クローズドなつもりのオープン・ノート

~生きるヨロコビ、地味に地道に綴ってます~

ニューリッチ

パンが無ければ、ケーキを焼けばいいじゃない。

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これは買ってきた、とある日のおやつ。

あってよかった卵とバター。小麦粉と砂糖は、切らしてる時の方が珍しい。おかげで雪の中を外出しなくても済んだ。雪の中の外出が面倒かつ億劫になると、ホームベーカリーの購入を検討するようになるんだな、きっと。

 

フィギュアスケートと将棋と。羽生と羽生と宇野と藤井に日本中が熱狂するに決まってる日に、米大統領選に介入でロシア人起訴とか。重大そうなニュースをこっそりぶつけるのは、「知る権利」に対するアリバイ作りか何かなんすかね。

www.cnn.co.jp

反応が薄いのをいいことに、ホラ、ものの軽重がわからん奴らに、知らせる必要なんかないでしょと「報道しない自由」を行使したがりな、底意地の悪い人なら考えそう。

 

寝込んでる時に見た『フォックスキャッチャー』という映画は、大富豪デュポン家の御曹司による殺人事件を描いたもの。デュポンといってももうベンベルグと同じくらい、今ではすっかり知る人ぞ知るっぽい会社なんだけど、かつては頻繁にDU PONTのマークを見掛けたものさ。

 

悪名は無名に勝って、利用できるものは何でも利用するつもりの映画化かな?という気がしなくもないながら、映画の中でいっちゃん印象的だったのは大豪邸。

 

移動手段は専用ヘリ。周囲は森に囲まれ、趣味兼用で戦車のような自衛手段持ちで、万が一Occupy Wall Street騒動のようなことがあっても、蹴散らせそうだった。広々としたお屋敷に広大な敷地と、土地が広いアメリカならではの桁違いの大豪邸。

 

日本やシンガポール、あるいは香港辺りの大富豪には望めない大豪邸も、時代を遡れば日本にもあったんだな。

 

大宅壮一ノンフィクション賞も受賞した『堤清二 罪と業 最後の「告白」』は、セゾングループ総帥という実業家にして作家、ついでに経済学の(論文)博士号持ちでもあった、堤清二氏へのロングインタビューをまとめたもの。

 

華麗なる一族』も真っ青な、複雑な家庭で複雑に育ち、ビジネスの世界で成功しながらも文学的素養は豊かと、映画化あるいはドラマ化するのにもってこいな人物。

 

かつて彼が家族と過ごしたバラと桜の大邸宅は、今では高級マンションに化けてるところが、いかにも日本らしい顛末。堤清二の父である堤康次郎と、東急グループ創始者五島慶太がライバルだったとか、東急と西武による“箱根戦争”とか。

 

今ではそんなこともあったんですか。。と思う、感動の薄いトリビアに溢れている。

 

今現在、堤清二のように複雑な家庭で複雑に育ち、ビジネス面でも成功し、文化的素養も豊かでかつての“箱根戦争”もどきの経済戦争エピソードを持つビジネスマンって誰になるのかな?と思いつつ、読んでいる。

 

大したページ数でもなく、インタビューを元にしているから読みやすい。

 

今様(いまよう)堤清二に必須なエピソードは、複雑な家庭環境と、経済戦争で戦った経験。経済戦争で戦った経験濃厚な経営者は、読み物にしてもきっと面白い。面白い読み物になるつもりでビジネスをやってるわけではない人がほとんどだから、面白いと言われたところで、面白いわけないだろうけどさ。

 

映画化あるいはドラマ化前提で、複雑な家庭環境で育った若者限定にビジネスチャンスを与え、大成功したところで大いなる挫折を味わってもらい、その間の挫折経験その他を文化に昇華し、きれいな大団円を迎えられそうだったら映画化しましょ。

 

という壮大な、アートとマネーとビジネスが融合したお遊び。貯まるばっかりで使い道のない大金持ってる、退屈し切った偏屈な大金持ちならやりそうで、馬鹿げたオファーに応じる持たざる者も多そうなのが、今どきさ。

 

若者じゃなくても持たざる、あるいは持ってるけど失いそうで、先行き不透明な中年以上も参加資格ありのサブプライムな場も用意して、サブカルチャーも参戦できるようにすれば、どこからも文句は出なさそう。

 

このゲームのポイントは、「得た経験を文化に昇華すること」。文化への昇華度合いが大きいほど、ビジネス面での成功も大きくなる仕組み。

 

文化に閉じていれば、“ゲーム“という都合のいい言い訳が通じるから。

 

好きな画家その他には、その人の嗜好が如実に表れるもので、堤清二ジョルジュ・ルオー好きなんだってさ。小説で野間文芸賞を受賞し、詩も書いたという繊細なイメージとは、また違った好みをお持ちなようで。

 

子供のイジメのようなことが西武グループでは真剣に行われていたし、義明はそんな側近に囲まれていた

(『堤清二 罪と業 最後の「告白」』本文より引用)

 という箇所には、ちゃんとハイライト引いといた。

 

複雑な家庭環境を抜け出し、経済戦争を戦い、それでも待っているのは文化のオモチャなら、ゲームと割り切ってプレイするしか、自尊心の持って行き処もなさそうね。

 

お休みなさーい。