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クローズドなつもりのオープン・ノート

~生きるヨロコビ、地味に地道に綴ってます~

『ブロックチェーンの衝撃』読んだ

サブタイトルは、“ビットコイン、FinTechからIoTまで社会構造を覆す破壊的技術”と、ものものしい。 

ブロックチェーンの衝撃

ブロックチェーンの衝撃

 

 日本最大の外資系PR会社シニアバイスプレジデント監修による、ブロックチェーン初学者向きにしてブロックチェーンのPR本。

 

最先端テクノロジーとは無縁でも、IoTはくらいは聞いたことがあってそのイメージもつかめる人なら、この本を読み込めばブロックチェーンのイメージも掴みやすくなる。

 

監修者含む16人の著者により、それぞれ得意とするアプローチで16人16色のブロックチェーン論が語られる。

 

まだ新しい技術かつ未知数で、どう転ぶかわからない技術だから、いいところも悪いところもひっくるめ、できるだけ多くの情報があった方がいい。時間がない人や知りたい情報が限定されている人は、目次や著者のプロフィールから読みたいところだけを抜粋すればよし。

 

技術に明るい人が読んでも満足できるに違いない、技術要素もそれなりに充実していた。その方面の技術にはまったく明るくないので、そのあたりは字面を追っただけだけど。

 

初学者が読んでわかったことその1:ブロックチェーンとビットコインの違い

仮想通貨ビットコインはブロックチェーン技術の元祖ではあるけれど、元祖から分岐して似て非なる本家ができるように、単独でブロックチェーンと使われる場合には、ビットコインの根幹技術であるブロックチェーンとは別ものを指す。

 

大別して

ビットコインの根幹技術たるブロックチェーン

・パブリック型ブロックチェーン

・プライベート型ブロックチェーン

に分けて考える必要がある。

 

この三者はそれぞれ、性質も技術の応用分野も違うもので、三者をごっちゃにすると何がなんだかわからなくなる。大ざっぱにすべてのブロックチェーンを一緒くたに語るのはナンセンス。ということがよくわかった。

 

初学者が読んでわかったことその2:すべてのはじまりはビットコイン

サトシナカモトという名とマウントゴックスの破綻と。一般的にビットコインを有名にしているのはこの二つで、そのせいで胡散臭さも付き纏うことになっている。ところがマウントゴックスの破綻は、それでもビットコインの取引は止まらず、システムがクラッシュもダウンもしなかったことで、逆に評判をあげたとか。

 

その評判はどこの誰によるものか。本書ではそこまで詳細には語っていないけれど、東証がダウンしたら大変だねという認識がある身からすると、すでに市場参加者の不正くらいではびくともしない堅牢な市場なんだと、理解するしかない。

 

その一方で、ライブドアショック東証が売買停止をくらった過去に学べば、“それでも市場がダウンもクラッシュもしなかった”というエピソードは、信頼の補強に役立つから意地でもそうするわな、という意地悪な見方もできる。

 

ブロックチェーンを理解する時、まずはもっともピュアな形のブロックチェーンである、ビットコインのブロックチェーンから入ると、そのイメージがつかみやすくなる。

 

パブリックかつトラストレスかつパーミッションレスで、不特定多数が参加でき、信用を前提としないシステムで、分散型かつ管理者不在。

 

チェーンでできた輪っかがパラレルにいくつも繋がっているとイメージすると、大体間違いなし。

 

「チェーンが最も長く続いた輪っかが真」で、続かなかった輪っかは自動的に破棄される仕組み。取引記録はオープンで、改竄ができないところがとっても重要。ところで好き勝手に合意なく書き換えられるのなら、それは契約書ではなく単なる「指示書」でしょ。と、この一文は特定の人にあてたあてこすりです。

 

初学者が読んでわかったことその3:ビットコインはインターネット的

 ビットコイン、一部クラスタでは大人気らしいことはなんとなく伝わってくる。人気の秘訣はビットコインがとてもインターネット的で、

特定の管理者がおらず、特定の権力の支配下になく、世界の人々によって維持されている民主的なもの

だからだと睨んでいる。誰にも支配されたくない独裁者嫌いの自由人が愛しそうな要素がたっぷり。ついでにビットコインのような仮想通貨は、地下銀行やさらにいえば課税逃れやマネロンといった反社会的要素を、その性質上完全に排除することが出来ない。

 

完全にクリーンなインターネットが存在しないように、完全にクリーンなビットコインもきっと存在しない。なんてったってトラストレス、信用を必要としないんだから。

 

一方で、完全にクリーンなインターネットは存在しないけれど、完全にクリーンなインターネットサイトやコミュニティはすでに実装されつつある。

 

ブロックチェーンの欠点のひとつが、“荒らしに弱い”という点も、まったくもってインターネット的。フリーライダーや、破壊衝動が抑えられない参加者、あるいは徹底的に利己的に振る舞う参加者が現れた時、そのチェーンは壊れてしまう。

ピュアなP2Pネットワークはずっと生き残る

ように、設計されているんだってさ。

 

インターネットがリアルとの接点を深め、ネットとリアルの融合が進みつつある現在では、インターネット的という言葉も形骸化しつつある。

 

インターネット的という言葉もその意味するところも消えてしまいそうな今、残すなら、生き残るのなら、もうシステムとして残すぐらいしかない。インターネットに大いなる幻想を抱いた人の夢の欠片ちっくでもあるのが、ビットコインのブロックチェーンなんだ。

 

初学者が読んでわかったことその4:ブロックチェーンの未来もビットコインの未来も分岐的

 16人16通りのブロックチェーンに対する未来予想図は、どれも流動的でたらればのエクスキューズ的。「もしもこの技術が先に実装されたら」で容易に前提が覆るくらい、流動的で、未確定。たらればでバラ色の未来図を描き出す一方で、そうならないかもしれない可能性も正直に記述していて良心的。

 

ブロックチェーンの技術をどう生かすかは、技術を生かす人や業界次第。

 

仮想通貨が法定通貨となる未来も、ノンバンクが銀行に逆転する未来も、クラウドにとって代わる可能性もあるけど、どう転ぶかは流動的。

 

金融分野だけでなく、非金融分野における応用としてのスマートコントラクトやIoTとの連携まで幅広く取り扱っていて、何でもできそうでいて、その実万能でもなく始まったばかりのことまでよくわかった。

 

止めることも盗むことも改竄することもできない代わりに、ファイナライズがクリアーじゃないとか。現時点でのデメリットも明確で、理解しやすかった。専門用語を咀嚼するのは大変だったけど。

 

初学者が読んでわかったことその5:ブロックチェーンは魔法でも万能でもないこと。

インターネットがリアルとの接点を求めてその形を変えてきたように、ブロックチェーンもピュアな形で残るとは限らない。インターネットがリアルとの接点を強めた時その形を変えたように、将来のブロックチェーンは当初の形とは違う形で、生活の中に入ってくるのかも。オプションとも言える別の技術と組み合わせることで、可変性がいや増すようできているのが、ブロックチェーン。

 

信用を前提としないシステムとはいかなるものかとか。読めばすんなり理解できるよう、どれも説明が平易でよし。関連書を引き続き読んでみたいと思う程度には、面白かった。

 

お休みなさーい。