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クローズドなつもりのオープン・ノート

~生きるヨロコビ、地味に地道に綴ってます~

『人生スイッチ』見てきた

逆上が産み出す悲喜劇を描いたアルゼンチン映画、『人生スイッチ』を見てきた。
 
きっかけは、日々の憤りの爆発。最悪のその先の、予想を超えた<行きつく先>を笑え!(映画公式サイトより)
 
全 6話からなるオムニバスで、どのストーリーも変でおかしい。コメディと呼ぶにはもう少し毒っ気があって、そこはやっぱりペドロ・アルモドバルらしい。監督 は1975年生まれとまだ若いアルゼンチン人で、監督よりプロデューサーであるペドロ・アルモドバルの知名度の方がずっと高い。
 
 
『オール・アバウト・マイマザー』に『トーク・トゥ・ハー』と、ペドロ・アルモドバルの映画はどれも面白いけどアクも強い。プロデュースにまわることでアクの強さが抜けて、コメディ要素をふんだんに取り入れたことで、よりとっつきやすく面白くなってた。
 
 
プロローグの第1話だけ、かなり短い。映画公式サイトでは、8月31日まで一話まるごと限定公開されている。どういうテイストの映画かわかりやすくなってるので、見に行こうかどうしようか迷ってる人におススメ。

jinseiswitch.gaga.ne.jp

 
「果て」。行き過ぎをすっかり見せることは、やり過ぎの抑止力になる。
 
 
どのエピソードも、やり過ぎ。これマズイでしょというボーダーを、大きく踏み越えた人と事件で出来上がっている。空いた口が塞がらない。目を覆いたくなる。 そんなエピソードばっかりなんだけど、その中でも特に呆れかえったのが、第3話の『エンスト』と第6話の『HAPPY WEDDING』。『エンスト』も『HAPPY WEDDING』も、予告編にちょこっと使われてる。
 
 
第3話の『エンスト』は、カッコいい新車でかっ飛ばす”都会の金持ち”vsポンコツに乗る”田舎者の男性”。第6話の『HAPPY WEDDING』は、浮気がばれた新郎vs浮気した新郎を許さない新婦。どちらも予定調和や大団円を、鼻でせせら笑う結末が待っている。
 
 
スイッチが入る。ブチ切れる。我を忘れて怒り狂う、誰かの本気を引き摺り出すのは、越えてはいけない一線を越えて本気になって向かってくる人。迷惑ね。血みどろになって互いに全力で傷つけ合う、”越えてはいけない一線を越えた人たち”を前に、周囲はなす術もない。第3話と第6話は、荒れ狂った激情の”鎮火方法”も対照的。燃え尽くすか燃え上がるか。どっちかしかないのよ。
 
 
ここまでやったらおしまいでしょ。果てを可視化した姿は、ただただ醜く呆れかえるだけ。決して見たくはなかった、全力でNOを突きつけたいおぞましいシーン(一部の人は拍手喝采すると思う)も含んでいながら、この映画がイヤかというと、そうでもない。
 
 
やり過ぎの果ての大団円や予定調和の方が、嘘っぽいから。
 
 
ハッピーエンドに至る道の方が、はるかに険しい道。はるかに険しい道なのに、いとも簡単にたどりつけるかのように描かれると、違和感がある。幸せな結末が無理ならば、バッドエンドに至るそのまんまを描いてる方が、正直で好感が持てる。バッドエンドかと思わせて、瓢箪から駒が出ることもたまにはある。
 
 
やり過ぎないこと、ほどほどであること。ハッピーエンドへは、その方がずっと近い。やり過ぎると往々にして幸せから遠のくことを、やり過ぎることで描いてた。すぐにブチ切れる短気な人が、我が身を省みるのにもってこい。お気をつけあそばせ。
 
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お休みなさーい。