クローズドなつもりのオープン・ノート

~生きるヨロコビ、地味に地道に綴ってます~

作り話とリアル

天気悪い、日が暮れるの早っ、もう冬で嫌ねーと思ったけど、イルミネーションはとってもきれいだった。天気悪い日もキラキラ光ってて、健気にさえ感じた。

 

「泣ける映画」で真っ先に思い浮かぶのは、今のところ『落下の王国』。泣くとは思わずに見に行って、映画館にも関わらず、遠慮なく大泣きした。なんてったって観客が私入れても3~4人、みんなポツンポツンと離れて座ってたので、自分の前後左右広範囲に渡って空席で、周囲の目を気にする必要もなく存分に泣けた。ほとんど貸切りだったから。

 

マニアじゃなくて単なるファンなんだけど、今日も映画のこと書いてみる。めちゃ勝手なこと書いてるので、興味ない人は絶対読まない方がいい。

 

映画の撮影中に怪我を負い病院のベッドで寝たきりのスタントマン、ロイは、重なる不運に自暴自棄になっていた。そんな彼の前に現れたのは、同じ病院に入院 していた5才の少女アレクサンドリア。ロイは自殺しようと薬を手に入れるために、アレクサンドリアを利用することを思いつく。そして、彼女の気を引こう と、6人の勇者が世界を駆け巡り、悪に立ち向かうという、世界にたったひとつしかない冒険物語を聞かせ始める。

 ロイは映画業界=作り話を世に送り出す側の人間で、アレクサンドリアは作り話を楽しみにする、受け手側の女の子。

 

ロイはロイで生き辛さを抱えてる。ぽっこりお腹も超キュートなアレクサンドリアは一見無邪気なんだけど、その幼さに似合わない生活の苦労を抱えてる。

 

まだ比較を知らない、誰かと比べて自分はこんなにも違うから可哀そう。そんな事を考えるには彼女はまだ幼すぎるのか。あるいはとても早熟で、望んだところで今はどうしようもないことは、別世界の出来事と諦める賢さを早くから身に付けてるのか。どっちにも見える子。

 

知識なら、間違いなくロイの方がたくさん持ってるはず。大人なんだから。でもストーリー進んでくうちに、ロイとアレクサンドリアと。どっちが大人なのかわかんなくなってくるんだよね。そのくらい、アレクサンドリアの方が世知に長けてるから。

 

ロイはロイで大変なんだよね。でも、アレクサンドリアのお母さん、英語も話せない人なんだよね。お医者さんがアレクサンドラの治療過程で何か聞いても英語わかんないから、アレクサンドラ本人が答えてる。お医者さんの言葉そのまま伝えたらお母さんが傷つくだろう箇所は巧みにぼかして。そんな対処方法を、幼い女の子が既に知ってる。

 

そんな女の子が瞳キラキラさせながら、ロイの作り話を喜んで聞いてるんだよね。もっと話して!続きは?って。

 

きれいな服着て、大抵の欲しい物は持ってて。清潔で安全な空間でのんびりしながら、それでも満たされないユーウツなんかとはこれっぽっちも縁の無さそうな子が、もっとお話ししてってロイにお願いしてた。

 

多分この辺から涙腺大決壊。自分が子供だった時には、ワクワクするような「作り話」がテレビ見てても本屋行ってもいっぱいで、なんてラッキーだったんだろうってつくづく思った。

 

うちの親、なんだかなーな所は多分にあるんだけど、愛すべき人達でもあるので、特に不満はないのよね。ただ成長過程が「世の中の変わり目」とモロに被ってたので、傍から見てても大人の人達大変そうだった。仕事変わらざるをえないような人が多かったから。

 

ただ多少ほっとかれても、忙しい大人の代わりに人生教えてくれるような「作り話」がいっぱいだったから、呑気に遊んだり勉強したりしてられた。そのうち大人になって、「作り話」に出てきたような、立派だったり、全然ちゃんとしてない人見ても、初めましてと思う代わりに、何だかよく知ってるような気がした。

 

アレクサンドリアはロイにもっととお話しせがむんだけど、ロマンス無かったらブーイング、勧善懲悪でわかりやすいハランバンジョーなお話しが好み。だって彼女の現実はもっと複雑で、過酷だから。空想の世界でくらい、息抜きさせてあげたいよね。

 

「作り話」って、送り出す側だけのものでも、受け取る側だけのものでもなく、双方のものなんだなーって、今この映画を思い出してつくづく思う。送り出す側が、これでも聞いとけって投げ渡したものじゃなくて、聞いてーって渡されたものを、もっともっと、続きお願ーいってせがむような。そんな感じで生まれる何かが、やっぱり好きなんだわ。

 

CGで、何でもそれっぽく作れそうなこの時代に、この映画はわざわざ世界各国でロケして、ありえないほど美しい場所もたくさん見せてくれる。部屋から出なくても、世界遺産くらい見れる世の中なんだけどさ。でもリアルと作り物は違うから。

 

実物見た時に、「映画の方がきれい」と思うなら、それ作った人の芸が素晴らしいってことだし。「実物の方がもっときれい」と思うなら、フィクションの世界に収まり切らない、素晴らしく美しいものが世の中にはあるってことだし。どっちにしても、新たな発見くらいあると思うのよね。

 

変なスイッチ入って、くだらないこといっぱい書いちゃった。

お休みなさーい。

ザ・フォール/落下の王国 特別版 [DVD]