明日は母の日だけあって、お花屋さんはどこも盛況だった。イベントスペースでは臨時のお花屋さんも出来てたくらい。多少のメンドクサさを感じつつ、母親に花束届くよう手配しといた。毎年恒例。贈ることもなくなったら、ラクと思うより寂しさ感じるんだろうな。
芸達者な二人の共演を楽しみましょう。そんな軽ーい気持ちで見に行ったら、予想外にすごい映画で後を引いた。しばらく他の映画見なくていいと思ったくらい。母親との関係に、何かしらの面倒くささを感じてる娘が見に行くといいかも。関係性に重さを感じてる人だったら特に、ふっきれるものがあるはずだから。
内容に触れてるので、この後は折畳み。
メリル・ストリープの演技がとにかくすごかった。
ど んな役柄でも難なくこなし、「千の仮面」を自在に使い分ける。そんな人も確かに名優には違いないよね。どんな役柄を演じてても、個性が勝る。どこにいても つい観客が目で追ってしまう。そんな華のある存在感を備えた人も名優に違いない。たとえ何演じてても一緒、と言われようとも。ついでに、「バケモノ」を演じ させたら天下一品、というのも名優の条件に加えてもいいんじゃないかと思った。
そのくらい、メリル・ストリープ演じる母親が、バケモノじみてたから。
メ リル・ストリープ、著名な賞を何度も受賞してるだけでなく、ノミネートにいたっては数えきれないくらいの回数、候補になってる。コンスタントに第一線で活 躍し続けてるってことで、世相が変わっても観客や製作者サイドの期待に応え続けてる、変化し続けてるってことなのかもしれないって思った。
彼 女が出てた映画で好きなのは、『ジュリー&ジュリア』。ボナペティーなんて言いながら、陽気でほがらかな料理研究家を演じてた。基本メリル・ストリープっ て、すご過ぎて近寄りがたい。そんな雰囲気があるんだけど、『ジュリー&ジュリア』では親しみやすい女性をコミカルに演じていて、映画のストーリー自体好きなこともあって、あの映画に出てた、メリル・ストリープが一番好き。
だけど、彼女の演技で「すごかった」と思い出すのは、この『8月の家族たち』になりそう。
彼女が出演するすべての映画を見たわけじゃないけどね。それでも、この映画で見たような「鬼気迫る」演技って、見たことないもの。あらゆる映画を通じても。そっか、「鬼気迫る」って、こういう時に使っていいのかって、初めて納得した。それくらい、とあるシーンの彼女はバケモノじみてたから。
ついでに、メリル・ストリープが今ここまでバケモノじみた人物を演じたことにも意味がありそう。映画やドラマにもならない、その辺の「アメリカの一般家庭」で、バケモノみたいな人、バケモノにでもなるしかないほど怒りをため込んでいる人が、いるはずなんだよね。
こういう状況に置かれたら、人はバケモノになるんだよって、見せられたような気もする。そして、たとえ血縁であっても敬意を欠いた行動をとる人は、もう見限っちゃってもいいんだよ。そう伝えてるような気もした。それで楽になる人もいると思うんだよね。
ジュリア・ロバーツも好演してた。がんばってたんだけど、やっぱり今の時点では、メリル・ストリープには勝てないんだよね。年の功が足りない感じ。男性俳優陣は総じて印象が薄かったな。現実に家族や親族間でもめごとが起こった時同様、影が薄い感じで。
すごくスリリングに家族を描いていた映画。というより、閉じてしまった家族は怖いんだよね。
この映画見て、『欲望という名の電車』見てみたくなった。戯曲は読んでるんだけど、映画でのブランチは、もしかしてかなりのバケモノっぷりかもしれないから。
お休みなさーい。