしゃでたんだよね。
 
 
第1シーズンも終わったことだし、人気の理由を考えてみた。長くなってしまったので、興味のある人だけどうぞ。
 
 
このドラマ、タイタニック号の沈没事故から物語はスタートする。
 
 
グランサム伯爵家三姉妹の長女メアリーの婚約者も、その犠牲者だった。そこからグランサム伯爵家混乱の日々が始まる。
 
 
長女であっても限嗣相続制(げんしそうぞくせい)により、女性であるメアリーには伯爵家を継ぐことができない。婚約者の突然の死により、マシューという遠縁の、中産階級出身の弁護士が突然相続人になってしまった。
 
 
誰が相続人になるかによって、使用人たちの未来も変わってしまうかもしれない。なんせマシューは中産階級出身なもので、何でも自分でしようとするから、使用人なんか要らない人なんだよね。
 
 
「立場に応じた責任」を自覚しない人が、自分達の主人になってしまうかもしれない。M&Aで突然買収された企業の従業員が、合理化目的のリストラに怯えるのに似てる。
 
 
タイタニック沈没を知ったグランサム伯爵(メアリーのお父さん)が、「神よ、船底の客をお救い下さい。未来を夢見ていただろうに」とつぶやくシーンがあって、このドラマを象徴してるなーと思った。
 
 
電気も電話もまだ普及していない時代、屋敷は大勢の使用人を抱えている。伯爵家は使用人が居ないと回らない。使用人だけでなく、広大な所有地に住む人々の生活にも影響する。
 
 
立場は違っても、言ってみればみんな同じ船に乗ってるようなものだもの。
 
タイタニック号沈没みたいな大事件は、回りまわって一見無関係な個人の生活にまで及んでしまう。
 
 
そして、限嗣相続制(げんしそうぞくせい)によって、伯爵家を継ぐことができないメアリー、相続人次第でジョブチェンジを強いられるかもしれない使用人達。彼らを見てると、「法」という高い壁の前での個人の無力さ、不安定さを感じてしまう。
 
 
「三人寄れば社会」を体現するように、伯爵家の三姉妹も決して仲良しこよしじゃない。一見すると、誰もが誰かの悪口を言ってる「鬼ばかり」の世界に見えるけど、よーく見るとそうでもない。全方位でいい人、悪い人は出てこない。
 
 
ひと言で言ってしまえば社会の縮図なんだけど、イヤな人もいい人の前ではいい面を魅せるし、いい人もイヤな人の前では、意地悪になる。いい面を見せてくれる人には、いい面を見せる。
 
 
メアリーは気が強くてプライドの高いマウンティング女だけど、執事のカーソンの前では素直な一面を見せるし、使用人といえども尊敬で結ばれてる。
 
伯爵家の三女シビルは奔放で時に困ったちゃんだけど、メイドであるグエンの夢を応援してる。
 
根性の悪い二人組、第一下僕のトーマスと侍女のオブライエンは、妙な同胞意識で結ばれてる。
 
メイド長のアンナと従者のベイツは、深い信頼関係で結ばれてる。
 
 
集団生活は争いを生むばかりでもなくて、友情や秩序を生み出す入れ物になり得ることも、ちゃんと描いてる。
 
 
伯爵家ほどの財産家にとっては、財産の継承こそが重大な関心事であること。そこには、金銭的なものだけでなく、影響力のような曖昧なものも含まれること。
 
 
世代が若くなるほど時代の変化にも敏感で、意地悪トーマスの身代わりの早さには驚かされた。サバイバルに貪欲なトーマスだけど、彼には貪欲になるだけの理由もあるから仕方ないんだけどね。意地悪キャラの行方の方が、作品の印象を左右するので、彼とオブライエンの動向には注目してる。
 
その辺りも見どころのひとつだった。
 
 
第1シーズンは、第一次世界大戦の開始で終わってる。
 
 
タイタニック沈没よりも大きな出来事が、登場する人達個々の生活にどう影響するのか。
 
『登れない山もいずれ誰かが登る。沈まない船もそれが沈まないまでの間だ』。これもやっぱりグランサム伯爵家当主の言葉だけど、第2シーズンが始まるのを楽しみにしてる。てか、グランサム伯爵の名言集作りたいくらい。名言収集にもってこいなんだよね。
 
 
お休みなさーい。