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クローズドなつもりのオープン・ノート

~生きるヨロコビ、地味に地道に綴ってます~

こんなSFがあったら読みたい

日記

今日も小雪がチラついて、明日の予報も雪模様。ゆっくりホワイトイルミネーションを鑑賞する、気力や根性も湧いてこない。

 

こんな記事を読んだ。

anond.hatelabo.jp

こちらは『ハローサマーグッバイ』や『たったひとつの冴えたやり方』に『ゲイルズバーグの春を愛す』が好みな、ジャケ買い派。これ書いた人におススメできるようなものは知らないけれど、こんなSFがあったら読んでみたい。最近のSFもラノベもまったく知らないから。

 

ジャンル的には「能力者」ものかな。

 

あるところに他人の考えが読めてしまう能力者「そいつ」が居まして、ターゲットとした対象者の私生活をつぶさに観察する。ターゲット対象者の脳みその中身が読めてしまうだけでなく、ちょっと気合を入れればターゲットに同化できて、対象者が見てるものや、今何をしているかまで丸わかり。

 

単なる観察、窃視にとどまらず、「観察日記」までターゲットの目にとまる場所にアップして、心理的ダメージを加えてくる念の入れよう。己の行為にどれほどの威力があるのか。効用・効果を確かめずにはいられないんだ。

 

「そいつ」は、他人の意識を遮断するには相当な気力を要するので、不特定多数がいる場所には長時間居られないタイプ。他人との関りを極端に避けつつ、特殊能力を生かして生活資金は十二分に確保している。

 

必要なのはターゲットを設定するリサーチ能力で、FacebookなどのSNSは絶好の狩場。決してSNSには登場しない政府要職系も、出身校をたどるなどしてターゲットにしてしまう。

 

一方ターゲットになってしまった「私」は、すべての私生活が見透かされていることに恐怖する。はじめは盗聴・盗撮といったインターネット犯罪を疑うけれど、カード犯罪など金銭的被害は皆無なので、警察に相談しても埒が明かない。

 

しかも、使用している器機には外部からの侵入の痕跡は認められず、盗聴や盗撮を立件することもできない。盗聴・盗撮が疑われる具体的なエピソードを明かすと、何らかのストーキング案件として相談した警察も同情的ではあるものの、パトロールを強化するくらいしかできることはない。

 

警察への相談・通報と同時進行で嫌がらせのレベルも上がり、「そいつ」は観察対象者の謀反にペナルティを与えるかのように振る舞い、「私」を心理的に追い詰める。と、同時に飴もチラつかせ、「言うことを聞けば苦痛から解放される」と仄めかしてくる。

 

「そいつ」は、不特定多数が居る場所には自分は出ていけない体質なので、依り代、スピーカーとなる人形を求めていて、人形になれと迫ってくる。

 

最初は恐怖したものの、そのうち怒りが勝るようになった「私」は断固拒否。「そいつ」は、人形にもなれないのならと、“誰もやりたがらないような仕事”にしかつけないよう、「私」の社会的信用を徹底的に貶めにくる。いわゆるレピュテーション汚染で、「私」のリアルな知人や近隣の人に、あることないことを吹き込んで、社会的に孤立させる。

 

この辺りは、「私」と「そいつ」の心理的攻防が、スリリングに描かれているとなおよし。

 

「そいつ」は今までにも同様の手法で、生身の人間を何人もスピーカーがわりに依り代としてきていた人物。不用になった場合の処分の仕方も、すっかり手馴れたもの。

 

ところが「そいつ」は過去に同様の手法を使い過ぎたため、一部では「あの人変だよねー」と、すでに噂になっていた。

 

流れ込んできた他人の見たもの聞いたものを、無意識にわがことのように語る、あるいは目につくところに書き込むことにより、「そいつ」のリアルでの居場所がなくなっていく。

 

「そいつ」にとっては、流れ込んできたものは吐き出さずにはいられないほど「不要なもの」で当然の行為なのだけど、その当然の行為ができる場所が次々に閉鎖、あるいは使い物にならなくなっていく。吐き出すことができる場所が減り、観察日記もひと目につかないよう隠されることが増えて、「そいつ」の精神のバランスが徐々に崩れていく。

 

強者が強者のままというのはやっぱりお話としてメリハリに欠けるので、圧倒的強者だったはずのものが強者でなくなるというのは、お話に欲しいポイント。

 

一方「私」は、口にさえ出してない、どこにも痕跡さえ残してない「思考」まで読み取られていることに気付く。もしかしてと実験を試みたところ、以前のように暴れ回ることができずに意気消沈していた「そいつ」は「私」に、その見立ては正しいと観察日記を通じてメッセージを送ってくる。

 

ところで「私」は、山川草木に魂が宿って、器物百年を経て化して精霊を得てよりといった、少し不思議に親和性があったので、特に驚かない。そういうこともあるやろう以上の感想が、出てこない。

 

アルコールやドラッグに逃げて、勝手に自滅していった過去の不用になったお人形と違い、「私」は少し不思議、あっても不思議じゃないで思考停止しているので、廃人になるまで何かに依存するこがない。

 

そういうこともあるやろう以上の感想は出てこないけれど、対策のヒントは得てしまう。

 

考えたことが相手に筒抜けになるのなら、物騒なことを考えるだけでも相手にはダメージになるかもと考える。

 

徹底的にネガティブな、攻撃的なことで脳内をいっぱいにする。ターゲットは「そいつ」。

 

思考が刃となって「そいつ」を傷つけることに「私」は満足するけれど、同時に行為の無意味さにも気付いて、「私」は熱心になれない。

 

人の思考が読めてしまう、どこまでいっても自分と他人は違うという、異形のものに生まれついた恨みや、人に受け入れない怒りや悲しみ。そもそもネガティブ要素でいっぱいの「そいつ」に、さらに傷をプラスしたところで「私」にとって意味はない。

 

クリアーであること。清明であること。

 

恐怖も怒りも「そいつ」にとってはいつものことで、向けられる恐怖や怒りを糧にしている気配さえあるのだから、真逆であることこそ「そいつ」にとっては想定外でイヤなこと。

 

クリアーであり清明であるために、何も考えていない状態の時には「踊る子豚」をイメージし、目にするものはすべてピースフルなものにする。

 

恨みにも怒りにも悲しみにも寄りかからない。

 

その境地に至ったところで、「そいつ」はもう「私」には観察対象としての興味を失う。

 

もっとネガティブパターンのバッドエンドも想像したけれど、ネガティブパターンのバッドエンド、好きじゃないからこの辺が限界。

 

カクヨムでやれよ案件かもだけど、こんなのたまーにしか思いつかないから、やる意味なし。

 

Gene Mapper -full build-』や『アイの物語』も面白かったけど、読んでみたいのは『オリクスとクレイク』。誰も望まなかった未来に後悔とともに生きる人の姿は、反面教師にもってこい。

オリクスとクレイク

オリクスとクレイク

 

 お休みなさーい。