クローズドなつもりのオープン・ノート

~生きるヨロコビ、地味に地道に綴ってます~

13年前

2000年に刊行された小説の一節。

十三年前といえば、自分だってまだ高校生だった。一般家庭にはまだビデオもファックスも留守番電話もなかった。CDプレーヤーもなかった。おやじのボーナスで一部屋に冷房を入れた、それだけでずいぶんと暮らしが進歩したような気分になったものだ。
 
2000年の13年前といえば、1987年。1987年当時もしくは以前に、ビデオもファックスも留守番電話もCDプレーヤーもない家庭が、どのくらい一般的だったのか。どうもぴんとこない。ぴんとこないんだけど、スマホと周辺機器さえあれば「それだけでずいぶんと暮らしが進歩したような気分」になれそうなので、まぁそんな気分なのかも。
 
 
ビデオもファックスも留守番電話も音楽プレーヤーも、スマホで代替可能だし、思えば無くてもいいものがずいぶん増えたのよね。
 
 
13年とちょっと前、2000年に引っ越しをした時は、いろんな手続きがまだまだアナログでかなりイラっときた。「お堅いところ」、役所や金融機関は来店して手続きするのが基本で、出掛けて行ってはいろんな書類書いて、訂正があったらあったで再度呼び出されてた。
 
 
事前に電話入れて必要書類を確認してたとしても、「〇〇が必要ですが足りません」と言われて涙目だったり。手続き進める側が圧倒的に強かったんだよね。
 
 
13年たった今はHPで、必要書類や手続きについて詳細に解説してるところが増えたので、すごく便利になった。場合によってはネットで手続きが完了する場合もあるし。
 
 
コー ルセンターに連絡したとしても、すごーく丁寧。「正確な対応のために録音させて頂いております」っていう事前メッセージが流れるところほど、親切だしオペ レーターの対応も正確のような気がする。今は昔、ネットサービスに移行する前、特定の金融機関でほんの一瞬だけ夜間電話受付サービスがあったんだよね。
 
 
真 夜中に電話した私も私なんだけど、応対したオペレーターの人が怖かった。最初は普通に「〇〇の手続きについて教えて下さい」「お客様の契約番号は?」って 会話してたのに、「〇〇の場合はどうなるんですか?」ってちょっと込み入ったこと聞いたら突然態度豹変して、『約款』(※ややこしい決まり事がいろいろ書 いてある重要文書)読み上げマシーンに変身したんだよね。
 
 
「も しもし?」って何回呼びかけても、「第〇条第△章においては~」って感じで、延々と約款読み上げるだけ。しかもわりとエキセントリックでテンションも高 く、カルタ読み上げる人みたいに節つけながら。一向に止まらないから怖くなって電話切った。なんたって夜中だからさ、どこかの異界にでも繋がったようで、結構怖かった。
 
 
多分、処理能力を超えたら「約款読み上げマシーンに変身する」プログラムが組み込まれてたんだろうなー、一種の防衛本能なんだろーなーと、今なら思う。
 
 
そ れ以降、「正確な対応のために録音させて頂いております」っていう事前メッセージが流れると安心するようになった。あぁこの電話は、三拍子揃った瞬間に扉 が開いて、パラレルワールドに連れて行かれるようなことはないんだなって。安心するけど、ちょっぴり残念でもあるかな。その瞬間は怖かったけど、滅多に無 い経験でもあったから。
 

お休みなさーい。

 

 

扉を開けて (コバルト文庫)

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製造迷夢: 〈新装版〉 (徳間文庫)

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