クローズドなつもりのオープン・ノート

~生きるヨロコビ、地味に地道に綴ってます~

極私的ドキュメント『僕に彼女ができない理由』見た

彼女いない歴=年齢の31歳男性、番組制作会社ディレクターが主役。「僕に彼女ができない理由」、文字で表現する人は多くても、実名顔出ししかもテレビ、それもNHKで表現する人は珍しいから興味があった。

www.nhk.or.jp

極私的ドキュメントは“自撮りドキュメンタリー”。ごくごくプライベートな悩み・本音を、公衆の電波を使って広く開陳するという、野心的な番組。大きな物語もそれなりに好きだけど、大きな物語にかき消されそうな、そのへんの人の小さな物語も好き。そんな勿体つけなくても、単純にモテない理由を自己分析する姿が見たかった

 

感想その1:こんな人でも彼女出来ないのね。

キモメンでもブサメンでもない、見た目はフツーな、どっちかっていうと第一印象は悪くないタイプ。やせ過ぎでも太り過ぎでもなく背も日本人男性としては標準をクリアしてる。番組制作会社ディレクターという職業も「彼氏って何やってる人なの?」と聞かれた時にはスラスラ答えられる、人に聞かれても恥ずかしくない職種に入るはず。親類縁者みな公務員家庭からは、また違う評価になるかもだけど。

 

見た目、職業、第一印象が悪くない、むしろ好印象を与える人ほど、減点法で評価されていくから損なのよね。「あの人こんなことする人なのね」でマイナス20ポイント。「ここもダメ」でさらにマイナス15ポイントと、どんどんマイナス評価をくらっていく。本人のあずかり知らぬところで、勝手に期待されて勝手に期待裏切られたと落胆されて、評価はダダ下がりに。愛想はむやみに売らない方が、吉な場合もあり。

 

感想その2:ゼロをイチにした経験が、有るか無いかが大きく左右する。

主人公の人、モテない自分を自己分析するにあたって友人の力を借りる。飲み屋で知り合った、敬語で話すうすいつながりの友人。

 

友人にも恵まれた学生生活を送ってたなら、学生時代の友人や現在の職場の人に聞いた方が良さげ。なのにそうしないのは、「学生時代は2人ほど彼女が居た」ことになってるからか。「おまっ、あれ嘘だったのかよ」から始めると、だからダメなんだよで企画終了するからの人選か。

 

女性経験はあるのにその先に進めない人と、その先に進んだ人では見える景色、相手に対する理解度にも違いが出るのか?めっちゃ違いがあった。うすいつながりの友人の人(=アドバイザー)に、自分に足りないのは何かとアドバイスを求める姿には、あんまり葛藤は感じられない。自分の汚点について、スラスラしゃべり過ぎ。アドバイザーからも「その時点で全然恋愛してないな」と看破される。

 

アドバイザーの方が、言葉を選びながら、お酒の力を借りながらもつっかえつっかえで、悩んでる人がどっちなのかわからなくなる。“ほんとにイヤなこと”をスラスラ話す人、胡散臭っ。誰にも主導権を渡したことのない人は、一番肝心な、彼氏としてそばにいて欲しい時にはスッと居なくなりそう。自分のペースを崩されるのがイヤな人は、薄情だもの。

 

感想その3:彼女と一緒に経験できるモロモロを許容できるか否か。

彼女ができることで経験するモロモロのこと。嬉しいことばかりではないイヤなことに対しても、受け入れる余力、余裕が生まれるのが彼女持ちあるいは恋愛経験者。相手に対する「好き」が根底にあるから、気の進まないことでも歩み寄ろうと努力する。

 

自分以外の他人に配慮した経験が、別のシーンの対人経験でも生きて、恋愛経験者を余裕ある人に変えてゆく。

 

「嫌いなところを許していけるようになる」との名言も飛び出すアドバイザーの人、賢者やん。

 

まとめ:彼女ができないのも納得だった。

彼女ができないディレクターの人と、何やってるのかわからないアドバイザーの人。アドバイザーの人の方が人間的魅力があって、ちゃんと恋愛してきた人なんだなと思った。手加減があるから。ポイントオブノーリターンを分かってる感じ。越えるか越えないかの葛藤を経た人だから、身に着いたと思わせる。

 

わかってない人は、ポイントオブノーリターンをあっさりと越えて、切断処理される。女兄妹、妹とは不仲なのも納得。踏み込んではいけない領域に踏み込んで、きっと相手を怒らせたんだろう。

 

言葉使いも丁寧で一見礼儀正しいけど、踏み込んではいけない領域にはズカズカ踏み込む。主導権を奪われるのはイヤと、彼女のペースに合わせてくれない人。悪いけど、どう考えてもモテそうにない。

 

彼女ができない人には、できないなりの理由があるとわかるドキュメンタリーで、面白かった。

 

お休みなさーい。